1月3日、観世能楽堂へ。
「翁 父尉延命冠者之式(ちちのじょうえんめいかじゃのしき)」
翁は観世宗家、
三番叟は太一郎くん、
千歳は三郎太くん、
面箱は飯田くん、
狂言後見は深田さん&中村くん。
笛は松田弘之さん、
小鼓頭取は大倉源次郎さん、
脇鼓は鵜澤洋太郎さん&大倉伶士郎くん、
大鼓は柿原弘和さん。
今回は、千歳も面をつけました。
紐を結ぶのは坂口貴信さん。
邯鄲男が笑ったらこうなるのかも、というような顔つきの面。
これが「延命冠者」の面、ということでしょうか。
観世宗家は、父尉の面を。
こちらの紐も、坂口貴信さんが結わえられました。
翁の舞がおわると、翁と千歳が二人で並んで、面を外されました。
太一郎くんは、ろくしょう色の直垂。
明るく、華やぎのある三番叟。
鬱々したニュースが毎日流れてきますが、新しく年が開けたのだなー、と漸く感じることができました。
ところで今回は、面箱の中に、
父尉、延命冠者、黒色尉の3つの面が入っていたということですね。
実は、翁が座についた後、飯田くんが面箱を翁の前へ持っていって面さばきをする時間が、やたらと長かったのです。
面の数量が多かったことと、関係あるのでしょうかねー
なお、2年前に観た金春流では、延命冠者の面は、狂言方が付けていました。
金春流では、千歳を狂言方が務めるので、そのようなことになるのですね。
その時は、シテは、まず白色尉を、続いて父尉を着けておられました。
今回の公演より小書が一杯ついていたので、そのためなのか、もしくは流派による違いなのか、興味がそそられます。
その金春の公演を拝見したときのblogは、こちら。
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2019/01/12/021150
さて、今年の話に戻ります。
「末広かり」
果報者が萬斎さん、
太郎冠者が裕基くん、
すっぱが石田幸雄さん、
後見が内藤くん。紋付裃です。
果報者サマは、淡い色調の紅白段熨斗目、紺と洗朱の松皮菱きりかえの素襖裃。
紺地には松竹梅、洗朱地には折鶴&亀。
素襖裃のフォルムが、格調たかく美しい。
裕基くんは、白地に小豆色の格子の縞熨斗目、コウモリ(?)の腰帯、常磐色の狂言袴。
肩衣は、茶褐色地に梅の枝が染め抜かれ、青磁色の霞がたなびいています。
今回の配役の「末広かり」、はじめて拝見しましたが、とーっても良い!
裕基くんの安定感に、目を見張りました。
アドの太郎冠者のなかでは、この太郎冠者はトクベツ大変そうですが、何度も演じてこられたかのように軽々とこなされる。
「居るけど居ない」ポジションにおられる間も、萬斎さんは実に穏やかなお顔。
お使いから帰って、間違ったウンチクを得々と披露する裕基くんと、呆れ、いらつく果報者サマとのやり取りが絶妙です!
そして、ラストのキメが、柔らかくなりすぎす、祝賀性のなかにも硬質な美しさがあるのです。
なんと見目麗しい親子なのでしょうか!!
仕舞
「高砂」 梅若猶義さん。
「羽衣 クセ」 梅若万三郎さん
「合浦」 観世喜正さん
独吟「老松」 梅若実さん
鬘桶に座っておつとめなさいましたが、お声は健在でした。
「吉野天人 天人揃」
シテ(里女&天人)が観世芳伸さん、
ツレ(天人)が坂井音晴さん&武田文志さん&北浪貴裕さん&武田祥照 さん&藤波重彦さん。
ワキ(都人)は福王和幸さん、
ワキツレは、村瀬堤さん&村瀬慧さん。
アイ(里人)が高野さん。
笛が杉信太朗さん、
小鼓が幸正昭さん、
大鼓が亀井実さん、
太鼓が大川典良さん。
後シテの面キレイ。
後場では、4人のツレを含め、5人の天人がズラリと並びます。
後シテは白い舞衣の壺折で、鳳凰の天冠。
ツレは藤紫地に金糸の長絹で、月輪(?)の天冠。
ツレもモチロン綺麗なんだけど、後シテは、やはり主役オーラがあり、飛び抜けて気高かったです。