萬斎さん観賞と日本画修得の日々

能楽や展覧会の観賞の感想を書いています

『TENCHIJIN 「○□△」〜三日月公演〜』を観る(その1)

1月8日、国立能楽堂へ。

なんと、狂言後見の萬斎さんが面箱を!持ってお出ましに!!
・・・というレアな「翁」を観ました。

実は今回の「翁」は、「十二月往来 父尉 延命冠者」という小書付で。

配役はというと、番組表から一部抜粋して下記に転記しておきます。
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シテ   金春憲和
ツレ   高橋忍
ツレ   本田芳樹

三番叟  野村太一郎
千歳 延命冠者 野村裕基
三番叟後見 深田博治、野村萬斎

大鼓    大倉正之助
 
小鼓(胴脇) 後藤嘉津幸
小鼓(頭取  幸正昭 
小鼓(手先) 船戸昭弘
笛      松田弘

後見 金春安明、櫻間金記、横山紳一
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開演予定は15:00でしたが、
15:14に お調べ、
15:18に 火打石、
15:20に漸く幕があがりました。

先頭は、面箱を高くかかげた裕基くん。
これは想定どおり。

が!その裕基くんに続いて姿を現したのは・・・わーーおぉぉぉ 萬斎さん!

萬斎さんも、面箱を高くかかげておられ。
その背後には、同じく面箱をかかげた深田さんが続きます。

深田さんの次が、3人の翁、それから三番叟の太一郎くん・・・と続きました。

私は、「十二月往来」は翁が三人出てくる、という知識しかなかったのですが、
それぞれの翁がつける白式尉の面が3つなので、面箱も3つ、ということだったんですねー

裕基くんは、鶴亀が配された若草色の直垂で、裾の方は梅の枝が配されています。
厚板は緑ベースの格子と枇杷色の段替。

萬斎さん&深田さんは、裾の方に露草色の菱模様が入った藍鉄色の素襖裃。

3人の翁は、白の狩衣に、八藤の地紋入り指貫という白づくめ。

太一郎くんは鶴亀&松竹が配された栗皮色の直垂に、朱色ベースの格子の厚板。

ワキ柱から笛柱の間に、3人の翁が並びます。
ワキ柱側から、金春憲和さん、高橋忍さん、本田芳樹さんの順。

3人の翁が、ドスッと音を響かせて座につくと、
本舞台の下手エリアに控えていた狂言方トリオが、3人の翁の前へ面箱を運んでゆきます。

裕基くんは金春憲和さんへ、萬斎さんは高橋忍さんへ、深田さんは本田芳樹さんへ。

裕基くんの千歳の舞が始まってから、3人の翁は、それぞれの前に置かれた面箱の中の白式尉をつけます。

金春憲和さんの面の紐は金春安明さんが、高橋忍さんの紐を櫻間金記さんが、本田芳樹さんの紐を横山紳一さんが締めます。

初めてのことづくしで、私は興奮し過ぎて、その後の順番の記憶が定かではないのですが、

千歳の舞が終わると裕基くんはワキ座のあたりへ。
そこには後見座から移動してきた萬斎さんが!

3人の翁の謡いと、金春憲和さんの翁の舞の間、ずーっと、ワキ座には裕基くんと、その背後の萬斎さんが控え続けておられ。

裕基くんの肩越しの狂言後見サマが美人過ぎる!!

翁の舞がおわると、ワキ座のトコで、裕基くんに延命冠者の面を萬斎さんがつけました。
裕基くん担当の面箱の中に、延命冠者の面も入っていたようです。

ものめずらしい光景に目を奪われていましたが、その横では、
金春憲和さんの面チェンジが始まっていました。
白式尉から父尉へ。

なんとまー、裕基くん担当の面箱の中に、父尉の面も入っていたようなのです。

そして、父尉の金春憲和さんと、延命冠者の裕基くんが謡を。

延命冠者の面は優しげで綺麗なお顔で、不思議なくらい裕基くんにマッチしてました。

謡が終わると、裕基くんは再びワキ座の萬斎さんの前へゆき、延命冠者の面を外されました。

面の紐を解く手つきが滑らかで美しい。


さて、萬斎さんが後見座に戻るときには、黒式尉の面を隠し携えておられたようです。

つまり、裕基くん担当の面箱の中には、白式尉&父尉&延命冠者&黒式尉と、4つも面が入ってたってことですね。


で、このあとに太一郎くんの三番叟となりました。

太一郎くんの三番叟を拝見するの初めて。

以前に、万蔵さんの三番叟を拝見したことがあるのですが、万蔵さんの三番叟より万作家の三番叟に近い気がしました。

ということは、万作家メンバになられてから万作家テイスト注入されていったということかしらねー

黒式尉の紐を締めるのも萬斎さん。

千歳の裕基くんとの問答のシーン、とても重みがあり、しみじみしてしまいました。

萬斎さんは、ピリッと引き締まった表情をされていましたが、そーんなにコワイお顔ではありませんでした。

萬斎さんも、しみじみモードだったのでしょうか。

この日、萬斎さんが一番コワかったのは、黒式尉を携えて後見座に戻って深田さんに渡した時。

深田さんが黒式尉を何処かに置き直そうと身じろぎしかかった途端に、何ごとかダメ出しを言い放ったご様子。

「まだだよ!」とか何とか仰ったのでしょうか。

ワキ座にいらした時の麗しのお顔も、ダメ出しのコワいお顔も、両方とも選び難いくらい素敵でした。


さて、この後には、末広かりの大名サマとして、再びお姿を現してくださるのですが、今日はここまで。

(その2につづく)