萬斎さん観賞と日本画修得の日々

能楽や展覧会の観賞の感想を書いています

2020裕基くんベスト15

先日の萬斎さんのベスト15に引き続き、今日は裕基くんのベスト10を
・・・と、思って選び始めたら、どれも捨てがたい。

うぬーう
こうなったら、
裕基くんもベスト15にしちゃいます。

●1位
狂言ござる乃座61st」(第1日目)(8/10、宝生能楽堂)での
屋島 大事 奈須與市語」のアイ
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/08/11/000349
語りも去ることながら、「屋島」の中の登場人物としての存在感が、格調高く、キリリと美しい。

●2位
狂言ござる乃座61s」(第2日目&3日目)(8/12&30、宝生能楽堂)での
「奈須與市語」
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/08/15/215941
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/09/05/164724
與市が憑依した裕基くんの煌めきがヤバい。

●3位
「第91回 野村狂言座」(9/18、放出能楽堂)での
「水汲」のアド(いちゃ)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/09/20/195248
萬斎さんが解説で、かなりハードルを上がったかに思われましたが、なんの、なんの、太一郎くんと共に、瑞瑞しい一時を見せてくださいました。
能楽タイムズ(11月号)でも、絶賛されていて、ファンとしては誇らしさマンテンです。

●4位
「木月孚行を偲ぶ会」(3/15、観世能楽堂)での「鷺」のアイ
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/03/21/013800
お声の幅がグンと拡がったことがまざまざと感じられた日でした。

●5位
平家物語の世界 語りの伝承 巻二十三」を観る(9/26、横浜能楽堂)での
「今参」のアド(職探し中の坂東方の者)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/10/03/103416
アイドル・裕基くんが振り付きで踊ると、大喜びして萬斎さんまで一緒に踊り出す、という眼福。

●6位
狂言ござる乃座 in NAGOYA 23rd」(10/3、名古屋能楽堂)での
「大般若」のアド(巫女)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/10/04/195327
我が道をゆくクールな巫女さま。

●7位
「波吉信和 三十三回忌追善 藤雅会」
紅葉狩のアイ(上臈たちのお供の女)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/11/01/004132
曰くありげな妖気をまとっておられました。「水汲」での可憐な少女もよいけど、こういう系もイケるんですねー
新たな一面を見せていただきました。

●8位
「新春名作狂言の会」(1/15、新宿文化センター)での
「靭猿」のアド(太郎冠者)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/01/18/220219
とてもよき太郎冠者でした。広いホールの舞台でも、裕基くんがおられると空間が締まります。

●9位
「第103回 粟谷能の会」(3/1、国立能楽堂)での「蚊相撲」のアド(蚊の精)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/03/07/124207
人ならぬお役をなさると、存在の美しさが際立ちます。

●10位
「十一月 五雲会」(11/14、宝生能楽堂)での
「鐘の音」のシテ(太郎冠者)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/11/22/142411
秋晴れの鎌倉の空に響く、鐘の音を堪能しました。

●11位
「第23回 長島茂の会」(10/24、喜多能楽堂)での「鶏聟」のアド(聟)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/10/25/215348
親子そろって素襖裃をお召しになったお姿が端麗。
ちから一杯バカバカしいことをなさっても、気品が損なわれたりはしないのです。

●12位
狂言ござる乃座 62nd(10/18)」
10/18
「煎物」のアド(何某)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/10/20/181005
鷺に扮装したお姿が、光り輝くよう。

●13位
「万作を観る会」(11/7、国立能楽堂)での
1番手のキノコ(黒色袴)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/11/08/183745
この演目の、このお役の格が、裕基くんによって、大きく引き上げられたように思います。

●14位
「第九回 佐久間二郎能の会 三曜会」(12/5、国立能楽堂)での
「成上り」のアド(主)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/12/06/150121
立姿が美しい。
お父様とのコンビネーションが絶妙です。

●15位
白雪姫の太郎冠者)
新作能「白雪姫」のブルーレイ
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/12/31/212537
当初はライブで観れるはずだったところ、コロナ禍のため中止となってしまった公演。
ライブで観れる日が、どうか来ますように。


ここまでが、ベスト15です。
ベスト15からは漏れてしまったけど、最後に番外編として1つだけ。


「このあたりのもの~禍(わざわい)の時、狂言三代の見つめる遠い未来~」(10/25、NHK放送博物館)その後、テレビ放映もありました。
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/11/01/143532

以上、裕基くんベスト15&番外編でした。

2020年の裕基くんといえば、とにかく奈須!に尽きると思います。
次なる披キは、釣狐でしょうか。

シツコク言いますが、人ならぬお役が突出しておられるので、狐さんへの期待大です!!

2020萬斎さんベスト15

2019年は、古典曲と非古典曲に分類してみたのですが、
どうもシックリこないので、
今回は区別なく一本化して選出してみたいと思います。


●1位
「大槻能 リニューアル公演 日賀寿能 第二日目」(1/4、大槻能楽堂)での
「翁 大黒風流」の三番叟
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/01/05/161355
鈴之段で、万作さん扮する大黒サマと、萬斎さんが、掛け合いみたいなことする、というレア演出に、目が釘付けでした。

●2位
能楽公演 2020 ~新型コロナウイルス終息祈願~」(7/27、国立能楽堂)での
「翁」の三番叟
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/07/27/231443
揉み出しの時点から、萬斎さんの
細胞がビッカビカに躍り跳ねだした三番叟でした。

●3位
「日本芸術文化戦略機構 JACSO設立記念公演 昼の部」(10/6、宝生能楽堂)での
「翁」の三番叟
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/10/11/153330
カミソリみたいな切れ味の中に、癒しもあり。

●4位
「高崎芸術劇場 能舞台 披露公演」(2/15、高崎芸術劇場)での
「翁」の三番叟
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/02/16/175714
萬斎さんが袂を翻すと、客席にまでブワッと風がくる!至近距離でした。

●5位
「第四回 文の会」(11/29、観世能楽堂)での
屋島 弓流 那須与市語」
のアイ
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/11/30/233106
萬斎サマ劇場。最高です!
後見の裕基くんの気迫も印象的でした。

●6位
「銕仙会 定期公演 3月」(3/13、宝生能楽堂)での
3/13内沙汰のアド(妻)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/03/20/140706
萬斎さんがなさる女性の役は、どれも絶品なんだけど、そのなかでも、このお役は、がナンバーワンに好きです。

●7位
国立能楽堂 狂言の会」(1/24、国立能楽堂)での
「法師ヶ母」のアド(妻)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/01/26/181341
後半、万作さん&萬斎さんが、お互いの想いを謡で伝えあうシーンが、もーぉ、素敵なのでした。

●8位
「坂口貴信の会」(9/16、観世能楽堂)での
「砧」のアイ(芦屋の某の下人)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/09/21/192731
沈痛な語り口に聞き惚れました。

●9位
「大槻文藏・裕一の会 第二部」(9/25、観世能楽堂)での
「邯鄲」のアイ(宿の女主)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/09/27/134941
盧生の夢を操っているかのような、女主サマ!

●10位
「第十二回 東京満次郎の会 FINAL」(11/1、宝生能楽堂)での
「邯鄲 傘之出」のアイ(宿の女主)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/11/05/180032
ぎらり、と豹変しそうなナニモノカを内包した謎の美女。

●11位
「能を知る会 横浜公演」(3/12、横浜能楽堂)での
藍染川」のアイ(大宰府神主の本妻)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/03/15/001654
夫の愛人を自殺に追い込んでしまう、凄絶なイジワル妻。

●12位
「東京大槻清韻会別会」(3/7、観世能楽堂)での
「望月 古式」のアイ(望月の下人)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/03/08/231659
下人サマのかっこよさに加えて、
友房の大槻文藏サマの気品と、友治の未亡人の大槻裕一くんの憂いも、忘れがたいです。

●13位
国立能楽堂 企画公演 ◎働く貴方の能楽公演」(1/30、国立能楽堂)での
「痩松」のアド(女)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/02/01/175021
盗賊を撃退するだけではあきたらず、小刀まで強奪してしまう!麗し女子。

●14位
「梅村能の会 道成寺」(2/24、観世能楽堂)での
道成寺 赤頭 中之段数躙(なかのだんかずびょうし) 無躙之崩(ひょうしなしのくずし)」のオモアイ
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/02/29/232443
アドアイの裕基くんとのコンビネーションが嬉しかったです。

●15位
「第103回 粟谷能の会」(3/1、国立能楽堂)での
「朝長」のアイ(長者内の者)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/03/07/124207
サーカス団長・広忠さんが鞭ならぬ右手をしならせ、統制されているかのような舞台。


以上、ここまでがベスト15でした。
最後まで候補に残りながら、ベスト15には漏れてしまった分も、下記に記載しておきます。
(順序は時系列です)

●「新春名作狂言の会」(1/15、新宿文化センター)での
「靭猿」のアド(猿曳)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/01/18/220219

●第89回 野村狂言座(金曜日)(
1/17、宝生能楽堂)での
「大黒連歌」のシテ(大黒天)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/01/18/192130

●「能と土岐善麿 秀衡を観る」
(2/18、喜多能楽堂)での
「秀衡」のアイ(中尊寺金色堂の堂守)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/02/20/234946

●「狂言ござる乃座61st」(第1日目)(8/10、宝生能楽堂)での「隠狸」のシテ(太郎冠者)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/08/15/001325

●「狂言ござる乃座61s」(第2日目&3日目)(8/12&30、宝生能楽堂)での
「庵の梅」のアド(女子会のリーダー?)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/08/15/215941
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/09/05/164724

●「銕仙会 9月 定期公演」(9/11、宝生能楽堂)での
「鏡男」のシテ(夫)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/09/16/222737

●「狂言ござる乃座 in NAGOYA 23rd」(10/3、名古屋能楽堂)での
狂言「蝉」のシテ(蝉の亡魂)
https://jizo.hatenablog.jp/entry/2020/10/04/195327

以上です。

2020年は、中止になってしまった公演も多々ありましたが、
そんななかでも、なんとか開催に漕ぎ着けてくださった公演も、色々あったのだなー、と改めて感謝の念を深く感じています。

ほんとーに、救われました。
ありがとうございました。

「第二回 士乃武能」を観る

2月7日、国立能楽堂へ。

ロビーには、今回の公演チラシのイラストを描かれた天野喜孝さんの原画が。

私は黒ガシラのフォルムが大好きなんだけど、そのテイストを汲みつつも、
でも、写実寄りになりすぎず、
しっかり天野喜孝さんワールドになってました。

座席は、市松の50%。

一調「春日龍神
中村昌弘さん&吉谷潔さん(太鼓)

今回の番組の中で、これだけが義経ガラミじゃないのは、なぜ?
と思ったら、ちゃんと番組表に解説が。

「会の最初は派手にファンファーレ的な曲を」という意図なのですって。

仕舞「八島」 金春憲和さん、
仕舞「吉野静 キリ」金春安明さん、

仕舞「二人静 クセ」
辻井八郎さん&井上貴覚さん。

袴で舞う「二人静」は、足拍子も完全に揃ってるのがよく分かりました。
以前にお能で観たときは、足元は縫箔で覆われていたので、そこまではわからなかったけど。
通常は縫箔で見えないのに、
こんなに綺麗に揃えておられるんだ!

地謡の方々は、直面で入場してこられ、それから後ろを向いてマスク装着する、という新スタイル。

マスクは、暖簾タイプで、鎖骨のチョイ下くらいのまでの長さ。

狂言「千鳥」 
太郎冠者が萬斎さん、
主が高野さん、
酒屋が石田さん、
後見が岡さん。

太郎冠者さまは、若葉色の格子の縞熨斗目、並び扇の紋の腰帯、納戸色の狂言袴。
灰色がかった山葵色の地に、大胆に白梅を配した肩衣。
チャコールグレーの梅の幹が効いてます。

太郎冠者は、酒樽を網のつもりの設定にしよう、と、かなりの無茶発言。

酒屋は
「ははぁ、それが網か・・・
なるか!」
と。

これを、現代語風に言うなら
「ははぁ、それが網か・・・
てか、なるかいっ!」
て感じにでしょうか。

ノリツッコミの元祖は、この酒屋さんだったのねー

ラスト、太郎冠者さまは
「おンマが参る! おンマが参る!」
と跳ね駆けてゆきました。

早春の一陣の風のように、華やぎのなかに内包された、キリリと鋭い冷感冷さえも、嬉しくなってしまうような、そんな疾走でした。

仕舞「船弁慶 クセ」本田光洋さん、
仕舞「船弁慶 キリ」山井綱雄さん。

こちらの地謡も、登場後に後ろ向きでマスク装着スタイル。

休憩の後に、金子直樹先生による解説。

今回、金子先生のお話で私が学習したことの1つは、
船弁慶の後シテが頭に付けてるアレの名称。
「クワガタ」というのですって。
そのまんまのネーミングなんだ。

そして、間狂言の説明を丁寧にしてくださったのが有難かったです。

この演目の間狂言(船頭)の場面は、いくつかのシーンがカットされがちなんだけど、今回は全部入りです、とのこと。
そのカットされがちシーンとは、
下記の3つ。

①宿借りのシーン
②送り込みのシーン(義経と別れたあとの静を、船頭間が送って行く)
③訴訟のシーン(将来は、自分を船奉行に取り立ててくださいよ、と船頭が頼む)

今回の間狂言は、裕基くんが格子のお勤めになり、初役とのこと。

今後は省略版もなさっいくのでしょうが、
まずは正式版を体験させておこう、というお父様の親心でしょうか。

シテ方の先生のご理解なしには成り立たないでしょうから、高橋忍さんもご賛同くださったのですね。

記念すべき初役、かつ、全部入りを観る機会に恵まれ、感謝です。

能「船弁慶 遊女ノ舞 替ノ出」
静&知盛が髙橋忍さん、
義経中村優人くん、
弁慶が殿田謙吉さん、
従者が御厨誠吾さん&野口能弘さん、
船頭が裕基くん、

笛が藤田貴寛さん、
小鼓が鵜澤洋太郎さん、
大鼓が安福光雄さん、
太鼓が吉谷潔さん。

裕基くんは、レモンイエローの地に濃紺の公私の縞熨斗目、紺の襟、濃紺地に碇の肩衣、褐色(かちいろ)の狂言袴。

くぅ~っ
カッコイイ!

狂言袴は、パリッと張りがあり、丈もぴったり。
今回のお役の為に、裕基くんレングス仕様で、新しく誂えられたのでしょうか。

声が!もう最高です。
萬斎さんと同様に、常の狂言のときより、更に重低音のお声。

「波よ、波よ波よ波よ波よ、しーっ」も、気持ちよくキマってました!

でも、撃退されてしまう知盛に、なぜか肩入れしたくなってしまうんですよねー

とても充実した時間でした!

「田中一村展‐千葉市美術館収蔵全作品」を観る

ついに憧れの、田中一村を観た!
伺ったのは、千葉市美術館。

往復5時間かかりましたが、
奄美大島までの所要時間に比べたら、なんのその。

奄美といえば、私にとっては田中一村記念美術館の所在地。

田中一村を観るために、いつか奄美に行かねば、と思っていたけど、千葉で観れるなら、これは行くしかない!と。

以前に読んだ評伝の内容を思い返しつつ、じっくり堪能しました。

とてつもなくストイックで、
誇り高く、
岩清水のように純粋な人となりが、
ヒシヒシと感じられました。

有名な「アダンの海辺」は、図録では何度も観たことがあったけど、原画はその何十倍ものインパクト。
崇高な雰囲気を醸し出してして、風景画なのに、宗教画のような印象を受けました。

アダンのような大作の他に、色紙に掛かれた作品が大量にあり、これがまた、素晴らしい!

「ほおずき」とか「さえずり」とか、ちゃちゃっと描いたかのようにみえる簡潔な筆運びに、うっとりです。

あと、数々の風景画の空や雲が、とにかく美しい。
前景の木立のフォルムも絶品なんだけど、それは空の美しさを際立たせたいが為に、描かれたのかも、って気がします。

うわうわー
何てきれいな空なんだ~、という一村の心の震えが伝わってくるんだもの。
一村は、空フェチだったんじゃないでしょうかねー

「国立能楽堂 1月 狂言の会」を観る

1月22日、国立能楽堂へ。

コロナ渦の余波により、20時までに終演とすべく、少々の番組変更がありました。
素囃子がカットされ、休憩時間も無しとなり。

狂言「餅酒」。
越後国のお百姓(シテ)が松田髙義さん、
加賀国のお百姓が奥津健太郎さん、
奏者が野口隆行さん。
囃子方は、小野寺竜一さん&飯冨孔明さん&亀井洋佑さん&林雄一郎さん。

お上から歌を詠め、とイキナリ言われても困りますよね~?

が、越後国のお百姓は、それが如何なる行為かも知らなかったのに、
お手本を見聞きした直後には、
失敗1回だけで見事クリア!

バツグンの順応性です。
この演目が生れた時代って、これくらい臨機応変に対応できないと、生き抜けなかったのかしら。

なにか準備すべきことがあるなら、事前に言っといて貰わないと、なーんて文句を言いたくなりそうなもんなのに。

理不尽な目に遭う前提で、日々生活していたのでしょうか。
たくましいです!


狂言「泣尼」。
出家が茂山七五三さん、
施主が茂山千三郎さん、
尼が茂山あきらさん、
後見は逸平ちゃん。

七五三さんの、ユルッとした立ち
姿が、なんとも風情がありました。
特に袈裟なしの姿が。

墨色の長衣&角頭巾の着こなしが、萬斎さんと同じくらい似合う方が、この世に存在したとは!

萬斎さんとは方向性が違うんだけど、
七五三さんは七五三さんで、独特の出家スタイルが確立されてて、すっかり気に入ってしまいました。

長衣の裾のテロンとした落ち感といい、少し身体を前傾させたときの衿元の弛み具合といい、アウトローな気配が漂います。

尼のファースト泣きに
「早や泣くか」と応じる言い方も、
ノホホンしてて愉しくなっちゃう。


狂言「牛盗人」。
兵庫三郎が万作さん、
牛奉行が萬斎さん、
太郎冠者が高野さん、
次郎冠者が月崎さん、
三郎の子が松原悠羽太くん。

地謡が、石田幸雄さんを地頭に、内藤くん&飯田くん&淡朗くん。

後見が深田さん&中村くん、
幕は、遠目でよく見えなかったけど、裕基くんらしき風貌。

萬斎さんは、黒い長いお髭に、長袴タイプの直垂。露草色の毘沙門亀甲の模様に、鶴亀が配されています。

容疑者の情報が舞い込むや否や、
誤認逮捕でもいいから、とにかく連行せよ、と、やや横暴で厳めしい奉行サマ。

容疑者として万作さんを部下が引き立てくると、
縛ってる紐をもっとキツく縛れ!
なーんて命じたりして、冷血にも程がある。
わーっ
いい!

そうそう、
万作さんが橋懸りに出ていらした時、
孤高のオーラがあり、俳優さんみたいだった。

万作さんは、罪を認めたあとも毅然としていて、犯罪に至った経緯を話すときも卑屈になることなく、堂々としています。

「武悪」の要素も感じられ、魅力的。

萬斎さんは、最後には貰い泣きしてしまうんだけど、かなり手前から、涙をこらえておられるように見えました。

犯行に到るまでの経緯を聞きながら、
万作さんの犯罪は必然だった、という思いに駈られていたのでは?

でも、法に照らせば罰せざるを得ないし、という葛藤が、早い段階から始まっていたのではないかと。

なので、三郎の子供の願いを知ったとき、それだ!
と即、感じたのではないかしら。

理性では、そんなん許容できるわけない、と打ち消しつつも、それだ、それだ、それしかない、と心中でせめぎあって、ついに落涙、という風でした。

とても素敵な演目。
丑年にカンケーなく、定番で拝見したいです。

「梅若研能会 1月公演」を観る

1月16日、国立能楽堂へ。
 
「翁」

翁はの梅若万佐晴さん。
当初、翁は万三郎さんがつとめられることになっていたのですが、ロビーに貼り出された案内によりますと、万三郎さんはお怪我のため、代演となったのだとか。

千歳が梅若万佐志さん。
三番叟が飯田豪くん。
飯田くんは、披きだそうです。
面箱が淡朗くん。

笛は栗林祐輔さん、
小鼓頭取が久田舜一郎さん、
脇皷が古賀裕己さん&清水和音さん、
大鼓が大倉慶乃助さん。

橋懸りに、面箱、千歳、翁、三番叟がでてきて、
そのあとに素襖裃の囃子方、後見、地謡、と、次々に入場してくる光景が、なんともいえず大好き。

ことに、国立能楽堂の長~い橋懸りだと、壮観です。

シテ方後見のあとに続く狂言後見は、萬斎さん。
と、ここまでは期待もこめつつ、予想していた範囲内でしたが・・・

萬斎さんの背後に従う、あのシルエットは?
はうっ
ゆゆゆ裕基くん??
揚幕の奥に現れた時点から、もう目が釘付けでした!

小鼓方の後見も豪華で。
小鼓頭取の後見は大倉源次郎さん、
脇鼓の後見が、大倉伶士郎くん&飯冨孔明さん。
囃子方の後見の皆さまは紋付き裃。

千歳の直垂には、大きなスモーキーピンクの梅が一面に咲き誇っていました。梅の間には鶴亀も配されていて華やか。
こんなフェミニンな色調の直垂も、アリなんですねー

狂言後見コンビ様たちは、青鈍色の素襖裃で、裾の方が松皮菱きりかえで露草色になっています。
露草色エリアは、向鶴菱でしょうか、細かい模様がびっしり。

目が洗われるようだ、とは、正に、こんな方々に使うために創出された表現なのではないでしょうか。

裕基くんの素襖裃のお姿、私は初見かも。
なんてお似合いになるんでしょ。

この1週間前に、「末広かり」のシテをなさったようですが、観てみたかった~
チャンス再来に期待します。

飯田くんは、披きとは思えないくらい堂々としておられ。
烏飛び、格好いい~
シッカリ万作家の三番叟でした。


「二人袴」
親が萬斎さん、
聟が裕基くん、
舅が石田幸雄さん、
太郎冠者が高野さん、
後見が中村くん。

萬斎さんと裕基くんは、翁に続いてのご出演で、間に休憩時間20分があるもはいえ、大忙しですね。

萬斎さんは、ブルーグレーの段熨斗目、八掛は滅紫色。
今までは、このお役をなさる時の段熨斗目は、大半が裏柳色で、時たま榛色だったのですが。

このたびの長袴の色味とのバランスのためでしょうか?

この演目で使われる長袴は、深緑色のことが多かったんだけど、今回は、松皮菱きりかえの紫&あらいしゅのツートンカラーだったのです。
紫とブルーグレーは、無敵の組合せですもんね。

そして、リアル親子による親子コンビも、無敵でした。

お二人そろって舅殿の前に出てからの会話では、
裕基くんの操る「マ」が、サイコー。
あそこまで長い「マ」でも、お相手が萬斎さんだからこそ、成立するのでしょうね。

でも、まだまだ、萬斎さんの聟も観たいなー、と、私の欲望は、果てしないのでした。

高野さんの扇が、可愛かった。
白地に、竹の根元が描かれていて、その側にタケノコがパラリ、と。
金銀が少しだけあしらわれていて、余白が良いのです。


仕舞
 「嵐山」 梅若志長さん
 「屋島」 梅若紀長さん


二人静 立出之一声」
菜摘女が加藤眞悟さん、
里女&静御前が梅若紀彰さん、
手宮の神主が安田登さん、
神主の下人が中村くん。


笛が小野寺竜一さん、
小鼓が鵜澤洋太郎さん、
大鼓が大倉庄之助さん、
地謡は5人で、1列。
アイの幕は、紋付裃の高野さん。

前シテは、白い水衣をまとっていて、肩の辺りの華奢な風情が綺麗。

物着の時に、水衣を長絹にチェンジなさる後見の方々のお仕事ぶりが丁寧で、見とれてしまう。

まず水衣の衿を少し抜いておき、
長絹を水衣の上から着せ掛け、
それから長絹の裾からの水衣を下へ引き抜いておられ。

こうすると、下に着ている摺箔の肩が一瞬たりとも、アラワにならずに済むのですねー


長絹は古代紫色の地に、金・銀・胡桃色の藤の花。

後ツレの長絹は、白地で、柄はシテと同じながら、花の色を地の色に寄せているため、パッと見は、花がまばらに見える、という凝りよう。

一方、長絹の下から見える橙色の縫箔は、杜若&蝶&藤の花がはいされたもので、こちらは、色・柄とも完全にオソロ。

二人の装束を、こんな風な取合せにするパターンもあるのですね。
とっても素敵でした!

「梅若研能会 1月公演」を観る

1月16日、国立能楽堂へ。
 
「翁」

翁はの梅若万佐晴さん。
当初、翁は万三郎さんがつとめられることになっていたのですが、ロビーに貼り出された案内によりますと、万三郎さんはお怪我のため、代演となったのだとか。

千歳が梅若万佐志さん。
三番叟が飯田豪くん。
飯田くんは、披きだそうです。
面箱が淡朗くん。

笛は栗林祐輔さん、
小鼓頭取が久田舜一郎さん、
脇皷が古賀裕己さん&清水和音さん、
大鼓が大倉慶乃助さん。

橋懸りに、面箱、千歳、翁、三番叟がでてきて、
そのあとに素襖裃の囃子方、後見、地謡、と、次々に入場してくる光景が、なんともいえず大好き。

ことに、国立能楽堂の長~い橋懸りだと、壮観です。

シテ方後見のあとに続く狂言後見は、萬斎さん。
と、ここまでは期待もこめつつ、予想していた範囲内でしたが・・・

萬斎さんの背後に従う、あのシルエットは?
はうっ
ゆゆゆ裕基くん??
揚幕の奥に現れた時点から、もう目が釘付けでした!

小鼓方の後見も豪華で。
小鼓頭取の後見は大倉源次郎さん、
脇鼓の後見が、大倉伶士郎くん&飯冨孔明さん。
囃子方の後見の皆さまは紋付き裃。

千歳の直垂には、大きなスモーキーピンクの梅が一面に咲き誇っていました。梅の間には鶴亀も配されていて華やか。
こんなフェミニンな色調の直垂も、アリなんですねー

狂言後見コンビ様たちは、青鈍色の素襖裃で、裾の方が松皮菱きりかえで露草色になっています。
露草色エリアは、向鶴菱でしょうか、細かい模様がびっしり。

目が洗われるようだ、とは、正に、こんな方々に使うために創出された表現なのではないでしょうか。

裕基くんの素襖裃のお姿、私は初見かも。
なんてお似合いになるんでしょ。

この1週間前に、「末広かり」のシテをなさったようですが、観てみたかった~
チャンス再来に期待します。

飯田くんは、披きとは思えないくらい堂々としておられ。
烏飛び、格好いい~
シッカリ万作家の三番叟でした。


「二人袴」
親が萬斎さん、
聟が裕基くん、
舅が石田幸雄さん、
太郎冠者が高野さん、
後見が中村くん。

萬斎さんと裕基くんは、翁に続いてのご出演で、間に休憩時間20分があるもはいえ、大忙しですね。

萬斎さんは、ブルーグレーの段熨斗目、八掛は滅紫色。
今までは、このお役をなさる時の段熨斗目は、大半が裏柳色で、時たま榛色だったのですが。

このたびの長袴の色味とのバランスのためでしょうか?

この演目で使われる長袴は、深緑色のことが多かったんだけど、今回は、松皮菱きりかえの紫&あらいしゅのツートンカラーだったのです。
紫とブルーグレーは、無敵の組合せですもんね。

そして、リアル親子による親子コンビも、無敵でした。

お二人そろって舅殿の前に出てからの会話では、
裕基くんの操る「マ」が、サイコー。
あそこまで長い「マ」でも、お相手が萬斎さんだからこそ、成立するのでしょうね。

でも、まだまだ、萬斎さんの聟も観たいなー、と、私の欲望は、果てしないのでした。

高野さんの扇が、可愛かった。
白地に、竹の根元が描かれていて、その側にタケノコがパラリ、と。
金銀が少しだけあしらわれていて、余白が良いのです。


仕舞
 「嵐山」 梅若志長さん
 「屋島」 梅若紀長さん


二人静 立出之一声」
菜摘女が加藤眞悟さん、
里女&静御前が梅若紀彰さん、
手宮の神主が安田登さん、
神主の下人が中村くん。


笛が小野寺竜一さん、
小鼓が鵜澤洋太郎さん、
大鼓が大倉庄之助さん、
地謡は5人で、1列。
アイの幕は、紋付裃の高野さん。

前シテは、白い水衣をまとっていて、肩の辺りの華奢な風情が綺麗。

物着の時に、水衣を長絹にチェンジなさる後見の方々のお仕事ぶりが丁寧で、見とれてしまう。

まず水衣の衿を少し抜いておき、
長絹を水衣の上から着せ掛け、
それから長絹の裾からの水衣を下へ引き抜いておられ。

こうすると、下に着ている摺箔の肩が一瞬たりとも、アラワにならずに済むのですねー


長絹は古代紫色の地に、金・銀・胡桃色の藤の花。

後ツレの長絹は、白地で、柄はシテと同じながら、花の色を地の色に寄せているため、パッと見は、花がまばらに見える、という凝りよう。

一方、長絹の下から見える橙色の縫箔は、杜若&蝶&藤の花がはいされたもので、こちらは、色・柄とも完全にオソロ。

二人の装束を、こんな風な取合せにするパターンもあるのですね。
とっても素敵でした!