萬斎さん観賞と日本画修得の日々

能楽や展覧会の観賞の感想を書いています

「還暦記念 第17回 櫻間右陣之會る」を観る

7月30日、国立能楽堂へ。

狂言「樋の酒」
太郎冠者が萬斎さん、
次郎冠者が深田さん、
主人が高野さん、
後見が月崎さん。

太郎冠者サマは、
花緑青色の地に、波頭&橋の肩衣、
白地に紺&黄の格子の縞熨斗目、
瓢箪の腰帯、
洗朱色の狂言袴。
扇には、紺碧色の朝顔&緑青の葉。

この前日にエイスケさんが死去してしまい、私はうちひしがれていたのですが、
生きて、動いて笑っている萬斎さんを観れて、慰められました。

樋づたいのお酒を呑もうとしてむせたりしてるのも、やたら楽しそう。盛大な水遊びのノリで、はしゃいでる風。

水しぶきが、太郎冠者サマのまわりでキラキラしているかのよう。

そして、酒宴で謡う萬斎さんのお声が、そらもぉ、美しいったらなかった!

ところで、前髪がかなりながくなられたような。
左頬の辺りにかかる程でした。

先日の、やっとな会の時は気付かなかったけど、今回は樋ごしの
お酒ごくごくシーンなぞがあり、
乱れ落ちてきたものと思われます。


仕舞「笠之段」
本田光洋さん。


能「道成寺
シテが櫻間右陣さん。

道成寺の僧が森常好さん、
従僧が舘田善博さん&梅村昌功さん。

オモアイが萬斎さん、
アドアイが裕基くん、
狂言方鐘後見が、
中村くん&内藤くん&飯田くん&淡朗くん。

大鼓が広忠さん、
小鼓が幸正佳さん、
太鼓が金春惣右衛門さん、
笛が藤田次郎さん。

萬斎さんは、裏葉色の縷水衣、
同色の麻の葉柄の腰帯、
白地に茶の篭目模様が配された狂言袴の括り袴。
濃紺の無地熨斗目、山葵色の能力頭巾。

前場の萬斎さんのセリフは重々しく、ときどきタメもあったりして、
空間が鈍くウネってゆきます。
ムンク叫びの背景みたいな感じ。

きゃ~
今からナニゴトかが起こるぅー
という予兆が煽られて、
ゾックゾクのワックワクです!

そして、今回は、アイお二人が鐘を釣るしてくださいました。
なんとゆーサービス!

1つの公演の中で、
萬斎さんの狂言も観れて、
道成寺のオモアイも観れて、
しかも鐘釣りワークも観れる、と。

帰宅して調べてみたら、
金春流&金剛流&喜多流は、アイが鐘を釣ることになっているのですね。

すなわち、僧がオモアイ(萬斎さん)に、鐘を釣るすよう命令すると、それを受けて萬斎さんはいったん幕に入ります。

少しして、
エーイーヤー、エーイートー、と掛け声が幕の中から響きだし、幕が上がると、

萬斎さんを先頭に、
、中村くん、鐘、内藤くん、裕基くん、という順番で、橋懸にあらわれました。

中村くん&内藤くんは、紋付裃。
裕基くんの装束は、萬斎さんとオソロで、無地熨斗目だけが色違いで青藍色。

まず、萬斎さんが、先端がJ字形の棹で、滑車の角度を調整。
大まかな角度は調整できても、J字の先端を滑車内に入れちゃうと
微調整がやりにくいようで。

最後は、滑車を外側から棹で、
カンカンカンッ
カンカン! カンカンカンカンカンッ
と叩いておられ。
怒ってないですよね?

なんとか微調整ができて、いったん萬斎さんは棹を下げて、小休止。
いや、実際には休んでるんじゃないんだろうけど。

あんだけ長い棹を操って微調整するって、かなりの重労働なことでしょう。

続いて、裕基くんの出番です。
裕基くんは、Y字の棹に綱の先端の輪っか部を挟み、滑車通しのファーストトライ。

が、輪っか部が少しお辞儀したよう下に垂れ下がってしまって、滑車をくぐらせることができず。

裕基くんは直ぐに棹を下げて、輪っかを挟み直して、セカンドトライ。

裕基くんの背後の内藤くんが落ち着き払って棹のサポートをなさり、頼もしい限り。

セカンドトライで滑車を通し成功!

すかさず萬斎さんがJ字棹を高く上げて、滑車から頭を出した輪っかを引っ張り下ろす。

けっこう抵抗があるみたいで、背後の中村くんもサポートしつつ、
最後は無理やりねじ伏せるかのように、ずずずーっと引き下ろすことができました。

ここで、萬斎さんの残量は、もはや6%か7%という様相。
が、まだ休めません。

ぐっちゃりの綱をたぐって、それなりに整線して、シテ方鐘後見に渡して、ここで漸く一区切り、となったのでした。
お疲れ様でございました。

ところで、今回の道成寺では、
白拍子はホントに供養をするつもりでやって来たのかな、という気がしました。

供養のつもりだったんだけど、
蛇に豹変するスイッチを
萬斎さん(寺男)に押されてしまった、という風に感じられて。

舞を所望したのも寺男で、
更に、ちょうどイイモンあったよ、と、烏帽子を渡したのも寺男

前に観た観世流では、白拍子の方が、もうちょっと能動的だった記憶あるのですが。

で、そのスイッチが入ってく過程なんだけど、これが大鼓の一調で、
もーめちゃくちゃカッコいい!

続いて、大鼓から小鼓にバトンタッチして乱拍子に。

前シテの面は、切れ長の目に、少し腫れたような瞼が妖しくも艶やか。

その美貌の白拍子の後方の橋懸にも、同じく切れ長の美貌の寺男コンビが。
橋懸にこのお二人が並ぶと、絵が締まりますねー

後シテの蛇ちゃんは、けっこう早く退散してしまい、可哀想でした。

やはり、今回の白拍子は、蛇に豹変なんかしたくなかったのに、スイッチ押されちゃったに違いないです。

「第9回 狂言 やっとな会」を観る

7月25日、宝生能楽堂へ。

いきなり前置きもなく、ショートコントらしきものがスタート。
蚊相撲」のワンシーンだな、ということは直ぐに気付くも、
頭のなかで、?????がぐるぐる。

このあとに深田さんが解説でお話しさることには、
実は、「やっとな」というセリフが出てくる狂言のワンシーンを冒頭にちょっと演じるのが、こちらの会では恒例なのだ、と。

なんて楽しい企画!
オープニングの掴みも、ばっちりですねー


小舞「蝉」 萬斎さん。

地謡は、深田さんを地頭に、
月崎さん&内藤大助くん&遼太くん&飯田くん。

萬斎さんは、藍白色の色無地に袴。す・ず・や・か~!
岩清水かラムネソーダか、という究極の清涼感!!

高速旋回なさると、袂がシャーッと水平に開いて、まさに蝉の羽のよう。

ありがとう、この演目を作った昔のヒト。
ありがとう遠心力。


狂言「蝸牛」
太郎冠者が万作さん、
主が石田さん、
山伏が中村くん。

先入観なく相手の発言を実行しようとすると、山伏がカタツムリに変換されてしまう、という、発想の斬新よ。

現代に置き換えて考えてみると、
ロボットに同じ命令をしたら、
やはり人間を連れて来ちゃうのかも。

これは、インプットした主に責があるんじゃないでしょうか?

私の後方の席の男性達から、何度も楽しげな笑い声が。
万作さん達が幕に入られた後、彼らからは、
「太郎冠者は萌えキャラ」というワードが。

おお!
確かに~


素囃子「神舞」
笛が栗林祐輔さん、
小鼓が 鳥山直也さん、
大鼓が大倉慶乃助さん、
太鼓が林雄一郎さん。


狂言「博奕十王」
博奕が深田さん、
閻魔大王が萬斎さん、
前鬼が内藤くん、
後鬼が飯田くん、
鬼が淡朗くん&岡さん、
鉄杖鬼が高野さん。

地謡は、石田さんを地頭に、
太一郎くん&中村くん&裕基くん。

萬斎さんは、面を掛けておられても、まごうことなき萬斎さんでした。

手の表情の美しさも、
初めて知った"バクチ"なる遊びにに夢中になるチャーミングさも。

萬斎さんの大暴走っぷりに、
そこはゼッタイ「1」以外でしょ!
とツッコミたくなっちゃうんだけど、
ここで活躍したのが高野さん。

高野さんは、私たち観客の声を代弁してツッコんでくれる、キーパーソンだったのでした。

楽しかったーー

深田さんのサービス精神が随所に溢れていて、お人柄が感じられる素敵な会でした。

「銕仙会 7月定期公演」を観る

7/9、宝生能楽堂へ。

とんでもない「水汲」を観てしまった!
聴いてしまった!!

萬斎さんがシテの「水汲」では、
これが最高峰では?

萬斎さんの謡が美しいのは知ってたけど、今回のは次元が違う。
いったい何があったの?
萬斎さん??

さて、今回の配役は、
新発意が萬斎さん、
いちゃが太一郎くん、
後見が内藤くん。

萬斎さんは、
琥珀色&茶の能力頭巾、
白地に茶の格子の縞熨斗目。
ブルーグレーに金糸の麻変わり亀甲の腰帯。
白地に薄群青色の変わり市松模様狂言袴。
この柄は、万作さんのヘビロテ狂言袴と色ちがいではないかと。
萬斎さんには今回の色の方が、より映えます。

水衣はシャイニーグレー。
いちゃが濯ぎものをする川面の煌めきが水衣に映っているかのよう。

扇は、シルバー地に観世水が流れ、ろくしょう&鮮やかな青の花が配されたもの。
涼やかな中に格調のあるコーデ。

太一郎くんのお声は、華やかで艶があって、萬斎さんのお声との相性も、とても良いですねー


狂言の前に、野村幻雪さんによる
舞囃子「小塩」。

お父様(写真でしか観たことないけど)に、似ておられる~
今まで、そんな風に思ったこと無かったのに。

笛が一噌庸二さん、
小鼓が飯田清一さん、
大鼓が柿原光博さん
太鼓が三島元太郎さん。
地謡は、銕之丞センセを地頭に5人編成。

枯淡の境地におられる方が、直面で業平をなさってるのに、不思議と違和感なし。

鈍色の紋付を着ておられ、
背後の囃子方地謡は、当然ながら黒紋付で、水墨画の世界のよう。
すべてにおいて抑制の美学が行き渡った曲でした。


ラストは、能「藤戸」。
漁師の母&漁師が、浅井文義さん。
佐々木盛綱が舘田善博さん。
その従者が梅村昌功さん&則久英志さん。

盛綱の下人が高野さん。

笛が槻宅聡さん、
小鼓が吉阪一郎さん、
大鼓が國川純さん、
地謡は清水寛二さんを地頭に8人編成。

後シテの面が、インパクト大。
公演パンフによると、氷見作の「蛙(かわず)」というのだそうです。

後シテが、すーっとキザハシ近くまで出てくると、黒頭の前髪の陰になっていた目元や頬骨の辺りにまで照明が当たって、
移動距離を上回るズーム効果が。

佐々木盛綱に、自分がどうやって刺し殺されたかセルフ再現した場面が衝撃的。

これを見せられた盛綱が、むしろ悔い改めて成仏すべきなんじゃない?、という気持ちになってしまう。

漁師は何にも悪いことしてないしね。

「狂言劇場 その九 Bプロ(6/25)」を観

6月25日、世田谷パブリックシアターへ。

「舟渡聟」
船頭&舅が万作さん、
聟が裕基くん、
姑が岡さん。

裕基くんは、スラリと華やか。
船頭にお酒を注ぐ際に、腕を長く前に伸ばす所作が美しい。

この演目って、船中シーンと舅宅シーンの2パートと思っていましたが、
ラストの問答&連舞シーンは、ここだけで別カウント!という素敵さでした。

実は、3パートの構成だったのねー
そんな気持ちになったのは・・・

聟が「いかにやいかに舅殿、何しに髭を・・・」という辺りから照明が夕焼けに変わっていったので、
ここからは交歓ステージだよー、というのが明快だった為かも。

聟の問いに洗いざらい答えて
「・・・のためなり」
と返す舅は、鋭い気品がギラリ。
槍のように、床にシャッと気品が突き刺さるかのよう。

萬斎さんさんが折に触れて仰るように、確かに万作さんには解脱の域におられるように感じられる時もあるけど、
この”ギラリ”の気品を隠し持っておられるとこも、魅力です!


「鮎」
作が池澤夏樹さん、
演出&補綴が萬斎さん。

小吉が萬斎さん、
才助が石田幸雄さん、
大鮎が深田さん、
小鮎が月崎さん&高野さん&中村くん&内藤くん&飯田くん。

笛が竹市学さん、
小鼓が大倉源次郎さん。

5尾の小鮎たちが軽快にピチピチと釣られていき、
5尾目の飯田くんだけ、ダンッと重低音で釣られるトコが、妙に好きです。

三番叟の烏飛ビのラストだけ、音を立てて落ちるのと同じ効果でしょうか。

月崎さんがノリノリ。
「アーチや アチや・・・」の時も、オール鮎のなかで一番楽しそう。

ラストは、セタパブならではの新演出!

私は、都会に出ていくことが悪の選択とは思ってないので、
さーて、これから小吉の奮闘が始まっていくのねー
と、ちょっとワクワクしましたよぉ

主演後の割れんばかりの拍手が気持ちいい!
その拍手に、演者のみなさまが応えてくださるのも、嬉し~

この作品、海外とかでも上演して欲しいです。

「第49回 正門別会 特別公演 観世宗家独演 翁付キ五番能(第一部)」を観る

6月20日、観世能楽堂へ。

「翁」   
翁が観世宗家、
千歳が三郎太くん、
三番叟が萬斎さん、
面箱が裕基くん。

三番叟後見が深田さん&中村くん。
狂言方の幕は、飯田くん。

笛は杉信太朗さん。
小鼓頭取が大倉源次郎さん、
脇鼓が大倉伶士郞くん&田邊恭資 さん。

大鼓が広忠さん~!
紫色の毘沙門亀甲の素襖裃です。

地謡は、角寛次朗さんを地頭に、10人編成。

最初に登場する裕基くんは、いつも以上に重々しい低速度で橋掛りを進んでくる。
明るめの藍色の地に、鶴亀&松竹が配された直垂。

前々日の「法螺侍」の太郎冠者とガラリと変わり、見事なまでのポーカーフェイス。

この静寂な面の下には、めまぐるしく喜怒哀楽が変換する豊かな表情筋が隠されていたんだなー、と、感慨深い。

萬斎さんは、墨紺色の直垂で柄は裕基くんとオソロ。

三番叟を務める前は、精進潔斎する、と、一般に言われているけど、
萬斎さんてば前々日に、”ほらたすけえもん”の役をなさって大丈夫だったのかしら?

女性とナカヨクしようとトライはしたけども、成就ならず、だったから、ギリギリセーフでしょうか。

翁に向き合い、対面する白皙の横顔は気高い冷気に包まれて、”ほらた”の片鱗は全くなし。

はーっ
ウツクシイ三番叟だったー
キレと、格調高い所作に加えて、シュンッ シュンッ、と狂気が掠めるのが最高すぎる。

伶士郞くんは、背がグンと延びられ、美少年オーラ増し増しでした。

数年前、増田正造センセのオープンカレッジの講座を受講した際に、若かりし頃の源次郎さんを評しておられた言葉を思い出しました。

「鼓を打ってると、まだ指の皮が薄いから指先がピンク色に染まってくるんですねぇ。それが非常に色っぽかった。」と。

その描写のお父様そのままに、伶士郞くんの長く華奢な指先も、ほんのり朱に。
おお、増田正造センセが仰るのは、このことだったのですねー

翁が終わると、脇鼓のお二人は退出され、他の囃子方はそのまま残られ、
高砂 八段之舞」が始まりです。

太鼓は金春惣右衛門さんで、
「翁」の時から舞台に出ておられました。

シテが観世宗家、
ツレが三郎太くん。
ワキが福王茂十郎さん、
ワキツレが村瀬堤さん&矢野昌平さん。
アイが太一郎くん。

太一郎くんも、素襖裃&侍烏帽子。
通常の「高砂」では長裃だった記憶があるけど、
翁つき脇能になると、アイの装束もトクベツになるのですね。

いったん退出された伶士郞くんは、前場の途中からお父様の後見を務められました。
先程の素襖裃から、紋付裃にお着替えされています。

後シテの住吉明神の舞が颯爽とカッコいい。
お囃子も、トーゼンながらカーッコいい~
やっぱり広忠さんと源次郎が揃うと格別です!

「末広かり」
果報者が万作さん、
すっぱが石田幸雄さん、
太郎冠者が遼太くん。
後見が内藤くん。

なんと、内藤くんも素襖裃&侍烏帽子。

この曲の太郎冠者は、すっぱに騙される太郎冠者の中では、ハイスペックなランクではないかと。

騙される、という失態がありつつも、上司の怒りをシッカリ解消できんですもの。
そのハイスペックぶりに、遼太くんの端然とした様がベストマッチ。

最後に万作さんが退出する方向へ、ターンなさるとき、シュバッと袂を大きく捌かれる。

萬斎さんと、おんなじだぁ
この「シュバッ」は、萬斎さんのオリジナルではなかったのね。
「エイヤーッ」の止めの後に、「シュバッ」が付くと、いっそう締まる気がします。

ここまでで3時間5分。
この間、お笛と太鼓は、正座しっぱなし!
オソロシー芸能です。。。

仕舞「砧」 観世銕之丞   

「清経 恋之音取」
シテが観世宗家、
ツレが坂口貴信さん、
ワキが宝生欣哉さん、

笛が杉市和さん、
小鼓が幸正昭さん、
大鼓が柿原崇志さん。

地謡は、観世銕之丞さんを地頭に8人編成。  

戴いた公演パンフでは、今回の小書について、「笛が地謡前に膝行し、幕の方を向いて」と書かれています。

ふむふむ、と問題のシーンが近づくと、市和さんに大注目して見守りました。

市和さんの体の向きは、確かに幕の方向に向いていましたが、視線は全く幕には向けられず、ご自分のタイミングで吹いておられました。

無音の時間がながーく続いて、その間は清経は動きを止め、再びお笛の音が流れ始めると、清経も動き始める、と。

”だるまさんが転んだ”のゲームのよう。

道成寺」の乱拍子のようでもあります。
でも、マは「道成寺」よりも、ずーっと長い気が。

このマは、どの流派でも同じなよかしら?

小書で疑問が沸いたときは、コレ!
「能にも演出がある 小書演出・新演出など」。

帰宅してから、清経の頁を見てみると、

マは口伝になっている、と。

更に、シテの方では、笛とともに動く流派と、逆に笛止んできる間だけ動く流派があるんですって。

今回、不思議なことに私は、清経の中に宗家が入っていることをスッカリ忘れて、見ていました。

なにしろ”だるまさんが転んだ”方式なので、清経は、なかなか橋掛りを渡りきらない。
観世能楽堂の橋掛りは短いにも関わらず。

それだけ長い時間のなかで、
宗家が清経になって、
更に亡霊になって、
という二重の虚構がリアルになってゆくということでしょうか。

ところで、
欣也さんが笠を投げ捨てるシーンがあったのだけど、それを拾うためだけに、大日方寛さんが紋付裃で後見座に一時スタンバイされており。

わわわっ
紋付裃のお姿なんて、レアですーー

「狂言劇場 その九 Aプロ(6/18)」を観る

6/18、久々に世田谷パブリックシアターへ。

「武悪」
武悪が万作さん、
主が石田幸雄さん、
太郎冠者が太一郎くん。

万作さんのゼンマイ&笹の葉の肩衣が素敵。
荒涼とした鳥辺野の景色が、雰囲気がありました。


「法螺侍」
原作:W.シェイクスピアウィンザーの陽気な女房たち」

高橋康也さん作、
演出は野作さん。

洞田助右衛門が萬斎さん、
太郎冠者が裕基くん、
次郎冠者が中村くん、
お松が高野さん、
お竹が内藤くん、
焼兵衛が深田さん。

太鼓が桜井均さん、
笛が一噌幸弘さん。

太郎&次郎冠者コンビから、若さが迸っていました。
嬉々として萬斎さんをトッチメてるのも、イイ。
お芝居なのか、リアルなのか?

観てるコッチにまで楽しい気分が伝染して、一緒にトッチメテいる心持ちになってくる。

特に裕基くんがイイ!
こういう演劇サイド寄りの作品に出演なさったのって、「白雪姫」に次いで、まだ二回目でしょうか?
実にイキイキと、軽やかに駆け回り、跳び跳ね、目が釘付けでした。

でもねー
イッチバン楽しんでるのは、萬斎さんではないでしょうか?

洗濯篭ごと川に放り込まれて、
様々な泳ぎを披露するシーンも、楽しんでなさってますねー
早送りのアニメのような動きも可愛いかったです。

「第1回 野村太一郎の会」を観る

6月13日、観世能楽堂へ。

最初に太一郎くんのご挨拶。

続いて萬斎さんによる解説。
黒紋付きに空色の長襦袢

わーい!
能楽堂で萬斎さんが解説してくださるなんて、なかなか無いことです。

太一郎くんへのはなむけのお言葉に、おおきな愛情が充ちていました。
そもそも、太一郎くんのお客様に楽しんで貰おう、と解説を買って出られた、という時点で、並々ならぬ愛情が感じられます!

なんと20分ちかく解説してくださいました。

「船渡聟」
船頭が万作さん、
聟が太一郎くん、
姑が高野さん、
後見が石田淡朗くん。

晴れやかな聟どのでした。
船頭と聟の掛け合いが楽しい。

やりたい放題の船頭と、
それにタジタジな聟どの取合せがぴったり。

太一郎くんの陽性オーラのためか、困り果てた様にも、つい笑いを誘うところがあるのですよねー


「昆布売」
昆布売が萬斎さん、
大名が裕基くん、
後見が石田幸雄さん。

裕基くんは、紺地に鬼瓦の素襖裃、
コーラルオレンジ&テールグリーン&鶸色の段熨斗目。
今回の装束、好き。
大柄の段熨斗目が映えます。

と思ったら、昆布売サマは、更にその上をゆくお洒落コーデ!

肩衣は、常磐色の地に、
ろくしょう色の蓮の葉&
びゃくろく色の蓮の実。

空色とびゃくろく色の格子の縞熨斗目、紺の襟。
括り袴の狂言袴は、白地に茶色の篭目模様。
釘抜紋の腰帯。

涼感ただよう清冽な麗しさ!!

昆布売サマが、大名を脅すために刀を構えると、ついつい知盛様の片鱗がチラついてしまう。
萬斎さん、相手は、民部ではありませんよぉ~

大名に、色んな節をレクチャーする昆布売さまのお声が、もーぉ
美しーの、なんの!

この配役の「昆布売」、最強なんじゃないでしょうか。


「止動方角」
太郎冠者が太一郎くん、
主が萬斎さん、
伯父が石田幸雄さん、
馬が石田淡朗くん、
後見が裕基くん。

裕基くんは、この日も九一分け。
そういえば、前日にアイをなさった時も同様でした。
整ったお顔だちなので、このようにスッキリ額を出されても、お似合いになります。

萬斎さんは、鎧格子ちっくな模様の紫色の長袴能、瑠璃色の段熨斗目、ブルーグレーの襟。

太郎冠者が主を使用人に見立てて、ゾンザイにあしらう所、メチャクチャ楽しかった!

ハラワタが煮えくり返ってる様子の主さま、いいですねー

馬から振り落とされる主さまも、よき振り落とされっぷりでした。
アニメみたいに、ぴゅーっとはね飛ばされちゃうんだもの。

記念すべき第回目の会が、朗らかな光にあふれた会となり、嬉しく思います。

入口で配布された番組表によると、来年2022年は、6月4日に新作能「白雪姫」を上演予定のとこと。
Blu-rayで観て面白かった、あの作品を!
ついに生で観れるのですね?!
楽しみにしておりますーー