萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「東京能楽囃子科協議会定式能(三月公演)」を観る

3月13日、国立能楽堂へ、「東京能楽囃子科協議会定式能(三月公演)」を観に行ってきました。
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狂言「蝉」
蝉の霊が萬斎さん、
旅僧が高野さん、
所の者が金澤桂舟くん、
地謡が、
裕基くん&中村くん&内藤くん&飯田くん。
後見が深田さん、
前半の幕が岡さん、
後半の幕が太一郎くん。
笛が八反田智子さん、
小鼓が住駒匡彦さん、
大鼓が柿原孝則さん。
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萬斎さんは、うそふきの面、黒頭、白の縷水衣。
その下の厚板(?)は、泥染め大島紬ちっく。
蝉の繊維質な胴体の質感に寄せているのでしょうか。
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ふわりと身体をひるがえすと、カサッとした軽いモノが、浮遊してるよう。
一転して、高速の舞は、狂気をはらむカッコよさでした。
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そして、細身の萬斎さんに対して黒頭がボリューミーなので、出家した態で黒頭を外すと、物理的に身軽になった感が強く、ほんとうに様々な束縛から解き放たれたかのよう。
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この曲のなかで蝉の霊が歌を詠むのですが、
源氏物語の中で光源氏が読んだ歌「空蝉の身を変へてける 木のもとに なほ人がらの懐かしきかな」とは、一文字だけ変えて、「身を変へてゐる」となっているのだとか。
私はちゃんとヒアリングしきれませんでしたが、2008年10月の国立能楽堂パンフに、湛センセが書いておられました。
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ところで、地謡の裕基くんが水際だった美しさ!
狂言のお役で登場する時も然りですが、今回は、もはや大事件のような美!
狂言の地頭を務める、という覚悟から来るのでしょうか。
またハムレット、再演して欲しいものです。
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能「融 笏之舞」(金春流)
塩汲みの老人&融の大臣の亡霊が髙橋忍さん、
旅僧が舘田善博さん、
アイが野村太一郎くん、
笛が一噌幸弘さん、
小鼓が幸信吾さん、
大鼓が安福光雄さん、
太鼓が大川典良さん。
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前場の終盤、謡の言葉がきれいで、冴え冴えとした夜の気配が感じられました。
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後シテの初冠の纓が、クルンと丸まったフォルムで、垂れ下がってないパターンもあるんだ、と興味が湧きました。
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帰宅して「対訳でたのしむ融」を参照してみると、
「文官の融は垂纓(すいえい)、武官の在原業平の能は巻纓(けんえい)を付ける。」と書かれており。
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が、他の本をパラパラしてたら、櫻間金太郎さんの「融 笏之舞」の写真があり、やはり巻纓を付けておられ。
金春流は、いつも巻纓なのか、はたまた、笏之舞の小書が付くと巻纓になるのでしょうか。
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以前にも金春流の融を観た事があるのに、初冠の形は記憶に残ってなくて、気になります。
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さて、今回の公演では、番組表とは別に、解説も配布されたのですが、これが囃子に特化した解説で、とても読み応えがありました。
知らないワードもチラホラあるのですが、それでも分からないなりに面白かったです。
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