萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「青山能 MIRAI」を観る

12月22日、銕仙会能楽研修所へ。

この公演は、なんと子方ちゃん達を主軸に据えた、レアな企画なのです!

チラシに掲載された説明文を転記しますと、

「青山能MIRAIは能楽の未来を担う次世代の能楽師を皆様とともに育ててゆきたいという思いから企画された公演です。」

・・・とのこと。

この公演主旨については、最初に観世銕之丞さんが出ていらして、5分ほど掛けて丁寧にご説明くださいました。

そのなかで特に心に響いたお言葉が。

「子供から大人になる頃の少年は、とても美しい力を持っています。これも幽玄の1つとしてご覧いただければ・・・」
と。

そうなのです、子方ちゃんだけでなく、子方ちゃんとシテ方あるいは狂言方、の狭間の年齢の方もご出演されているのですよねー

子方ちゃんとお呼びせずに、次世代クン、としておきましょう。

で、その次世代クンのなかに、私の超絶イチオシ・長山凜三くんがおられ!

今回は、「小袖曽我」のシテを凜三くんがなさる、とのことで勇んで伺いました。

凜三くんを拝見するのは、1ヶ月前の「花月」以来です。
また一段と大人びたお声になられたような。

凜三くんは、侍烏帽子に、亀甲模様の厚板、紺色の襟、黒い蝶の紋入の七宝つなぎ地紋の腰帯、白大口、鶴亀が配された紺色の直垂、
という出で立ち。
直垂の裾の方は、ブルーの雀と白い蝶がモチーフになった菱模様。

侍烏帽子の紐を顎下で結んで、その余った分を頬の方にねじるように巻き込んであるのが、なんか好き!

その紐が頬の上にキリリと描くラインと、手にされた弓のフォルムが響き合って、なんて絵になる景観なんでしょー

それと!ママに対峙するとき、片膝をつき、両手をつかえて頭を下げるんだけど、この姿がとーっても美しかった!!

襟足から直垂の肩にかけての優美な曲線には、ママを敬う深い思いが、
肩先から床に流れる袖の直線的なラインには、敵討ちの決意が宿ります。


仕舞・舞囃子を含め、トータル2時間弱の公演でしたが、たいへん充実したひと時となりました。


以下に番組を転記しておきます。

カッコ内は、番組表に記載されていた次世代クンたちのお生まれになった年です。

仕舞「吉野天人」 
 谷本康介(平成22年生まれ)
 地頭 泉雅一郎

仕舞「枕慈童」
 泉房之介(平成18年生まれ)
 地頭 泉雅一郎

舞囃子「舎利」
 足疾鬼 観世淳夫
 韋駄天 谷本悠太朗(平成19年生まれ)
 笛 藤田貴寛
 小鼓 飯冨孔明
 大鼓 佃良太郎
 太鼓 梶谷英樹
 地頭 西村高夫

狂言「雷」
 雷 野村万之丞
 やぶ医者 河野佑紀

能 「小袖曽我」
 曽我十郎祐成 長山凜三(平成17年生まれ)
 曽我五郎時致 馬野訓聡(平成17年生まれ)
 曽我兄弟ノ母 鵜澤光
 団三郎 馬野正基
 鬼王 長山桂三
 乳母春日局 野村拳之介(平成11年生まれ)
 笛 藤田貴寛
 小鼓 飯冨孔明
 大鼓 佃良太朗
 地頭 小早川修
 後見 観世銕之丞、観世淳夫

以上です。


来年の同会は、
12月21日、12:30開演、銕仙会能楽研修所にて、
馬野訓聡くんの舞囃子「弓八幡」、
凜三くんの舞囃子「敦盛」、
谷本悠太朗くんの能「菊慈童」だそうですーー