12月14日、セルリアンタワー能楽堂へ。
最初に萬斎さんによる解説。
淡い抹茶色の紋付のお姿。
「岡大夫」のご説明では、過去にご自身で復曲され、何度も演じてきたけど、
弟子に教えてみて、客観的にこの曲を捉えることができるようになった、と。
西洋の演劇では役者と演出家が分かれているけど、狂言は演者が演出も兼ねてしまうので、とのお話。
それと、ワラビ餅のことを説明なさるのに、「ぷるるっ」と巻き舌されつつ、身体を震わせる、という身体表現(?)を。
「自分でもナゼこんなことしたのか解りません。今日、食リポの収録をしてきたからかも。」と。
2/1公開の映画の番宣のためだそーです。
とてもお忙しそうで、「我ながら、よく立ってると思います」などと、胸騒ぎなご発言!
しかし、そうは仰りつつ、収録の高揚感みたいなのが抜け切っておられないのか、
「鐘の音」のご説明では、最近、ゴーンが世間を騒がせてますが、なーんて駄洒落を仰り、見所が沸くと、たいへん満足げなご様子。
そして「今日は絶好調だ!」と、自画自賛。
かわいいったらありません!
あまりのご多忙さにつき、ランナーズハイになっちゃってるのかも。
20分ほどで演目の解説を終えられた後、懐中から赤い腕時計を取り出して時間チェックされつつt
「ハデな時計ですみませんね」
と、ここで、時計をご自分のお着物に当ててみせられ、「クリスマスカラー!」と(クリスマスコーデだったかな?)。
さすが オシャレ女子!
いや、そう自称されたことはないけど、
妹さんや若村麻由美さん達と話してると女子会のノリになっちゃう、と以前に仰ってましたし。。
そのあとは恒例の年間総括のお話に。
きのう観にきてくださった方からアンチョコを戴き、今回は予習してきました!と自信ありげなとこが、またまたカワイイ!!
「きのう」っていうのは国立能楽堂での「狐塚」かしらねー
毎年、総括アイテムがあり過ぎて、取りこぼしが多過ぎる、と心配された方がおられたのですね、きっと。
で、萬斎さんの振り返りによると、シャンハイムーンでは、「猫背」を習得されたそうで。
そして5月の「七つの会議」の撮影では、さっそく習得した「猫背」テクを存分にお使いになったそうです。
あ、映画撮影は4月からの予定だったそうですが、脚本が遅れて撮影開始が後ろに倒れ、実は4月はヒマだったのですって。
萬斎さんからは、三番叟のリーク情報が。
9月にパリで踏まれた三番叟のノーカット版が、年明けに放送されるとのこと。
先日WOWOWで放送されたドキュメンタリーでは、三番叟シーンは全部は入っていなかったけど、
今度は三番叟オンリーの完全版、とのことでした!
しかし、その説明をなさるときに、「親子三世代で、ジ−サン、ト−サン、私」と、
いきなり裕基くんの視点になっちゃった。
やはり、お疲れなのでしょうね。
今回は質問を3つ受けられました。
その回答のなかで、「大きい声」についてのお話が興味深かった。
小鼓の師匠から「大きい声」を出しなさい、と指導された場合、「大きい」には色々ある。
相手の意図している「大きい」がどう声なのかを考えないといけない。
騒々しい、loudな拡散する声なのか、指向性のある声なのか、と。
あと、「法螺侍」の話も印象的でした。
「以前は劇場やホールで上演していた演目を、今回、能楽堂で上演したけど、それにあたって何か意識されたことは?(正確ではないけど、こんな感じの質問だったかと)」という質問に対して、
具体的に、どのシーンの演出を変えたのか、といったことを回答された後、
「私どもは、古典をやる身体で演じさせていただきました」と仰ったんですねー
私、ではなく、私どもは、と。
つまり、そういう意識でやろう、ということをお弟子さんを含め、きちんと全出演者に浸透させて臨まれた、ということですね。
うーん 万作家にシビれますーー
また、押す演技と引く演技にも言及されました。
劇場では、押す意識で演じますが、
能楽堂の場合は、屋根や柱に囲まれた空間が出来ているので、どちらかというと引く演技をして、この空間からはみ出たものを皆様に観ていただこう、という意識でした、と。
解説は、トータル46分でした。
つづいて「岡大夫」。
聟が内藤くん、舅が石田幸雄さん、太郎冠者が月崎さん、娘・おごうは中村くん、後見は飯田くん。
内藤くんが、妻とのラブラブ自慢をとかする場面は、とっても楽しそう。
今日はガマンせずに存分に楽しそうにしていい役でよかったね、内藤くん。
自宅に戻ってから、中村くんとスッタモンダ口論するとこが特に面白かったです!
休憩を挟んで「鐘の音」。
太郎冠者が萬斎さん、主が深田さん、後見が石田淡朗さん。
太郎冠者サマは、レモンイエロー地にターコイズブルーの格子の縞熨斗目で、裾の方がベッコウ色のグラデーションになっています。
カーキ色の襟、金茶地に黒&枯草色のイチョウが配された肩衣、まの字(?)の腰帯。枯葉色の変り市松の狂言袴。
いろんな鐘の音色を擬音で表現されるのですが、1つめの鐘からして、すんばらしいお声。それなのに、まあまあだ、とか何とかいっちゃう。
えーっ
コレを「まあまあ」の基準にしちゃうと、このあとの「佳い鐘の音」を表現するの難しくない?
そんなハードルあげちゃっていんですか?
と心配になるくらい、うつくしい擬音でした。
しかし、「佳い鐘の音」は、もーっと美しかった。しかも、もいっぺんきいてみょ と続けて2回やってくださり、もー幸せすぎる!
さらにさらに、最後の謡は、神!!
この演目をセルリアンタワー能楽堂で観たのって初めてかも。
いままでも同曲を観たこと何度かあったけど、今回は特別にすばらしかったです!!
音響が違うのでしょうか?