萬斎さん観賞と日本画修得の日々

能楽や展覧会の観賞の感想を書いています

「能を知る会 横浜公演」を観る

11月26日、横浜能楽堂へ。

最初に、葛西聖司さんによる講演「能の小書 歌枕の力 名所幻想」

葛西さんが仰ることには、「酌之舞」の小書は、色々な小書の段階を踏まないと出来ないそうで。

貫太センセは、「十三段之舞」とかの小書を経て、やっと、この小書のお許しを頂いたのだとか。

一方、今回の狂言薩摩守」とは、薩摩守忠度のこと。
忠度は平家の武将でありながら、歌人でもあり、
「さざなみや志賀の都は荒れにしを昔ながらの山桜かな」の歌を詠んだ人。

これぞまさに、今は荒れ果ててしまった六条河原院のよう、と葛西さん。

今回のは「謡入」の小書がつき、「兼平」の謡いが入るそうです。
その「兼平」というお能では、船頭が名所を教えるシーンがあるそうで。

おおーっ
繋がった~
融でも名所教えのシーンがあるので、名所教え繋がり、ということで、狂言の演目がセレクトされたのですねー

狂言薩摩守 謡入」
船頭が萬斎さん、茶屋が深田さん、僧が飯田くん、後見が中村くん、幕が淡朗くん。

萬斎さんは、オール栗色のワンカラーコーデ。
ダメージ仕様(に意図せずして到達したとおぼしき)スレッスレの長裃、よろけ縞の水衣、変わり亀甲の腰帯。

頑固オヤジ風の船頭サマです。

船頭サマが船をこぎだす前に、謡を。
うーわー
エエ声や~
と、琵琶湖あたりに住まいする通行人になった気分で、愉しくなる。

何より、こういう小書が入ったとき、昔の観客の方々は、葛西さんが居なくとも、ははーん、船頭だから兼平を謡うんだナ、にやり・・・と、していたんだなー、と、そんなことに思いを馳せるのが愉しい。

船頭サマが舟をこぎ始めると、たちまち船弁慶の船頭サマに見えてきてしまう。

手首を上に返すようにして棹をご自身に引き付けつつ、上体を反らせる姿にホレボレでした。

オチの洒落も、兼平の謡と同様に、昔の方々は、これまた葛西さんの解説を聴かずとも合点がいって、ニヤリ、としていたのでしょうね。

「融 酌之舞」
シテが貫太センセ、ワキが森常好さん、アイが内藤くん。
地謡は、観世喜正さんを地頭に4人。
囃子方松田弘之さん&鵜澤洋太郎さん&安福光雄さん&太小寺真佐人さん。

松田さんの笛が素敵でした。

後シテは、黒垂。
チラシのお写真では、地アタマのままのようでしたが、黒垂の方がダンゼンいい。
偏執的なオーラが増す気がします。

ふと、小池真理子さんの「狂王の庭」を思い出しました。
ということは、「融」は、ルードヴィッヒ二世にも通じるのかも。
ルードヴィッヒ二世が「融」を観たとしたら、ワ・カ・ル~、と歓喜したことでしょう。