萬斎さん観賞と日本画修得の日々

能楽や展覧会の観賞の感想を書いています

「第4回 文の会」を観る(色の読み方の追記版)

11月29日、観世能楽堂へ。

最初に武田崇史さんによる解説。

武田志房さん&金春惣右衛門さんによる一調「高砂

仕舞4番は、
坂井音晴さんの「生田敦盛 クセ」、
武田志房さんの「芭蕉 キリ」、
観世宗家の「花筐 狂」、
林宗一郎さんの「山姥 キリ」

「柑子」
太郎冠者が太一郎くん、主が高野さん、後見が内藤くん。

太一郎くんは、鳥の子色の地に紺色の石垣がパラリと配された肩衣。
・・・というのは前見頃の柄で、バックプリントは大きな蛙。
私は蛙が居ない前柄のほうが、特に好き。

ミカンを懐に入れてた太郎冠者が歩く、往来の空気を運んでくれるかのよう。

太郎冠者の言い訳、とても手がこんでいてアッパレです。

主も途中からアヤシイ・・・と気付いてたのかもしれないけど、
面白いから最後まで泳がせてみよう、と思ってたんじゃないかしら。

こんだけ楽しませてくれたんだから、ミカンのことは許してあげて欲しいです。


野村四郎さん&広忠さんによる一調「江口」


屋島 弓流 那須与市語 」 
シテが武田文志さん、ツレが武田宗典さん、
ワキが殿田謙吉さん、ワキツレが梅村昌功さん&御厨誠吾さん、
アイが萬斎さん、
囃子方が亀井忠雄さん&観世新九郎さん&栗林祐輔さん。

地謡は、武田志房さんを地頭に、8人編成。
後見は、観世宗家が主後見で3人。
囃子方と後見は長裃。
地謡は、普通の丈の裃。

前シテの去り際に、シテと地謡が交互に謡うとこ、謡がかっこよかった。
8人の地謡パワーでしょうか。

シテの中入のあと、橋懸りに控えていた萬斎さんが、いよいよ本舞台へ。

萬斎さんは、松皮菱の褐色(かちんいろ←萬斎さんが最近お教えくださった色の名前。"戦に勝つ"に掛けて"かちいろ"とも言うのだとか。配信実況だったか、ラジオだったか、どちらかでご教示くださったのでした。)の長裃、ブルーグレー&胡桃色&白の段熨斗目、水色の襟。 
    
狂言後見は、裕基くん~
紋付裃がキマってる。

そして、後見座に座った瞬間から、とても佳き面構え!

いまから、ご自分が奈須をかたるかのような。

翌日(11/30)は、栃木で裕基くんの奈須があったようで、その最終仕上げとして、後見のお役目を、ということでしょうか。

いやー
じっさい、萬斎さんの奈須が激しいのなんのって。
ビシビシ気が飛んでくるんだけど、見所だけでなく、背後の裕基くんへも向けて飛ばしおられたような。

よく見とけよ、と。

私も、聴覚と視覚を研ぎ澄まして臨みました。
メキメキ若手くん達が育ってきてしまったので、もうこんなチャンスは次いつ巡ってくるか分からない、これが最後のチャンスかも、という覚悟で。

育ってきてしまった、と書くと、否定感が出ちゃうでしょうか。
若手くんたちのご成長は、もちろん喜ばしいことです。
でも、萬斎さんのアイを観れるチャンスが減じてしまうのは、やはり寂しい。

アイを務められる萬斎さんご当人にトキめき、
また、萬斎さんが舞台上に召還なさった物語の鮮やかさにも、トキめかされました。

戦の場の緊張感や、武将たちのコーデがキラめく様や、海上に沢山の船がひしめく景観に、ワクワク、ゾワゾワッ、と。

義経になった時のお声が、特別に低くてカツベツ。
そして、ナレーションのお声は、もーっと重低音で、更に更に極上でした。

語り終わられて橋懸りへ退かれると、左の前髪が乱れて、頬骨のあたりまで。
登場された時は、前髪をキレイにサイドへ撫で付けられていたのですが、熱烈な語りで、いい感じなザンバに。

子午線で知盛サマになるために、伸ばしておられるのでしょうか。

後シテは、法被を肩上げにしていたのだけど、これがとても素敵な柄。

小豆色の地に、金糸で無数の渦巻がびっしり。その渦巻きの中に、笹竜胆が見え隠れしているのです。

笹竜胆が入ってるってことは、屋島オンリーにしか使えない法被ということでしょうか。
究極の贅沢ですねー