3月2日、観世能楽堂へ、「大槻文蔵裕一の会 東京公演」を観に行ってきました。
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復曲能「碁」
尼&空蝉の霊が文蔵さま、
軒端ノ萩の霊が大槻裕一くん、
旅僧が宝生欣哉さん、
所ノ者が野村太一郎くん、
笛が松田弘之さん、
小鼓が観世新九郎さん、
大鼓が広忠さん。
利休鼠色の袴。
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空蝉の佇まいが美しい。
面も、ろうたけた人妻の風情で魅力的です。
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碁石を交互に打っていく場面は、打つテンポが徐々にスピードアップしてゆき、フェンシングの試合のよう。
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空蝉が衣を残して逃れる場面は、残された衣がカサッとしたした質感で、中身に空洞があるように見えて、ほんとに抜け殻っぽい。
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この衣が、刺繍多めエリアと刺繍少なめエリアのメリハリがあるデザインで。
刺繍の量の切替わりの境界が稜線のようになって直線的なカサッと感に見えるのかも。
というか、それを狙ってのデザインなのかも。
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奇しくも今月は、空蝉のパロディの狂言「蝉」の上演も控えているので、併せて楽しめそうです。
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狂言「伊文字」
女&使いの者が万作さん、
太郎冠者が高野さん、
主が飯田くん、
後見が岡さん。
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歌関を設けるという発想が楽しいし、
通行人がウダウダ言いつつも対応してくれるのも、ほんわかします。
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まず吟じてみましょう、の件りが好きです。
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能「融 思立之出 舞返之伝」
尉&融大臣が裕一くん、
旅僧が福王知登さん、
所ノ者が深田博治さん。
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笛が竹市学さん、
小鼓が成田奏さん、
大鼓が広忠さん、濃紫色の袴。
太鼓が小寺真佐人さん。
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後シテは、黒垂に初冠、イタリア更紗ちっくな地紋の直衣、細かい亀甲模様の白ベースの厚板、紅葉&波頭が大胆に配された白の半切。
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白いワントーンコーデのためか、月光に照らされた趣を強く感じました。
融は、何となく狩衣&指貫のイメージでしたが、こんなコーデもアリなんですね。
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このコーデは、今回の小書に由来するのか興味が湧いて、帰宅してから小書の本で、融の章を確認してみました。
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舞返の小書については囃子と舞の構成しか記載がありませんでしたが、
舞働之伝の小書つきの出立が、今回のコーデに完全に合致していました。
てことは、小書の種類は違えど、融のコーデとしては確立されているのですね。
色んなパターンの中から、どんなコーデにするか考えていくのって、とても楽しそう。
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そして、今回の舞返之伝ですが、番組表によると、五段の「早舞」を舞った後、突如として囃子のスピードが格段にアップする「急之舞」が三段入る、と。
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これが、めちゃくちゃカッコ良かった!
舞もお囃子も。
今後も、舞返之伝の小書がついたらゼッタイ観るべし、と強くインプットされました。
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