萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「大槻文蔵裕一の会東京公演」を観る

3月5日、今年初の観世能楽堂へ。

能「江口 干之掛 脇留」
里女&江口の君が大槻文蔵さま。
遊女が谷本健吾さん&坂口貴信さん。
 
旅僧が宝生欣哉さん、
従僧が大日方寛さん&宝生尚哉くん。
里人が野村太一郎くん。

笛が松田弘之さん、
小鼓が観世新九郎さん、
大鼓が亀井忠雄さん。
地頭が梅若実さん。
歩かれるのも大変そうで、介添されながらの入退場でした。

川辺にたゆたう江口の君に、浄化されました!
私のお席は、ワキ座からのアングルに近い視界で、それがとてもドラマチックな景観で。
橋掛かりが長くみえ、川の流れが強調されて感じられ、そうした横のベクトル上に、転々と居並ぶ登場人物たちは、囃子方も含め、神のレイアウトだったのでした。

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狂言「縄綯」
太郎冠者が萬斎さん、
主が内藤くん、
何某が高野さん、
後見が飯田くん、
幕が月崎さん。

萬斎さんはグレー地に白梅が大胆に配された肩衣。幹の鈍色がピリリと効いています。並び団扇の腰帯、柳色の格子の縞熨斗目、濃紺の襟、濃紫色地にブルーチーズの黴ちっくな縞々(変わり木賊模様?)の狂言袴。

太郎冠者サマの魅力バクハツでした。
不貞腐れてる、というか、拗ねてる様子が可愛いったらありません。

タカノリ殿の家から元の奉公宅へ返された後、何から話しましょうか、という言葉に嬉しさが滲みます。

もぉーっ
ちょっと聞いてくださいよぉ、
というノリで、これまでも嫌な事が
あったら主人に愚痴を聞いてもらって、ヨシヨシとなだめ貰う、という関係性があったのでしょうね。


能「小鍛冶 黒頭」
童子&稲荷明神が大槻裕一くん、
小鍛冶宗近が福王和幸さん、
橘通成が福王知登さん、
宗近の下男が裕基くん。

笛が杉信太朗さん、
小鼓が成田奏さん、
大鼓が亀井広忠さん〜
太鼓が小寺真佐人さん。
地頭が観世喜正さん。

前シテが美少年!
縫箔の清洌な空色も、煌めくように美しい。
この縫箔のイメージそのままに、飛沫をあげなから岩間を走り抜けていく激流を目の当たりした思いです。
そういう時って、飛沫を浴びながら、気持ちーっ、と喉をのけぞらせて笑いたくなるでしょ。そんな感じでした!