萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「戯曲リーディング『ハムレット』より To be, or Not to be,」を観る

2月27日、セタパブへ。

裕基くんが舞台に姿を現した時に、このお芝居は当たりだ、と天啓のようにわかっちゃいました。

裕基くんハムレットの何がいいって、悲劇まみれ感が抑制されてるトコ!
自身の悲劇に対して慎ましやか、とでもいいましょうか。

それでいて、つい目を惹きつけられてしまう華があり。
かつ気品もあり。
まさしく、殿下たる気品。

しかし勿体ない。
アンコール上演、してくださらないものでしょうか。

どうやら本公演も今後ありそうだ、という事はポストトークで認識したけど、とても待たるるものではない。
このリーディングを再度観たい〜

ラスト、暗転の後に照明が点いて、起き上がった裕基くんが舞台袖へ手を差し伸べて他の出演者さんを召還(?)する時の、ちょっと照れを含んだご様子までもが好もしく感じられました。

その差し伸べる手つきも、これから段々と揺るぎなく堂々たるものになっていくのでしょうね。

終演後のポストトークは、演出家たる萬斎さんが、オールキャストを1人づつ舞台に呼んで自由に話をさせるスタイル。
メインキャストだけでなく、出演者みんなに等しくスポットが当たるように、という萬斎さんのお取りはからいに、演劇への愛情を感じました。

裕基くんがご自分の言葉でらご自分の思いを話されるを聴けた貴重な機会にもなりました。
淡々としてるイメージが強い裕基くんの口から、この日を待っていた、という言葉が!

萬斎センセイから強制されたんではなく、能動的に取り組まれたのだ、と分かり、安堵しました。

小さかった裕基くんが、舞台の上で斬られて倒れたパパを目にして、パパが死んじゃった、と泣いていたドキュメンタリーを、帰る道すがら思い出していました。
あれって、そういえばハムレットだったんだよなー、と。

さて、我らが萬斎さまは、というと、ハムレットの父の亡霊/座長/劇中王の三役をご兼任。
死者としての謡と舞、そして運ビが美しい〜

一方で、座長としての語りが炸裂!
私が愛してやまない藪原検校の杉の市の語りを彷彿とさせるような語り。
もうワックワクして、ジタバタするくらい嬉しかった!

本公演の時は、ハムレットを萬斎さんと裕基くんのダブルキャストで、と密かに念じているのですが、
この座長の語りを代わりできる方が居そうにない。それが問題だ。