萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「万作の会 狂言の世界」を観る

3月23日、有楽町朝日ホールへ。

解説は萬斎さん!
黒紋付き、淡い水色の長襦袢

「柑子」の解説の中で、下々の者同士でも宴会になっていたんでしょう、というような事をサラリと仰り、ああそうだったのか、腑に落ちました。

これまでこの演目を観るたびに、宴会の場面でどうやら太郎冠者は主人と離れた場所にいるようだけどなぜ傍に控えたないのかな?と違和感があったので。

萬斎さんがこのように、観る側が疑問を持ちそうな事に言及されるのって、過去の解説でもよくある気がします。

常日頃から、萬斎さんご自身が何かしら引っ掛かりを持たれたら、スルーせずに吟味されているのだなぁ、と感じられました。

現在公演中の「ハムレット」では、ハムレットからの2通の手紙について萬斎さんの新解釈が入っていましたが、それも引っ掛かりをスルーされない姿勢があってこそなのでしょうね。


裕基くんの小舞「田植」
地謡は、太一郎くん&中村くん&内藤くん&飯田くん。

裕基くんは黒紋付きに、裏柳色の極細縞の袴、ー!同色地に金糸の菱紋の角帯。

裕基くんの舞が颯爽とカッコいい。

早乙女ちゃん達にチョッカイを出す神主さんっていうと、「のぼうの城」の、まさしく田植シーンの、のぼう様みたいなイメージかな、と思ってたら、もっと直球のカッコよさ。

そして、地謡の早乙女ちゃん達の柔らかく、たゆたうような謡が心地よく、ウキウキした気持ちに。
狂言バージョンを、裕基くんシテで観てみたいです。


狂言「柑子」
太郎冠者が万作さん、
主が石田さん、
後見が岡さん。

太郎冠者の可愛らしさに、口元がじわっと緩んでしまう。
狡賢しくこく立ち回るトコもひっくるめて、愛嬌があります。

主が石田さん、という贅沢極まりない黄金の配役でした。
 

 

狂言「泣尼」(なきあま)
僧が萬斎さん、
施主が深田さん、
尼が高野さん、
後見が飯田くん。

居眠りする尼を目にした僧の反応がすてき。

ハッと衝撃を受けた様子が、ショックのあまり心が引き裂かれた!、という風で。

所詮は尼と同じ穴のムジナなのに、穢れなき被害者のような悲哀を漂わせる、というギャップが最高なのでした。