7月12日、関内ホールへ。
最初に萬斎さんによる"トーク"。
ちょっと屋外に出るのさえ躊躇するような酷暑日でしたが、黒紋付の萬斎さんは涼やかな風情。
「みなさん・・・生きてます?」と、ニヤリとなさり。
先月末のハムレットコンプレックス講義を受講した身としては、ハッとしてしまいます。
これは、生きていると実感できていますか、と問われてるんだよな、と。
ハムレット王子と共通の悩みを抱えてはいませんか、と問われたようで。
萬斎さんは、「解説はこの後にやって貰うので、それで私は安心してヨモヤマ話をしてるんですが」などと仰り、
この日の前日に結崎座で三番叟を踏まれたお話などを。
萬斎さんのお着替えタイム中に、深田さんによる解説。
舞台袖から「鳥目 からかね」のカンペ。
鳥目の材質と磁石との相性を解説しといて、という意図のカンペだったのでしょうか。
深田さんが中々カンペに気付かれず、時間切れの中、個々の単語の語句解説をされて退出してゆかれましました。
「磁石」
すっぱが萬斎さん、
田舎者が裕基くん、
宿屋が岡さん、
後見が福田成生さん。
宿にチェックインした後、田舎者が寝入ってしまうと、すっぱは静かに踵を返します。
これが、安達原の中入り前のシテのよう。
ぬらり、と本性が立ち現れる様が。
なんとも心ときめくスイッチングでした。
パワーチャージ源の刀身を収納されて、裕基くんは昏倒してしまうんだけど、ほんとに板金っぽい物体感。
突かれたときのグランッという反動が、いかにも硬い鋼鉄のようで。
磁石の精という設定に説得力がありました。
「咲嘩」
太郎冠者が万作さん、
主が内藤くん、
咲嘩が石田さん、
後見が深田さん。
万作さんの扇に、墨絵で大量の茄子がゴロゴロと。
群れ泳ぐ鯉のようにも見え、かっこいい。
太郎冠者は融通が効かないけど、使いこなすのも主の才覚のうち、という気もします。
そして、なかなか使いこなせない、というスペックも含めて面白がって、関係性を構築してたんじゃないかなぁ、と思いました。