萬斎さん観賞と日本画修得の日々

能楽や展覧会の観賞の感想を書いています

「坂口貴信の会」を観る

半年ぶりに観世能楽堂へ。
また来れるようになったことが、しみじみ嬉しい。

「砧」がすてきでした!

芦屋の某の妻&その亡霊が坂口貴信さん、侍女・夕霧が谷本健吾さん。
芦屋の某が森常好さん、
その下人が萬斎さん。

囃子方が、松田弘之さん&飯田清一さん&亀井忠雄さん。

後見が、坂口信男さん林宗一郎さん&観世三郎太くん。

地謡は、観世宗家を地頭に、ちゃんと8人おられる!
ちょうどこの日からイベント制限が緩和され、収容率50%から100%までOKになったのですよね。

とても謡が綺麗。
とくに砧をうちはじめる辺りからの謡が、耳に気持ちよくて。

これでもか、これでもか、と畳みかけてくる妻の寂しい心象に、
私も一緒になって漂ってる感が、快感になってくる。

萬斎さんは、鉄紺色の地に雲丹ちっくな柄の長裃。
万作家の長裃のなかで、コレいちばん好き。
段熨斗目は瑠璃色&白、襟はブルーグレー。

この演目のアイは、所の者ではなくて、もうちょいシテに近しい立場なのですね。
そのためか、所の者としてアイをなさる時より、沈痛な風情です。

憂いにけぶる額が美しい。
瞼は照明をうけて冴え冴えと白く光り、ほのかな憤りが宿っているようにも感じられます。
芦屋の某の妻の心情に寄り添うような、悲哀のお声もイイ~!

他に、三郎太くんと坂口信男さんによる仕舞と、狂言が1番、一調が1番ありました。


狂言は「悪太郎」。
悪太郎が太一郎くん、叔父が深田さん、僧が中村くん、後見が内藤くん。

悪太郎が叔父に向かって「この長刀にのせてくりょう~」と、長刀を繰り出すシーンで、
ちょっと、あれ?長刀は長刀のままだな、と不思議なひっかかりが。

萬斎さんが悪太郎をなさる時って、このシーンでは長刀がウネウネウネ~っと、のたうって蛇みたいに変化するのです。それが私の目に染み付いていたようで。

きっと太一郎くんのなさり方がスタンダードなのでしょうね。
でも、スタンダードを拝見したことで、蛇は萬斎さんのオリジナルだったのか!と気づきました。

ラスト、僧と悪太郎が一緒に謡うところで和みました。
太一郎くんの謡のお声って、華やかです!


一調は、観世宗家と広忠さんによる「女郎花」。
広忠さんは、古代紫色の紋付に灰白色の袴。

めちゃくちゃ主張する大鼓。
それに拮抗して観世宗家もシャウト。
シャウトというか、吐血するかのように謡われる。
ゾクゾクする~!
お能でも観てみたくみたくなりました。