萬斎さん観賞と日本画修得の日々

能楽や展覧会の観賞の感想を書いています

「第91回 野村狂言座」を観る

9/18、宝生能楽堂へ。

通常は2回の公演ですが、今回は
1回プラスして、3回公演。

座席占有50%以下を守りつつ、年間購入者を収用するためには、
2回では入りきれないそうで。

私が伺ったのは、3回目の公演です。

最初に萬斎さんによる解説。
まず、4月の野村狂言座が中止となってしまった事をお詫びなさりつつ、

「と言っても、オレのせいじゃねえ」
と、軽い毒を。
絶好調のご様子に嬉しくなっちゃう。

そして、まったくもって仰る通り!
演者さんサイドは、ムシロお詫びを言われる側ですよね。

長光」のご説明では、

「太刀を佩く・・・"はく"と言っても"オエッ"じゃないですよ。
解説を3回もやってると厭きてきちゃって。」
と。

ええ、ええ、
どんどん暴走なさってくださいませ~
4連イブってだけでも開放的になってる心が、いい感じにふやかされてゆきます。

「水汲」の説明では、「大蔵流では『お茶の水』と言います・・・隣の駅みたいだ」
と、シュタッと左へ身体をひねりつつ、右手をピストルみたいにしてワキ座の方を指す。

振りつきで歌ってるアイドルみたい。
かーわいい~!

更に
「これはとても粋な配役なんですよ。昔、野村萬・・・万之丞といったんですけど・・・と、父が、この曲でナラしましてね。
その孫どうしが今回はやるという。」
と。

以前に、万作さんご自身も「兄と何度も演じて、得意としていた。」と、何かに書いておられたのを読んだ記憶があります。

"得意としていた"、が、ご子息の口を経由すると、"ナラしていた"に変換されちゃうんだ。

謡のビブラートの説明をなさるのに、
「うーぅ うーぅ うーぅ~」
と実例を。
はうー
魅惑ヴォイス~

が、
「ピーポー ピーポ ピーポー」と後に付け足される。

本気の謡をずっと続行くださってもいいのになー

予定では15分のところを20分も解説くださいました。

長光
すっぱが竹山さん、目代が石田さん、田舎者が岡さん、後見が中村くん。

竹山さんてば、怪しさマンテン。
燕尾頭巾にモサモサのお髭が、妙にお似合いになる。

この曲は「茶壺」と違って、すっぱの不正を目代がしっかり見抜いてくれます。

私はいつも「茶壺」を観てると、不正に気付かない目代にヤキモキしてしまうのだけど、この目代は珍しくマトモなのですね。

でも、不正がバレたらバレたで、すっぱが不憫に思えてきてしまう。

長光はゲットしそこねたけど、背中に隠し持ってた過去の戦利品は、取り上げられずに逃げおおせますように。

「水汲」
新発意が太一郎くん、いちゃが裕基くん、後見が淡朗くん。

萬斎さんが「いちゃという名前が、・・・タマラナイんですよねー」などと仰ってました。

裕基くんは、着物を濯ぐ所作が少したどたどしいんだけど、それが初々しく映る。

濯ぎにまだ不馴れな女子って設定なのね、と、観てる側に思わせてしまう説得力のある可憐さです。

この日の新発意は、いちゃから手痛い拒絶を受けたけど、いちゃの怒り方からすると、しばらくすれば怒りは解けそうな気が。

これはワンチャンありますよぉ、
新発意くん!

「咲嘩」 
太郎冠者が高野さん、咲嘩が萬斎さん、主が飯田くん、後見が内藤くん。

萬斎さんは、
濃紺のフロア向鶴菱の長裃、ブルーグレー&胡桃色&白の段熨斗目、水色の襟。

高野さんが萬斎さんの背中を威勢よくバシッと叩かれるので、ドキドキしてしまう。
2回も!

やり過ぎじゃない?
3回公演てことは、計6回も、その調子で叩いたのぉ?

「祐善」
祐善という名の傘職人が万作さん、僧が深田さん、所の者が月崎さん。

地謡が、萬斎さんを地頭に、中村くん&内藤くん&裕基くん&淡朗くん。

萬斎さんと飯田くんは、10分の休憩中に早着替えされたのですね。

囃子方が、柿原光博さん&飯冨孔明さん&栗林祐輔さん。
後見が飯田くん。

解説で萬斎さんが仰るには、舞狂言というジャンルなのだとか。
月崎さんは、ちゃんとアイちっくに幕の脇から出てらして、橋懸りに控えます。

謡がカーッコいい!
盛り上がっていくと、若手くん達が勢い付いてきて。
最初は抜きん出て響いていた萬斎先生のお声が、かき消されそうなくらい。

とくに裕基くんのお声が
「これぞ誠の極楽世界~」のあたり
から、ひときわ響く、響く。

謡の盛り上がりと共に、万作さんも小気味良く狂い舞う。
面が、とってもよいお顔立ちでした。