萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「木月孚行を偲ぶ会」を観る

3月15日、観世能楽堂へ。

番組表の表紙は、心地よい質感の和紙。
中を開くと、木月孚行さんの遺影が。
番組の抜粋を、ブログ最後に記載しておきます。


「鷺」 
鷺が観世宗家。
アイが裕基くん。
裕基くんの幕が岡さん。

ふふふふふ―
アイなのですが、幕の袖からでなく、ちゃーんと幕があがっての登場なのですー

なにしろ、最初に登場するのです。
裕基くんのお役は、王に仕える官人で、いまから王がこちらの池に御幸されますよー、と
お触れをします。

裕基くんは、
侍烏帽子、
薄萌葱色&ブルークレー&白の段熨斗目、水色の襟、
濃紺&浅葱色の地に鶴亀・折鶴が配された掛け素襖。
狂言袴は白地に秘色色の青海波で、括り袴に。

お声の階調の幅がめちゃくちゃ拡がってる!
特に低音の幅が。
そのためか、“マ“がとても豊かに感じられました。

アスリートだったら、この状態を「仕上がっている」というのでしょうね。
3/20に予定されていた奈須の披きに照準を定めて、
ピーキングしてこられたに違いなく。

その仕上がっている身体で務められたアイ。
拝見できた幸せに感謝します。

王の蔵人が森常好さん。
番組表にワキツレのお名前がなかったけど、
王の輿舁は殿田謙吉さん&高井松男さん。
他にも王のお供がいっぱい出てきて、
館田善博さん&則久秀志さん&梅村昌功さん&工藤和哉さん、
あともうお一人おられたのですが、お顔が見えず。

とにかく舞台上に人がびっしりで。
ワキ方だけで8人も!

宗家はオールホワイト装束。
その中で、天冠の鷺のくちばしと足だけテールグリーンで、これが実にきれい。

いったんは王のために自ら捕らえられた鷺ですが、王が放してあげるよう、蔵人に命じます。

森常好さんが宗家を抱えて解き放ったところでは、ほんとーに宗家が羽ばたき、飛翔する鷺に見えちゃうんだから不思議。


悪太郎
萬斎さんが悪太郎、石田幸雄さんが伯父、太一郎くんが僧。
後見が高野さん、幕が岡さん。

前場の萬斎さんは、茄子紺&黄丹色&グリーンの格子と、イタリア更紗っぽい柄の段替の厚板をアウター、
濃紺地に白の輪宝紋の腰帯、
白地に紺&枇杷色の格子の縞熨斗目、紺の襟、
濃紺地に白の輪宝紋の腰帯、紺の狂言袴。
蜜柑色に金糸でトリーバーチちっくな模様入の燕尾頭巾。

酔っぱらった挙句、立ち上がろうとして、スッテンと尻餅をつくお姿のフォルムの美しさよ。
「靭猿」で大名が「月を観たり」とピタリと型をキメル場面かと思うくらい、
「スッテン」がキマってる。

長刀を振り回して暴れるところは、華やかな舞のようでした。

道成寺
シテは木月宣行さん。
ワキは宝生欣哉さん。

こちらの演目も番組表にワキツレのお名前がなかったけど、大日方寛さん&御厨誠吾さん。

小鼓は源次郎さん。
小鼓後見(前場)は、大倉伶士郎くん!
囃子方は長裃だったのですが、
伶士郎くんは源次郎さんの長袴の裾を
背後から甲斐甲斐しく整えます。


狂言方の鐘後見は、入場された順に書くと、
深田さん&飯田くん&裕基くん&太一郎くん。

すなわち、太一郎くんが滑車通し、それを受け取る側が深田さん。
太一郎くんの滑車通しは、とてもスムーズでした。

さて、鐘を吊り上げるときのこと、
裕基くん&飯田くんが2本の竿をまず本舞台の前方へ。

はわわーっ
舞台の際の際まで裕基くんが。

近っ
なんとゆう清涼感。
竿を注意深く、丁重に扱う所作もうつくしい。
眼差しは伏せられ、控えめではあるけど、揺るぎない強さも感じられ。

前シテの唐織は枝垂桜&鳳凰の柄。
糸巻モチーフは必須というわけではないのですね。

鐘入り前に、足を踏み鳴らすとこの音ハメ感がワクワク高揚感を煽る~


アイは、内藤くん&中村くん。
内藤くんのオモアイの披きだったのですって。
ご本人のTwitterで、後日、知りました。

前シテにデレデレしちゃうトコとか、
カネ落下報告後に「心がゆるりとした」と言うトコとか、
うん、良かったねー、と、つい声を掛けたくなる朗らかさがある。
この朗らかさが内藤くんの持ち味なのですねー


なかなかコロナが終息しない状況ではありますが、
今回の会を開催してくださり、ありがとうございました。


以下、番組表から抜粋させていただきました。
(一部、代役があったところのみ、わかる範囲で改めています。)

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独吟 「天鼓」石橋保

仕舞 「通盛」大松洋一
   「巻絹 キリ」 木月晶子

舞囃子「海士」 木月章行 
    國川純
    幸正昭
    林雄一郎
    藤田次郎 


「鷺」 シテ 観世清和
    王  角寛次朗
    ワキ 森常好 
    間  野村裕基
    観世新九郎 
    亀井忠雄 
    小寺真佐人 
    一噌庸二
   (後見)野村四郎
   (地頭)武田志房

悪太郎」 野村萬斎
    野村太一郎 
    石田幸雄

舞囃子「松風 戯之舞 山階彌右衛門
    柿原崇志
    幸清次郎
    松田弘之 

仕舞 「屋島」  観世三郎太
   「隅田川」 野村四郎
   「山姥 キリ」観世芳伸

道成寺」木月宣行
    ワキ 宝生欣哉
    間 内藤連 中村修
    原岡一之 
    大倉源次郎
    原岡一之
    小寺真佐人
    松田弘之 
   (後見)観世清和
   (地頭)山階彌右衛門
   (鐘後見)上田公威