萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「銕仙会 定期公演 3月」を観る

3月13日、宝生能楽堂へ。

「内沙汰」
右近が万作さん、その妻が萬斎さん。
後見が中村くん。

萬斎さんは、女郎花色の縫箔、黄丹色の八掛、同色の襟、枇杷色の腰帯。
禍々しいまでに美しい~

夫の訴訟の練習につきあおうと、妻は地頭コスプレを。
烏帽子をつけ、それだけでなく太刀を腰帯に挿す。

キャー
倒錯的な美貌!!

この太刀を挿しこむ所作に、彼女の人となりを感じます。
太刀を挿すってやったことないけど、ヨシ、躊躇しないでやってみよう。
・・・と潔い。

でも、けっして粗野には見えなくて優美。
こういうひと、好き。
私が右近たち夫婦のご近所さんだったら友達になりたい。

隣人のあいびき相手を目撃した、という夫に、
その相手って誰のことだか言ってみなさいヨッ、と啖呵を切る妻。

「指―す―ぞ―よ」という夫、
「指せ!」と叫ぶ妻。

叫ぶ声は夫よりよっぽど低く、しかもドスが利いていますが、イカツくなるどろこか、
妖艶さがほとばしり、ビカビカビカーッと青白い光が放たれる。

龍の逆鱗とは、こういうことをいうのでしょうね。

いまは今月のyoiyaカレンダー(内沙汰)を眺めて、余韻に浸っています。

で、気づいたのですが、このカレンダー写真は、地頭のお屋敷訪問シミュレーション中の右近が、
「ごめんなれませ、ごめんなれませ」と言ってる場面だったのですね。


「山姥 雪月花之舞 卵胎湿化」

シテが銕之丞センセ、ツレが谷本健吾さん。
ワキが福王和幸さん、ワキツレが村瀬提さん&矢野昌平さん。
アイが深田さん。
囃子方が竹市学さん、観世新九郎さん、広忠さん、小寺真左人さん。

福王和幸さんの、素襖裃に段熨斗目が新鮮です。
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僧や山伏のような、ボリューム系の嵩張る装束もお似合いになるけけど、こういうカッコも佳い~
片膝を立てて座られたお姿も絵になります。

山姥が杖をつきながら舞台をめぐると、縮尺が不思議なことになって、見所の自分たちが小さーくなった気持ちに。
このときの大鼓と笛がカッコよかった!

今回のシテのコーデは、山姥だからってグリーン系を着るとは限りませんから!という主張(個人の感想です)があって面白かったです。

前シテの色調は、シルバー&グレーで、鬘もグレー。
後シテの色調は、ゴールド&パール&ブラックで、鬘も、黄色み白。

こうした色調のなかで見ると、杖の葉っぱのグリーンがとても映えるのですね―