萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「観阿弥生誕690年 世阿弥生誕 660年 正門別会 改メ 第一清門別会」を観る

6月18日、観世能楽堂へ。

この度は、観世三郎太くんの「道成寺」披キという事で、ロビーにはお花がズラリ。

北野武さんや、堺雅人さんからのお花も。
宗家御曹司の披キとは、かくも華々しい出来事なのですね。

所用のため最初の演目(
鸚鵡小町)は拝見できなかったのですが、大鼓は広忠さんが務められたと伺いました。
番組表では忠雄さんの記載のままでしたが。

舞囃子「松浦佐用姫」
観世宗家
囃子方は、一噌隆之さん&飯田清一さん&安福光雄さん。

「鎌腹」
太郎が万作さん、
妻が遼太くん、
仲裁人が石田さん、
後見が飯田くん。

万作さんは、今から切腹しちゃうからなっ!
とアピールするも、
妻にも仲裁人にも止めて貰えません。

その時の、あ、そうゆう反応なのか、、、
さて、どうしよう、と、ショックを押し隠した様子が、可愛げあり。

仕舞
屋島」 観世淳夫さん
「笹之段」観世恭秀さん
「山姥」 観世喜正さん
「井筒」観世銕之丞さん

道成寺
白拍子&蛇體が三郎太さん。

道成寺ノ住僧が福王茂十郎さん、
従僧が福王和幸さん&知登さん。

能力が萬斎さん&裕基くん。

囃子方
杉信太朗さん&大倉源次郎さん&広忠さん&林雄一郎さん。

囃子方の後見は、
笛後見が栗林祐輔さん、
小鼓後見が怜士郎くん
大鼓後見が原岡一之さん、
太鼓後見が観世結子さん(らしきお方。見間違いかも。)

後見は、観世宗家&観世淳夫さん&林宗一郎さん。

鐘後見は、
坂口貴信さん&木月宣行さん&井上裕之真さん&角幸二郎さん&久田勘吉郎さん。

狂言方鐘後見は、
太一郎くん&内藤くん&飯田くん&中村くん。
この並び順で鐘を搬入。

この並びってコトは、すなわち、滑車通しが中村くんで、それをキャッチするのが太一郎くん。
お二人の一連の綱さばきが、水際だったスムーズさ。
鐘を吊るすのって実は簡単なのか、と錯覚してしまう。

前シテは、妄執が板に付いてる風。
実は過去にも何度か鐘が釣られた事があり、その度に同じ行動を繰り返してきたのかも、という気がしてきます。

そして、橋掛りに控える能力親子が麗し過ぎる!

能力頭巾を眉毛が隠れるくらい深くかぶっておられるのだけど、瞼の美しさが際立ちます。

似通った面差しながら、空気感はそれぞれ違う。
萬斎さんは、殺気チラつく目付きで本舞台のシテを目で追っておられ。


一方、裕基くんは、伏目がちに一点をヒタと見据えて泰然と。


でもお声は、外見以上に、オソロシーくらい酷似してる。

鐘が落下した時、能力たちが口々に叫びます。
「クワバラ クワバラ」
「揺りなおせ 揺れりなおせ」
同じお声なので、どっちがどっちのセリフを発してるのか混乱するレベル。
この混乱が嬉しーのです。

見所に、なつ葉ちゃんと葉子さんのお姿。

今回の番組表には、観世宗家から亀井忠雄さんへの、追悼文のページが。

その中に、
「つい先程まで観世会申合でご一緒させて戴いて居りました矢先のご逝去の報」
とのフレーズがありました。

訃報のニュースが流れたとき、申合せの途中で体調が悪くなられた、との記事を目にしましたが、、、

そういうことであったのか、という悄然とした思いです。