萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

第89回 野村狂言座(金曜日)を観る

1月17日、宝生能楽堂へ。

万作さんの小舞「芦刈」
色気あるぅ

いつぞや、九郎右衛門さんが同曲のお能を舞われたのを観た時も、不思議な色気を感じましたが、それ以上に。

地頭の萬斎さんのお声がひときわ豊かに響き、ほの暗く揺らめく水辺に誘われてゆきます。

萬斎さんの直面が拝めたのも嬉しかった。

萬斎さんがなさる狂言のお役は、面を付けられるだろうから、今回はお顔は見れないよね、と当初は諦めていたのに。

これは、隙あらば萬斎さんのお顔が見たい症の、私へのサービスでしょうか。
万全のお心遣いに感謝です。

「節分」
鬼が内藤くん、女が飯田くん、後見が中村くん。

鬼の舞にキレがあり、かっこよかった。その一方で、照れたりしてカワユイ。

飯田くんも、いいー
ちゃんと魅力的に見える。
鬼を照れさせてしまう説得力あり!

「宗八」
宗八が深田さん、僧が高野さん、主が月崎さん、後見が淡朗くん。

「がりり がりり チョンチョン」の音とリズムが癖になる。

それと、高野さんが口にする「シオアンバイ」なるワードが楽しい。
漢字で書くと「塩案配」?
それとも「塩塩梅」?

現代に流布している「塩対応」が連想され。
意味は全然違うけど。

「大黒連歌
大黒天が萬斎さん、有徳人が石田幸雄さん、太郎冠者が竹山さん、立衆が太一郎くん&淡朗くん& 飯田くん&岡さん、後見が月崎さん。

最初に、2つの米俵が並べられ、その上に赤い板を載せ飾り台が設えられます。
更に、目付柱からシテ柱へ、しめ縄が渡されます。

改まった気持ちになったところで幕が揚がりスタート~

萬斎さんのコーデが、1/4に観た「翁 大黒風流」の万作さんと、ほぼ同じ!

そして、登場なさった時の謡が、もう圧倒的。
ほんとに幸がブワーッと、満ちてゆくんだもの。

有徳人&立衆の皆様と、私も完全に同化し、ありがたやーって気持ちに。

タプタプのホッペの黒い面から、白く鋭角的な生身の顎がのぞいてるー
なんと美しいコントラスト。

ラストは、米俵の飾り台の上へ大黒天さまが上がりかけ・・・
ますが・・・

足を乗せられた場所が、飾り台の中央より、チョイずれてる?と、思った矢先に、萬斎さんの身体がグラッと傾ぐ。

が、手さぐり、ならぬ、足さぐりで、萬斎さんは適切な足のせポイントを察知され、飾り台上で決めポーズ!

フツーは、あんなにグラッとなったら、もうグチャッと落ちるしかないと思うんだけど。

しかし、 萬斎さんは全く下を向かずに、完全に正面方向にお顔の向きを保ったまま、体制を立て直した、というのが驚異的。

あわや怪我するか、という緊急事態だったと思うんですけど、頑ななまでに、お顔の向きは崩されない。

はー
ご無事で良かったです。

なーんて、私が勝手ヒヤヒヤしてたけど、
体幹バッチリの大黒天さまにしてみれば、どってこと無かったのかもしれませんね。