12月1日、国立能楽堂へ。
最初に佐久間センセが出てらして、「私は野村萬斎さんではありません」と。
なんと秀逸な第一声なんでしょー!
佐久間センセの御挨拶のあとに萬斎さんによる解説。
「首引」の解説では、鎮西八郎為朝のことを、シュワちゃんに例えられた後に、「今でいうなら春日」と。
ここで春日の名前が出てくるとは。
テレビご覧になる時間が、よくおありになりますねー
「えーいさらさー えいさらさー」のレクチャーも。
お能の公演で、しかも能楽堂で、萬斎さんの解説ってだけでもレアなのに、「えいさらさ」まで付いてくるなんて。
実は今年の夏に、佐久間センセによる「大会」の事前講座を受講したのですが、
その際に萬斎さんへ解説を依頼した件についても、お話しくださり。
「神をも畏れぬ所業!」なーんてご自分でツッコんでおられました。
解説を依頼くださった佐久間センセにも、
それをお受けくださった萬斎さんにも、ありがとう三唱です!
続いて、
観世喜正さんの仕舞「善界」、
佐久間センセの&角当直隆さんの仕舞「舎利」、
一噌幸弘さんの一管「笛独奏」。
仕舞の一方は天狗ガラミ、他方はお釈迦様ガラミ。
これは、今回公演のトリ「大会(だいえ)」に合わせての選曲でしょうか。
夏の事前講座で、一噌幸弘さんについての佐久間センセの紹介は、
「有名過ぎて、どっかブッ飛んじゃってるんですけど。」
でした。
はい!
その紹介どおり、フリーダムに、楽しそーに、吹かれておりました。
狂言「 首引」。
親鬼は萬斎さん。
鎮西八郎為朝は万作さん!!
姫鬼は高野さん。
眷属は、内藤くん&飯田くん&裕基くん&岡さん。
親鬼サマは、白ベースの格子の縞熨斗目、打板紋と釘抜紋が配された山道模様の厚板、丸紋入りの象牙色の狂言袴、白地に金糸の立涌の脛当で括り袴。
そして武悪の面に白ガシラ。
通常は赤ガシラだそうですが、今回はお能で赤ガシラを使うので、
カブらないように、というセレクト、と解説で萬斎さんが仰っていました。
今回の為朝が老人なので、釣り合いが取れて丁度いいんです、とも。
お父様のことをいじるのが、嬉しそう。
万作さんは気品ただようワキ方の風情。
面をつけた萬斎さんと対峙されるシーンは、まるでお能のようでした。
眷属メンバは武悪の面を付けていますが、それでもどれが誰だかって判るものです。
裕基くんは青い武悪でした。
手でワカル!
休憩の後に、佐久間センセによる解説。
佐久間センセが仰ることには、「大会」の前シテは、直面が普通なんだけど、今回は特別に面を付けるのだとか。
観世喜之さんによる仕舞「遊行柳」。
今回の公演パンフは、こだわり満載で様々な趣向が凝らされているんだけど、
仕舞の欄には、それぞれのサビ(それとも一推しパート?)が書かれていました。
それに目を通して、あらためて日本語のうつくしさに、ははーっとなり、そうなっといてからの仕舞、というのが良かったです。
能「大会」。
「大勢」の小書つき。
天狗が佐久間センセ、
帝釈天が角当直隆さん、
僧が舘田善博さん。
京童が萬斎さん&太一郎くん。
木葉天狗が深田さん&中村くん&高野さん&月崎さん。
囃子方が、一噌幸弘さん&鳥山直也さん&広忠さん&林雄一郎さん。
狂言方の後見がつき、それが何と!万作さん!&岡さん。それが
萬斎さんは、焦茶の襟、白地にグリーン&山吹色の格子の縞熨斗目、空色地に橋&波頭の肩衣、鴬色の狂言袴。
扇は、杉本博司さんの放電場〜!
木葉天狗メンバは、空吹の面でしたが、中村くんの面は赤くて鼻が長いので、リアル天狗のよう。
狂言方が大活躍の演目でした。
夏の事前講座で、佐久間センセも人数に言及されてました。
佐久間センセと高野さんは親しいそうなのですが、
高野さんは「こんなに狂言方ばっかり出ると、狂言の会みたいですよねー」
と仰っていた、と。
で、その流れで、今回の演目を決められた経緯をお話しされ。
狂言が「首引」ってことは狂言方がいっぱい出るので、お能も狂言方がいっぱい出る演目にしたのですって。
お能の会なのに、狂言の演目ありきで、お能の演目を決めるなんてこと、あるのぉ?
佐久間センセ最高です!
さて、今回の公演の話に戻ります。
今回はアフタートークつき、ということで、終演後に黒紋付に着替えられた佐久間センセが再登場。
佐久間センセが能に興味をひかれたのは、3歳の時だったそうで。
お能にゆかりのおうちに生まれたて訳ではなく、
でも、そのハンデをハネ除け、ハネ除け、お能を追い求めて、ついにはシテ方になってしまった、と。
ぶれない情熱が、なんとも素敵です。
30歳の時に、40歳になったら自分の会をスタートさせよう、と決心され、その決心の通りにスタートしたのが、この会なのだとか。
10年後の目標を定めて、それを実際に決行するって、大変なエネルギーが要ることでしょう。
来年は12月5日、「夜討蘇我」。「十番斬 」の小書つきで、この小書がつくと、演者は21名にも及ぶのですって。
楽しみですーー