萬斎さん観賞と日本画修得の日々

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「東京能楽囃子科協議会 十二月昼能」を観る

12月12日、国立能楽堂へ。

開演前に、入口のトコで成田美名子さんをお見かけしました。
そういえば先月、Eテレの「にっぽんの芸能」に出演されたとき、「鷺」の話をされていましたね。

最初に、観世流の「鷺」。
鷺が観世銕之丞さん、帝は野村四郎さん。

アイ(宮廷に仕える官人)は萬斎さん。

輿舁は野口能弘さん&野口琢弘さん。
帝に付き従う臣下は、殿田謙吉さん&則久英志さん&御厨誠吾さん&梅村昌功さん&高井松男さん&大日方寛さん。

笛は槻宅聡さん、小鼓は幸信吾さん、太鼓は桜井均さん。
大鼓ですが、番組表に載っていた方は体調不調とのことで、代演の方の御名前を書きとめてませんでした。
地頭は梅若紀彰さん。

この演目、何が嬉しいって、最初に登場するのがアイなんですよねえー

揚幕の脇からじゃなくて、ちゃんと上へ揚げられた揚幕から。

官人サマーは、侍烏帽子をつけ、松竹梅&折鶴&亀が配された紺色&ブルーグレーの掛け素襖、網目模様の紫色の狂言袴は括り袴にしています。

橋掛りを進まれると、揚幕と官人サマの間には、水飴のように平安の時代の帯が。

本舞台に入られ、今からこちらの庭園に帝が御幸されますよー、と触れてまわります。

水飴は切れることなく張り巡らされ続け、重々しく低い声色とともに、平安の雰囲気が満ちてゆきます。

お一人で登場されつつも、その頭上に青く抜ける空の下には、帝やお供の宮廷人たちの行列が連なるっている、と感じさてくださいます。

お触れを済ませると、官人サマは揚幕へ消えてゆかれました。

あとから来られる帝の御一行を迎えに戻られるんだから、切戸口じゃなくて、やっぱ揚幕に入ってゆかないと、ってことなのかしらねー


で、御一行が揚幕から現れます。
四郎さんの帝の姿が端然としていて神々しかった。
自然と前にひれ伏したくなるような。

この演目、アラスジだけ読むと、なんつー傲慢な帝!という気がしなくもないんだけど、四郎さんの帝は説得力あり。
何かを命じられて、その仰せに従うのが幸せですーー、という気持ちになっちゃう。

囃子が心地よくて、鷺もノってて楽しそうでした。

「鷺」のあとに舞囃子が3つ。

金春流の本田光洋さんによる「高砂 舞序破急之伝」。
金剛流の金剛永謹さんによる「東北」。
観世流の梅若紀彰さんによる「鶴亀」。

高砂 舞序破急之伝」がカッコよかった!

休憩を挟んで、狂言「栗焼」。
太郎冠者が万作さん、主が深田さん、後見は岡さん。

「食」の楽しさがたちのぼってきます。

お洒落スイーツもいいけど、シンプルな栗に優るものがあるだろうか、という気がしてきちゃう。

ラストは金春流の半能「石橋 連獅子」。
白獅子が高橋忍さん、赤獅子が山中一馬さん、寂昭法師が福王和幸さん。

笛が一噌幸弘さん、小鼓が大倉源次郎さん、大鼓が亀井広忠さん、太鼓が徳田宗久さん。
地頭が本田光洋さん。

霧にけむる岩山のなかを切り裂くように響く囃子にシビレました!