8月28日、横浜能楽堂へ。
最初に櫻間右陣さんによる解説。
ちゃんと狂言の解説までしてくださいました。
平家節を付けて呼ぶ場面がありますよ、などと。
平曲「濱軍」
須田誠舟さん
太郎冠者が萬斎さん、
次郎冠者が中村くん、
主が内藤くん、
後見が月崎さん。
謡がモーレツ素敵。
段々と盛り上げていくテクがすごい。
湯葉を作るときの膜の引き上げのような、見事さ。
クイッ クイッ と、膜の整形度合いを確かめるかのように、見所の様子をウォッチしながら、私たちのテンションを高めてくださり。
萬斎さんだけでなく、中村くん&内藤くんも、息を合わせて湯葉の膜を見極めてる感が伝わってきました。
湯葉つくりトリオの鮮やかな仕事ぶりに翻弄される、楽しさといったら!
萬斎さんが時おり仰る一期一会とは、このような事なのですね。
能「知章(ともあきら)」
里人&平知章が櫻間右陣さん、
僧が森常好さん、
従僧が舘田善博さん& 梅村昌功さん、
須磨の浦の者が飯田くん。
知章というのは、知盛サマのご子息!
「子午線の祀り」のワンシーンさながら、というか、そのまんま!!の光景が繰り広げられました。
アイの語りには、阿波民部重能までが登場。
アイ語りの後の囃子がカーッコイイ!
いよいよ知章ユウレイが出て来るよぉ、と煽ってきます。
正面アングルから広忠さんを拝むのは、70日ぶり。
冒頭の解説の中で仰ることには、右陣さんの師匠は、「知章」は可哀想すぎて謡うのを嫌がっておられた、と。
お弟子さんからこの曲を教えて欲しい、とオファーがあると、オマエが代わりに謡っとけ、とお稽古の代行を仰せつかったのだとか。
私には、可哀想というよりはスパークするような煌めきが感じられました。
終盤、知章が知盛を討たせじと敵と闘う場面は、物騒な斬り合いの所作ながら、キレのある舞のクライマックスのよう。
ちょっと爽快なくらいでした。
場面ごとに知章の視点になったり、知盛の視点になったり、と視点が変わるのだけど、知盛の視点の時の方が哀れさが勝りました。
平曲「濱軍」も、お能と同じ場面を扱った曲。
こちらは知章の視点は入っていなくて、そういう意味では、より「子午線の祀り」に近いのかも。
この平曲にも、民部のエピソードがしっかり登場。
同じ場面ながら、平曲の方は荒涼感が感じられました。
なんとなくタイトルの風情にも合っているような。
来年の同会は、8月20日、13時開演予定とのことです。