萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「万作の会 狂言の世界」を観る

3月16日、有楽町朝日ホールへ。

年度末なのに、なんと今月は毎週お休みを貰う、という不届きな所行を予定しております。

だって萬斎さんが、そのようにスケジュールを組まれたのだから、もうそれに合わせるしか無いのです。
もちろん全公演を網羅するわけにはゆきませぬが。

最初に、萬斎さんによる解説。
なんと29分も!

揚幕の向こうでスタイバイされていたであろう万作さん、高野さんも、楽しくお聴きになられていたでしょうか。

はたまた、また超過かい!とお思いだったでしょうか。

私にとっては、もーぉ、いっくらでも超過してください!ってなモンです。

今日はまた、お手の表情が一段と、うつくしい。
知盛さまになっておられる日数が重なると、平家の大将としての矜恃が皮膚にも浸透してくるのかも。

初冠のフサフサをつけると、「馬になった気分」になられる、とのコメントに、ププッと会場から笑いが。
その反応に満足そうな萬斎さま。

「月見座頭」
座頭が万作さん、
上京の男が高野さん、
後見が月崎さん。

この座頭は、
けっこう好戦的で、気骨のある人柄に描かれているのですね。

盲目だからといって、引け目を感じたり、遠慮がちになったり、とかいったことは、一切なし。

こういうトコが、まさに萬斎さんが提唱されている、「この辺りの者」スピリッツに通ずるように思います。

痛々しくみえないし、湿度もなく、カラッとしてる。

こんな目にあっても、きっと来年も、トーゼン月見に出掛けることでしょう。

「業平餅」
在原業平が萬斎さん、
餅屋が深田さん、
法衣が裕基くん、
稚児が三藤なつ葉ちゃん、
侍が内藤くん、
随身が飯田くん、
沓持が月崎さん、
傘持が石田幸雄さん、
餅屋の娘が石田淡朗くん、
後見が岡さん。

まず、業平さまが、法衣(裕基くん)を従えてご登場。
なにやら主&太郎冠者コンビ風。
が、装束は全く違います。

業平さまは、
古代紫色の単衣狩衣、朱色地に八藤の指貫。
狩衣には、業平菱、藤や杜若の丸文。

そして、裕基くんてば、シテ方ちっくな装束がめちゃくちゃ映える。
勿忘草色地に雪輪露芝の単法被(それとも長絹?)、白大口。

これはもう、是非とも裕基くんを配役に加えた「歌仙」を上演していただきたいです!
雅やかなカッコが、さぞやお似合いなることでしょう。
こんどアンケートでリクエストしなくては。

このお二人が向き合って会話を交わすと、すっかり平安絵巻ワールドに。
なんとノーブルな光景なんでしょー

参詣に行くよー、と裕基くんがお供の者たちに呼び掛けると、
なつ葉ちゃんを先頭に、ぞろぞろお付きの人々が登場。

なつ葉ちゃん、かっわいい~
昨年7月に、子猿のお役を拝見して以来。
所作もセリフも迷いがなく、堂々としてる。
すぐに舞台から居なくなってしまうのが、もったいない。

萬斎さんの解説のおかげで、業平さまの語りと謡がよくわかり、楽しさ倍増でした。

これにて、私は今月の狂言観賞は打止め。
来週からは、知盛さま祭です!