1月5日、鎌倉芸術館なる場所を始めて訪れました。 大船駅から徒歩10分ほどの、かっこいい建物です。 大船って、鎌倉市だったのか! 最初に、葛西聖司さんによる講演「父子の愛 石橋山のドラマ 大河ドラマに因んで〜頼朝の旗揚げ〜」。 葛西さんのご説明によると、今回のお能「七騎落」に登場する岡崎義実の子供・真田ヨイチが、子供の頃から親しんでいたのが、文蔵である、と。 今回の狂言とお能は、石橋山の合戦場つながり、という所までは想定内でしたが、真田ヨイチつながりだったのですね。 狂言「文蔵」 主が萬斎さん、 太郎冠者が石田幸雄さん、 後見が飯田くん。 萬斎さんは、鉛色の襟、同色の熨斗目、支子色の毘沙門亀甲の長裃。 新年らしい華やかな発色に、気持ちも晴れやかになります! 扇はシルバー地に藍鉄色の飛雲。 萬斎さんが片足を強く踏むと、大きく 床が鳴る。 気持ちイイ音! 今回の能舞台は、ホールの舞台に、10センチくらい嵩上げして設置されたもの。 葛西さんからの事前インプットのおかげで、語りの終盤に「真田」のワードが出てくるのが、聞き取れました! 何とは無しに嬉しくなります。 手酷いところを食ろうたな、という主のコメントが楽しい〜 いや、ホント、主が語ってる内容って、なかなかハードなのですよねー 文字通り、命懸けの戦いを語るのですから。 でも、残虐っていうより、ドキドキハラハラのスポーツ実況のよう。 しかも、戦闘時の扮装まで細やかに実況してくれる。 衣装ディティール込みのスポーツ実況というと、フィギュアスケートが近いかも。 新年早々、大好きな演目が聴けて幸せでした。 能「七騎落」 土肥実平(シテ)が観世喜正さん、 その子供である土肥遠平(子方ちゃん)は富坂唐くん。 小学3年生だそうです。 子方ちゃんが演じるけど、16歳くらいの設定だと思ってください、と冒頭の講演の中で葛西さんからご説明あり。 曲目に出てくる"七騎"というのは、 現状8騎なんだけど、それを縮小して7騎にせよ、という頼朝の指令に由来しているようです。 で、その8騎のメンバなんだけど、 まず、前記のシテ&子方ちゃん、 そして、頼朝(中森健之介さん) 岡崎義実(中所宜夫さん)。 ここまでの登場人物は個々にセリフあり。 残りの4人は、同時発声のセリフのみではあっても、ちゃんと名前が付いており。 土佐坊(小島英明さん)、 田代信綱(佐久間二郎さん)、 新開次郎(奥川恒成さん)、 土屋三郎(石井寛人さん)。 以上が、8騎のメンバ。 頼朝一行の舟を追ってきた和田義盛(ワキ)が舘田善博さん。 船頭(アイ)が裕基くん。 笛が杉信太朗さん、 小鼓が飯田清一さん、 大鼓が亀井広忠さん、 地謡は、中森貫太センセを地頭に、5人編成。 囃子方も地謡も後見も紋付裃。 前場では、岡崎義実の台詞の中に、真田ヨイチがしっかり登場! 我が子・ヨイチが石橋山の合戦で戦死したのだ、という発言があり。 葛西さんのお陰で、しっかり繋がりを検証できました! ドラマチックなハッピーエンドでしたが、そもそも頼朝が我儘を言い出さなければ済んだのにな、という気もしてしまいます。 他の7人は、そんな事は微塵も考えなかったのでしょうね。 そんなにも主君は絶対的な存在なのか?と、理不尽な気もしますが、 絶対的な存在たらんとするプレッシャーも、はかり知れません。 それと、裕基くんの船頭さん、キリリと俊敏でした。 肩衣を片脱ぎにする所作と、それをシュッと元通りに整える所作が美しい。 目が洗われるよう、とは、このことです!! |