萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「日本博皇居外苑特別公演 祈りのかたち(初日)」を観る

3月12日、皇居外苑 皇居前広場へ。

入口にて、手荷物検索と、金属探知機によるボディチェックがあり、
なにやらモノモノシイ。

「翁」
翁が観世宗家、
三番叟が萬斎さん、
千歳が観世三郎太くん、
面箱が裕基くん。

笛が松田弘之さん、
小鼓頭取が鵜澤洋太郎さん、
脇鼓が飯冨孔明さん&清水和音さん。
大鼓が亀井広忠さん~

番組表では、
小鼓頭取は大倉源次郎さんで、
脇鼓のお一人は大倉伶士郎くん、
・・・となっていたのですが。

後見が、片山九郎右衛門さん!&
坂口貴信さん。

三番叟後見が、太一郎くん&高野さん。

地謡は、梅若実さんを地頭に10人編成。
なぜ10人だったのかは謎。
屋外だから、音量アップのためでしょうか?

萬斎さんが揚幕からお出ましになっただけで、訳もなく涙が出てしまう。

萬斎さんの背後には、石垣と二重橋
橋の途中途中に配された燭台かや、親柱の、ろくしょう色が差し色として効いています。

二重橋の袂には、白壁の建物があり、屋根や窓枠も、ろくしょう色。

萬斎さんの直垂に描かれた鶴の翼にも、ろくしょう色がスッと刷かれたように、瑞々しく煌めきます。
石垣に点在する苔の色もろくしょう色。

不思議なのは、萬斎さんが現れる前までは、こうした色のリンクに気付かなかったのに、
萬斎さんのお姿を目にしたら、いきなりリンクがつながり、すべてが共振し始めたのですよねー

三番叟を踏まれている間も、共振
現象がずっと!

これ、大袈裟に言ってるんじゃなくて、ほんとに空気が、揺るがされるような感覚があったのです。

三番叟のなかで、橋掛りへ、ダーッと走り込まれる演出が!

わーっ
これは、あれです、あれです!
昨年7/27に上演された「翁」で、
萬斎さんが踏まれた三番叟の時と、同じヤツ!!

あの時は、萬斎さんのアドリブなのかと思っちゃいましたが、ちゃんと「???の式」という名前があるそうで。
せっかく学習したのに、またまた、その名前を失念してしまいましたが。

萬斎さんと広忠さんのコンビも嬉しかったです。
3/6のトークでの、お二人の間に漂う親愛ムードを反芻しつつ、にまにま拝見いたしました

他の演目に、以下の演目が上演されました。

一調「杜若」
金春憲和さん&三島元太郎さん

舞囃子「羽衣」
友枝昭世さん

狂言「三本柱」
果報者が万作さん、
太郎冠者が中村くん、
次郎冠者が内藤くん、
三郎冠者飯田くん、
後見が深田さん。

万作さんは、向鶴菱の素襖裃。
このお装束、久しぶりに拝見しました。

最近は、萬斎さんが果報者のお役をなさるときでも、これをお召しにならず、もしや処分されてしまったのかしら?と少々さびしく思っておりました。

だんだん傷んできたから、なるべく温存して、万作さんしか着ちゃダメ、とか、そういうルールになったのかしら?

能「高砂 祝言之式」
住吉明神が観世宗家、
神主友成が福王茂十郎さん、
従者が福王和幸さん&福王知登さん&福王忠世さん。

終演は、25分ほど押して、14時40分
ごろ。

最後まで雨もふらず、ときおり雲間から日射しがさしたりすると、舞台の上の色調も、ゆらゆらと遷移して、まるで演出のよう。

昔の人達は、こんな風に、天候の移り変わりもセットで、能楽を楽しんでいたのでしょうね。

休憩時間に、同行の母が、
「昔、あなた達きょうだいを連れて、ここへ来たことがある」
と言い出す。

えーっ
ぜんぜん覚えてない~

帰宅して、アルバムをひっくり返したところ、証拠写真、ありました!

自分の兄弟4人と、イトコ2人が、今は亡き祖母と共に、二重橋をバックに写っておりました。
まさに、萬斎さんの背後に拡がっていたのと同じ景色。

たぶん40数年まえの写真。
なんだか不思議な気持ちです。