最初に、萬斎さんの超スペシャルトーク。
毎年恒例の年間総括を聞かないことには、年が越せません。
オリパラ開閉会式に関するお話では「一筋縄ではいかない人達を束ねるのは、並大抵ではない」と。
実感のこもるお言葉。
映画の撮影そのものはたのしいけど、プロモーションは人間が腐っていく、なーんてご発言も。
萬斎さんは、確固たるご自分というものを持っておられるように見え、並大抵のことでは侵食されたり揺らいだりしそうにないけど。
ただ、腐っていく、という危惧を持たれるところが健全なのでしょうね。
トークの最後に質問をいくつか受けられ、質問は忘れちゃったのですが、回答が印象的だったので、ちょっとメモ的に。
「私は批評的な所があるので、人間なんて所詮こんなもんだ、という気持ちがある。でも、だからといって卑下するのではなく、そういう存在をいとおしむ気持ちでやっている。」
「茶壺」
すっぱが石田幸雄さん、中国の者が石田淡朗くん、目代が深田さん。
わーっ
親子で「茶壺」!
これはお二人とも嬉しいでしょうねー
道端で淡朗くんが寝入る時に、葛桶の背負い紐から片腕を外すんだけど、ちょっと手間取ってしまわれる。
そうか、いつも萬斎さんが軽々となさってるから、私も認識できてなかったけど、そこは難しい所作だったんだ。
淡朗くんの、ちょっとした発声や所作に、時おりお父さま要素がかすめます。
キビキビと舞う姿がきれいでした。
「川上」
盲目の夫が萬斎さん、妻が太一郎くん。
青色地に金糸で墨流しちっくな柄が織り出された角頭巾、金茶の襟、ろくしょう色にグリーンの格子の厚板の、着流し(バンザイ着流し!)、八掛けは銀鼠色、ブルーグレーの。蜀江文っぽい緞子の腰帯。
「川上」は、狂言袴でなさることもあるけど、私はだんぜん着流し推しなので、もーぉ、幕から現れたお姿を見るや、内診ガッツポーズでしたよぉ
「鰐口がありそうなものじゃが」とかってセリフがあった気がするんだけど、今回はスキップされてしまった。
鰐口を手探りする御手を観るのを楽しみにしていたので、アレッ?と。
ラストの夫は、納得いかねー感あり。
でも、その釈然としない思いの矛先は、妻に向いてはいなくて、川上の地蔵にも向いてなくて、
もっと大いなるもの(定め、とか、運命、という言葉になるのかな)に向かっている、という風。
少し前に観た、万作さんの同曲では、ラストの夫に悟りのような諦念感があったのに、この違いが面白いです。
今の私には、今回の萬斎さん版は非常に共感できるところがありました。
私がもっと歳を重ねたら、万作さん版に共鳴するようになるのでしょうかねー