萬斎さん観賞と日本画修得の日々

能楽や展覧会の観賞の感想を書いています

「第92回 野村狂言座」を観る

12月18日、宝生能楽堂へ。

最初の解説は、石田幸雄さん。

狂言「膏薬煉」
上方の膏薬煉が裕基くん、
鎌倉の膏薬煉が淡朗くん、
後見が飯田くん。

色違いのオソロの装束すてき。
鼻に貼り付けた長い短冊が、ニュータイプのマスクのようです。

身体を反らせたり、ねじったりのタイミングが両者バッチリで、膏薬の効き目がそこまであるんかいっ
と思いつつも、シンクロがミゴトなので、ヨーシその設定、受け容れちゃおう!という気にさせられます。

狂言「千鳥」
太郎冠者が野村又三郎さん、
主が野村信朗さん、
酒屋が野口隆行さん。

一家に一人欲しくなるような太郎冠者。
エネルギッシュで、頭の回転も早くて、愛嬌もある。
ちょっと生意気な口をきくとこも、ひっくるめて、酒屋は気に入っているのでしょうね。

太一郎くんによる小舞「鶉舞」。
地謡は、深田さん&高野さん&内藤くん&淡朗くん&裕基くん。

「歩いてるだけでカッコいい!」←これ、入場してきた裕基くんについての、母の感想です。

はい、私も全く同感でございます。

さっきも、上方の膏薬煉としてのお姿は目にしたんだけど、
こうして、裕基くんご当人として登場されると、カッコよさがパワーアップするのですよねー

太一郎くんの陽性オーラ全開でした。

コロナのニュースばかり流れてくるこのご時世、陽性というワードのイメージダウンが著しいですが、ここでは誉め言葉です。

狂言が発祥した頃に生きていた人たちは、こんな風に軽やかに歌舞を楽しんでたんだなー、と感じられました。

萬斎さんによる小舞「鉄輪」
地謡は、「鶉舞」と同メンバ。

萬斎さんは錆納戸色の袴。
扇は神秘域でしょうか。

萬斎さんてば、情念ドロドロ系が、なんとお似合いなるのでしょうか。

背後には、得体の知れない何かが蛇のように渦巻いているかのよう。
振り乱したご自身の長い髪(ほんとは長くないはずだけど)なのか、
それとも、ゴッホの「星月夜」を赤錆色に変換したを闇空なのか。

地謡も、めちゃくちゃ素敵でした。

狂言「仏師」
すっぱが中村くん、
田舎者が石田幸雄さん、
後見が内藤くん。

仏像のポーズが気に入らなければ何度でも直してやろう、だなんて、アフターサービスの行き届いたすっぱです。

すっぱは、すっぱなりに、誠意があるのですね。
石田さん、もうその辺で手を打ってあげてよぉ、と思えてくる。

中村くんのお人柄によるのでしょうか。

狂言「蜘盗人」
貧者が万作さん、
主が萬斎さん、
太郎冠者が月崎さん、
立衆が高野さん&竹山さん&深田さん&飯田くん&岡さん、
後見が淡朗くん&裕基くん。

万作さんが退出する時の言葉が、心に残りました。
「あまりの恥ずかしさに、はじめ入ったところから、おかえしなされて下さいませ」と。

この人物の品性が感じられます。
貧富と品性は関係ないのですねー

今回、古歌を万作さんが詠む場面で、万作さんがふと、セリフに詰まられたご様子に。
プロンプタの声が何度か掛かりますが、万作さんのお耳に届かぬようで。

演者のどなかかも、プロンプタに加わられて、何度目かに漸く、万作さんに伝わったのでした。

その時、裕基くんのお姿は舞台上には無かったのだけど、プロンプタをなさるお声は、キリリと通りました。

私はかなり後ろの方のお席だったので、私がヒアリングできちゃうのはヨロシクないのかもしれないけど、
きっと、最初のうちはもうチョイ小声でトライされていたのでしょうね。

裕基くんにとっては、未演であろう演目の後見だったかと思いますが、よりによって後見の最重要任務発動の事態にぶちあたってしまい、ドキッとなされたことでしょう。

お後見て、ご自分が演じたことのない曲でも、ほんとーにセリフをちゃんと覚えて臨まれるのですね。