萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「第十二回 佐久間二郎 能の会 三曜会」を観る

12月3日、国立能楽堂で「第十二回 佐久間二郎能の会 三曜会」を観てきました。
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狂言は、「腰祈」。
お能に登場する山伏の装束との違いを見て欲しい、という佐久間先生の意図で、お願いした選曲だそうです。
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祖父が万作さん。
その孫である山伏を、リアル孫の裕基くん。
太郎冠者が萬斎さん。
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裕基くんの厚板には、エメラルドグリーン&空色が使われていて、瑞々しい美しさ。
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山伏クンは、ジイジの曲がった腰を祈祷で真っ直ぐに治してあげようとしますが、真っ直ぐを通り越して反り気味になってしまいます。
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それを再調整すべく、山伏クンからサポート要請された太郎冠者は、万作さんの背後に周り、シャッと腰に支え棒を。
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この時の太郎冠者が、
そりゃっ!って感じで、
待ってました、と言わんばかり。
あまりの素早い反応に、笑ってしまいました。
主の身体を案じるよりも前に、プチ事件の勃発に活き活きしちゃう性なのですね。
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更に、ジイジのキャラが、これまた天晴れで。
祈祷が失敗すると、善意でやった事なんだから、という
斟酌は一切なく、大激怒。
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歳をとると丸くなる、という一般的なイメージを吹っ飛ばす奔放さが、不思議にチャーミングでした。
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そして、お能は「安宅」。
弁慶が佐久間先生。
義経が佐久間瑞稀ちゃん。佐久間先生のお嬢様で中学生とのこと。
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弁慶が率いるのは、山伏達9人と強力。
強力は萬斎さん。
紺&枇杷色の格子の厚板に、紺の括り袴。腰帯の小槌のような紋がカワイイ。
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富樫某が宝生常三さん。
その太刀持が高野さん。
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山伏達がV字のフォーメーションで、ドスドスドスッと
座っていく場面がカッコいい。
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山伏達が登場した時は、装束の色がライト系/ダーク系の交互だったのですが、V字の時は、ライト系とダーク系がバッと左右に分かれ、鮮やかなイリュージョンのようでした。
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義経の結袈裟についたポンポンがローズ色で、厚板に配された同色の笹竜胆とのリンクが綺麗。
下働きの姿に変装しても、この気品は隠しようがない、という雰囲気がよかったです。
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他に、
観世喜正さんの舞囃子船弁慶」、
観世喜之さんの仕舞「鞍馬天狗」と、
義経づくしの番組でした。
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公演パンフに日本地図が載っていて、各演目の舞台となった地名が。
今回は上演されてないけど、義経がらみの他の曲ゆかりの地名もあって、眺めるのが楽しい。
各曲の時系列な相関も同時に分かるように解説されていて、とても丁寧に作り込まれていることが伝わってきました。
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次回の同会は、2024年12月1日、「野宮」&「葵上」とのことです。
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