10月8日、喜多能楽堂へ。
「六地蔵」
すっぱが万作さん、
田舎者が深田さん、
すっぱ仲間が
中村くん&内藤くん&飯田くん。
後見が月崎さん。
深田さんの腰帯は桔梗紋。
いまの初秋の時期にぴったり。
万作さんが軽やか。
仲間たちの肩衣をシュッと引き抜く所作も洗練されています。
それが万作さんの芸からくる洗練なのか、はたまた、数々の悪事を遂げてきた手練の象徴なのか、わからなくなってきちゃいます。
「安宅 延年ノ舞 貝立」
弁慶が長島茂さん。
義経が大島伊織くん。
大島輝久さんのご子息です。
義経一行の強力が萬斎さん。
義経の郎党が、
狩野了一さん&友枝雄人さん&粟谷浩之さん&友枝真也さん&塩津圭介 さん&佐藤寛泰さん&狩野祐一さん&谷友矩さん&金子敬一郎さん。
富樫が殿田謙吉さん。
富樫の太刀持が裕基くん。
笛が藤田貴寛さん、
小鼓が観世新九郎さん、
大鼓が亀井広忠さん。
地謡メンバのなかに、輝久さんのお姿。
ワキ座に一番近い、つまり、子方ちゃんポジションに近い場所ですね。
囃子方も地謡も後見も紋付裃。
この演目の、この配役!という期待感わくわくの所に、紋付裃コーデ大群に、ますますテンションも上がります!
今回の二つの小書のうち、「貝立」は狂言方の小書。
萬斎さんは橋懸りに立ち、拡げた扇を法螺貝ちっくに掲げ、要の側を口元に当てて、
「つおぉぉぉぉぉーーーーーーーーん」
と。
なんと佳い音色!
「鐘の音」のワンシーンが紛れ込んできたかのようです。
萬斎さんは、
栗皮色&紺色の格子の地に刀のツバがランダムに配された厚板、
紺の狂言袴の括り袴、
金茶地に白い伊達巻・・・に限りなく近い飛雲らしき文の腰帯。
頭には頭巾。
ダークな色調がカッコいい。
偵察に行くために頭巾を外すと、
ちょっと雰囲気が和らぎ、能力さまのオフの日って、こんなんなのか~、と私はニマニマ。
偵察から戻られ、橋懸りで後ろを向いて頭巾を再送着してこちらを向かれると、
わーっ
オンの日の能力さまってば、キリッとしてるぅ、と、さっきと同じ格好に戻っただけのはずなのに、感嘆を新たにしておりました。
チョコレートとポテトチップを交互に食べるのと同じように、頭巾の有り無しで無限に楽しめそう。
そして、負けず劣らずカッコよかったのが裕基くん。
いつもは淡々としてるイメージが強い裕基くんですが、ギラリ、と殺気があり。
昨日も山伏を3人ばかり斬り捨てたのだゾ、と凄む言葉にも説得力が。
弁慶&山伏達と富樫が、互いに刀の柄に手を掛けて睨みあうシーンでも、
裕基くんのかっこよさが水際だってる。
裕基くんは、富樫を庇うように腕を水平に伸ばし、その姿が頼もしく、かつ美しいのです。
この睨み合いのシーンでは、萬斎さんは橋懸りに控えていたのだけど、鋭く横目でガン見されてました。
今回のお役目を裕基くんがなさるにあたって、おそらく萬斎さんの
熱血お稽古があったに違いなく、
プログラミングした通りに作動してるだろうな?おい!、という横目でしょうか。
が、なんといってもズシンときたのは、萬斎さんvs裕基くんが対峙する場面。
狂言の中でお二人が向き合うときとは全く違う。
その緊迫感たるや。
殺すか殺されるか、という平安時代に生きる、敵対する立場の二人の対峙、なんだもの。
敵対する立場でありながら、両者の声が同じ、というのも、なにやらドキドキが煽られます。
それと、義経をなさった伊織くんが、ハッとする気高さで。
みんなと同じ山伏コーデだと、あまりに目立ちすぎる、と弁慶が懸念するのも頷ける。
お顔立ちが整っているってだけじゃなくて、佇まいが清らかなのでした。