萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「狂言ござる乃座 66th」を観る

10月30日、国立能楽堂 へ。

「重喜」
住持が萬斎さん、
重喜が三藤なつ葉 ちゃん
地謡は、深田さんを地頭に、
高野さん&中村くん&内藤くん&飯田くん、
後見が岡さん。

なつ葉ちゃんが可愛い。
見た目の愛らしさとは裏腹に、所作や発生はキリリとしてる。

番組表によると、萬斎さんがお祖父様と共演した思い出の曲なのだとか。

幼かりしタケちゃんがお祖父様と共演した際に、シテのお役についてもじわりと相伝された部分があるのでしょうか。
そのお役を数十年を経てご自身でなさる、と。
なんと雄大な時間軸スケールなのでしょー

「空腕」
太郎冠者が萬斎さん、
主が万作さん、
後見が太一郎くん。

主人に泳がされているのも知らず、太郎冠者は大嘘を展開していきます。
この太郎冠者を見守る私は、どきどきしつつ愉悦のキモチ。

泳がされっぷりで魅せる、というのは、隠狸にも通じる所がありますね。
"泳がされモノ"とでもいいましょうか。
「花子」もここに分類したいところです。

「仁王」
博奕打が裕基くん、
何某が石田幸さん、
参詣人が
高野さん&深田さん&金澤桂舟くん&内藤くん&中村くん&飯田くん。
足の不自由な参詣人が太一郎くん。
後見が月崎さん。

裕基くんの仁王ポーズがフォルムとして美しかった。
片手を高く振り上げ、
他方の手では棍棒?を前方に構え、
クワッと開口した姿。

仁王の像を彫った昔の人が、立像としての理想形を追求していったらあの姿になったのかもしれず、そう考えれば美しくて正解なのかも。

面白いより、まず美しくある事を指針とされる万作家のスピリッツが隅々まで行き渡った公演でした。