萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「第四回 武田宗典之会」を観る

113日、観世能楽堂へ。

仕舞

「嵐山」武田祥照
采女 キリ」武田宗和
「富士太鼓」松木千俊


狂言佐渡狐」

奏者が万作さん、越後のお百姓が裕基くん、佐渡のお百姓が太一郎くん、後見が飯田くん。


裕基くんは、スックリと立つ首が美しい。

万作さんのサインをブロックすべく、両手をおおきく拡げてデシデシデシデシーッと膝立ちで奮闘する様もうつくしい。


能「屋島 弓流 奈須與市語」
漁翁&義経が武田宗典さん、

漁夫が武田文志さん。

旅僧が森常好さん、従僧が館田善博さん&梅村昌功さん。

屋島ノ浦人が萬斎さん!

狂言後見は裕基くん。紋付裃〜


笛が一噌隆之さん、小鼓が鵜澤洋太郎さん、大鼓が亀井広忠さん。

囃子方と後見は紋付長裃。


前シテの尉の面の下からのぞく顎のラインが繊細な石像のよう。なんと美麗な老人!

この前シテの年齢設定って、何歳くらいなのでしょうか。そういえば、リアル義経30歳くらいで亡くなったはずなのに、どうして老人の姿で出てくるのかしら?

ありし日の姿で出てくるんなら、直面でいいのに。

苦悩のあまり、実年齢よりも精神年齢が大きく先行しちゃった、とか?

そんなら、今回の宗典さんの前シテは、ドンピシャだったのかも。

面だけは精神年齢を映していて、身体は義経のリアル年齢を体現しているって言えそうなんだもの。


後シテの半切の柄が面白い。小茄子らしきモチーフが3個、丸紋の中に配されており。

茄子?!と思ってしまったあとは、丸紋の周りにあしらわれた唐草模様も茄子の茎に見えてきちゃう。


萬斎さんは、濃紺色の松皮菱の長裃、水色の襟、胡桃色&ブルーグレー&白の段熨斗目、袖口からのぞく裏地は勿忘草色。


語りのマと、キレッキレの所作に痺れました!

そして、複数の登場人物へのスイッチングが鮮やか。私は、義経になってる時が特にすき。

天才肌の義経が、尻込みする部下にジリジリする焦燥感が滲むように感じられ。


与市は最終的に命令に従ったけど、常にこんな風なイヤイヤマンがわんさかひしめく船中だったのかも、なーんて思いを、馳せておりました。