萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「武田尚浩斯道六十年 武田祥照独立五周年 第二十八回 能尚会」を観る

9月4日、観世能楽堂へ。

仕舞
「老松」武田應秀(まさひで)くん(2歳)、

「春栄」武田智継(さとつぐ)くん(4歳)。

お二人は、武田祥照さんのご子息。
出てきた時から、二人ともニッコニコで、やたらと嬉しそ~

地謡は、武田祥照さんを地頭に、
3人編成
・・・と、番組表には記載されていましたが、
第4のオトコが。

「老松」の時は、なんと智継くんも、がっつり地謡に参加なさるではありませんか!

舞ってる應秀くんも、地謡の智継
くんも、ダブルパンチで可愛かったです。

應秀くんの舞が終わって見所から拍手が沸くと、その音に驚いたのか、
智継くんは、両手で耳をふさぐ。
くわーっ
カッワイイーー

智継くんは、ご自分の舞のあとに沸いた拍手にも、またもや耳ふさぎをしちゃって、愛らしさ満天でした。

智継くんは、いつのまにか老松の地謡を覚えちゃって、それで地謡にも参加することになったのかしら?

シテ方のおうちに生れたコは、こんなに小さいうちから、自然と謡に馴染んでゆくのですねー


能「木曽 願書 恐之舞」
シテ・覺明(かくめい)が武田尚浩さん、
覺明が仕える木曽義仲が武田崇史 さん。

義仲郎等が、
武田友志さん&坂井音晴さん&武田文志さん&佐川勝貴さん&清水義也 さん、
池田次郎が藤波重彦さん。

笛は松田弘之さん。
小鼓は大倉源次郎さん。
大鼓は亀井忠雄さん。

囃子方は、紋付長裃。
小鼓後見の伶士郞くんは、お父様の長裃の裾を丁寧に整えておられ。

この演目、初めて観たかも。
ワキ方が登場しない演目なんですね。

なんとなく、木曽義仲とか、
池田次郎あたりは、
ワキ方もお似合いになりそうな役な気がします。
こういう分担って、数百年の昔にもう決まっていたのかしら?

重い習いの曲という知識だけはあったので、
私には難解すぎるかも、と心配でしたが、キリキリと起承転結が進んで、明快な面白さでした。

そして、袈裟を巻き付けた(?)頭巾のフォルムが、とても気に入りました。
頭の形に素直に沿わないことで生じるモタツキ感が、ひっかかりのあるビジュアルを作り出しているのかも。


狂言「墨塗」  
大名が萬斎さん、
太郎冠者が高野さん、
女が石田幸雄さん。
後見は深田さん。

大名さまは、青鈍色の地に鬼瓦が配された素襖裃、藍色の段熨斗目。

女に別れを切り出すことができずに、モゴモゴする大名さまがチャーミング。

別れに際して、よく顔を見せて欲しい、というマインドが、新鮮で奥ゆかしく感じられます。

写真が無かった時代は、離れている時に相手の顔を脳内再生したい、という欲求が切実だったのですねー


仕舞
「難波」 観世恭秀さん
「草子洗小町」 角寛次朗さん
「鵜之段」  寺井栄さん
「山姥 キリ」 山階彌右衛門さん


能「道成寺
白拍子&蛇体が武田祥照さん。
道成寺住僧が福王和幸さん、
従僧が村瀬提さん&村瀬慧さん。
能力が太一郎くん&裕基くん。

後見が観世宗家
&観世三郎くん&武田宗和さん。

鐘後見が坂口貴信さん
&木月宣行さん&武田宗典さん
&角幸二郎さん&関根祥丸さん。

狂言方鐘後見は、
中村くん&内藤くん
&飯田くん&淡朗くん。

内藤くんが滑車通しを、
中村くんが綱を引き出すお役目をなさいました。

このツートップコンビは勿論のことですが、若手くん達はみなさま落ち着き払っておられ、頼もしい。
手慣れたご様子で粛々と鐘釣セレモニーを進めておられました。

笛は杉信太朗さん、
小鼓は鵜澤洋太郎さん、
大鼓は亀井洋佑さん、
太鼓は林雄一郎さん。

前シテの登場は、つい、さまよい出てきてしまった、という風。
この時点では、彼女は無心に、ただ供養を見たい、と思ってた気がします。

鐘入りの少し前に、宗家がツ、とおシテの背後に近づかれ、烏帽子の紐の乱れを直されました。

そうか!
このあとに烏帽子の紐をセルフで解いて、扇で払い落とす場面があるから、紐が変な所にいっちゃってるとヨロシクナイのですね。

後見のお仕事ぶりって、いかにも専門職、という感があって、見てて面白いのです。

会場入口では、リニューアルされた番組表と、プチお菓子セットをいただきました。

プチお菓子セットは、應秀くんの初舞台の記念とのこと。
その中には、應秀くんの顔写真いりチョコも。
弾けるような笑顔がアイドル級でした。