萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「夏のめぐろ能と狂言」を観る

8月29日、めぐろパーシモンホールへ。
目黒区長さんのご挨拶に続いて、
金子直樹先生による解説。

仕舞 
「巴」 井上燎治さん
「井筒」 松山隆雄さん
「融」 角当直隆切さん

狂言「鍋八撥」
鍋売りが万作さん、
羯鼓売りが裕基くん、
目代が萬斎さん。
笛が松田弘之さん。
後見が飯田くん&淡朗くん。

目代サマは、古代紫の松皮菱の素襖裃、同色の段熨斗目、ブルーグレーの襟。

こちらの会場の舞台は少し高めで、私のお席からは見上げる角度 だったのですが、
素襖裃のお姿の、あらゆるアングルに視線クギヅケでした。

鍋売りの方を向いておられる時は、左肩から袂へ流れるラインにも、
襟足から右の肩甲骨あたりを経て腰板、そして長袴に至るラインにも、ひゃー美しい~、と。

裕基くんが棒振のために肩衣を外すと、その軽やかな装いにハッとしました。
冬服の制服から、衣替えで夏服になったクラスメートが眩しく見えちゃう、あの感じ。

そして、万作さんがこの上なくチャーミング。
その癒しが見所にみるみる拡がって、みんなして、ぽわわ~んっと、万作さんの魅力に参ちゃったのが、
まざまざと感じられました。

能「羽衣 和合之舞」
天女が梅若紀彰さん、
白竜が村瀬提さん、
漁師が村瀬慧さん。

大鼓が広忠さん、
小鼓が源次郎さん、
笛が松田弘之さん、
太鼓が徳田宗久さん。
なんて豪華な囃子方
小鼓後見は大倉伶士郞くん。

天女が腰巻に着付けていた縫箔のモチーフが面白い。

身頃の裾エリアには、
アワビ、法螺貝、サザエ、牡蛎フジツボ、など。
ならば、紅葉のように見えるアイツはヒトデということか?

袂エリアは、
下方に帆掛船、
上方に松。

お着物の全面を使って、
松の連なる海岸、
そのチョイ下に船の浮かぶ海上
その更に下に海底風景、
を描いているのかな。

伊藤若冲の「動植綵絵」シリーズの「貝甲図」のような味わい。

いったい、どんな意図で、こんなデザインのお着物が作られたのかしら?

「海人」の演目にも似合いそ~
そういえば海底エリアには、海松布らしきモチーフも描かれていたし。

舞の時のお囃子が気持ちよくて、
元気注入された一夜となりました!