萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「第53回 花影会」を観る

4月16日、観世能楽堂へ。


「翁」
翁が松木千俊さん、
千歳が武田宗典さん、
面箱が野村裕基くん。

笛が一噌隆晴くん。
お父様の隆之さんが後見。
小鼓頭取が大倉源次郎さん、脇鼓が飯冨孔明さん&大倉伶士郎くん、
大鼓が安福光雄さん。

三番叟後見は、高野さん&内藤くん。
 

笛の隆晴くんは、2年半ほど前に、青山MIRAI能にも出ておられ。その時で小学6年生だったので、いま中学3年生になられたばかりでしょうか。2年半の縦拡大率が著しいです。

裕基くんは明るい空色に鶴亀の直垂、枇杷色&浅みどり色の格子の厚板。
厚板の白地ベースが爽やかです。
 
宗典さんは、白地に藍色の檜垣模様のうえに、鶴亀&笹の葉が配された直垂。
笹の葉のグリーンの透明感がキレイ。
 
脇鼓が退出され、そのまま
脇能「高砂」。
 
シテが松木千俊さん、
ツレが武田宗典さん、
ワキが福王茂十郎さん、
ワキツレが喜多雅人さん&村瀬慧さん、
アイが深田さん。
太鼓が林雄一郎さん。
 
太鼓は翁の時から本舞台に座っておられたので、他の囃子方と同じく素襖裃&侍烏帽子。
 
伶士郎くんは、素襖裃から紋付裃に着替えて再入場され、小鼓後見を。
 
後シテの面は、邯鄲男のようなタイプとは違っていました。
ちょうど地頭をされていた武田志房さんのような面差し。
 
翁、高砂の前シテの老人ときて、ラストに何の面をチョイスするか、と考えるのって楽しそう。
翁附脇能のシテだけが味わえる特権ですね。


狂言「張蛸(はりだこ)」 
大果報者が萬斎さん、
すっぱが石田さん、
太郎冠者中村くん、
後見が飯田くん、
幕が月崎さん。
 
番組表に大果報者と記載があったのだけど、果報者と定義が違うのかしら。
 
大果報者サマは退出するとき、袂をやわらかくフワリ、となさり。
「末広かり」の退出の時は、袂を鋭くシュバッとなさっていた気がします。
 
張蛸のシテの方が鷹揚なキャラなのかしら。
人間性の豊かさ、から豊穣へ連なるイメージの連鎖を狙った「大」つき果報者なのでしょうか。
 
今回は、「翁附 高砂・張蛸」とのことで、番組表の解説のくくりも、「翁附 高砂・張蛸」がワンセットの扱いとなっており。
 
が、そのために、囃子方の皆さまが3時間出ずっぱりに。
 
つまり、お笛と太鼓は、ずーっと正座!
中3の一噌隆晴くんも然り。
 
そんなに過酷なこと、中学生にさせちゃうのぉ?
こんな職業はイヤダ、と逃げられちゃう懸念はないのかしら。
 
大変さを小出しにしてく作戦にしといた方がいいんじゃなかろうか、と心配になってしまいました。
 
いやしかし、イヤダの気配は微塵も感じさせない堂々たるお務めっぷりでした。