萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「銕仙会 7月定期公演」を観る

7/9、宝生能楽堂へ。

とんでもない「水汲」を観てしまった!
聴いてしまった!!

萬斎さんがシテの「水汲」では、
これが最高峰では?

萬斎さんの謡が美しいのは知ってたけど、今回のは次元が違う。
いったい何があったの?
萬斎さん??

さて、今回の配役は、
新発意が萬斎さん、
いちゃが太一郎くん、
後見が内藤くん。

萬斎さんは、
琥珀色&茶の能力頭巾、
白地に茶の格子の縞熨斗目。
ブルーグレーに金糸の麻変わり亀甲の腰帯。
白地に薄群青色の変わり市松模様狂言袴。
この柄は、万作さんのヘビロテ狂言袴と色ちがいではないかと。
萬斎さんには今回の色の方が、より映えます。

水衣はシャイニーグレー。
いちゃが濯ぎものをする川面の煌めきが水衣に映っているかのよう。

扇は、シルバー地に観世水が流れ、ろくしょう&鮮やかな青の花が配されたもの。
涼やかな中に格調のあるコーデ。

太一郎くんのお声は、華やかで艶があって、萬斎さんのお声との相性も、とても良いですねー


狂言の前に、野村幻雪さんによる
舞囃子「小塩」。

お父様(写真でしか観たことないけど)に、似ておられる~
今まで、そんな風に思ったこと無かったのに。

笛が一噌庸二さん、
小鼓が飯田清一さん、
大鼓が柿原光博さん
太鼓が三島元太郎さん。
地謡は、銕之丞センセを地頭に5人編成。

枯淡の境地におられる方が、直面で業平をなさってるのに、不思議と違和感なし。

鈍色の紋付を着ておられ、
背後の囃子方地謡は、当然ながら黒紋付で、水墨画の世界のよう。
すべてにおいて抑制の美学が行き渡った曲でした。


ラストは、能「藤戸」。
漁師の母&漁師が、浅井文義さん。
佐々木盛綱が舘田善博さん。
その従者が梅村昌功さん&則久英志さん。

盛綱の下人が高野さん。

笛が槻宅聡さん、
小鼓が吉阪一郎さん、
大鼓が國川純さん、
地謡は清水寛二さんを地頭に8人編成。

後シテの面が、インパクト大。
公演パンフによると、氷見作の「蛙(かわず)」というのだそうです。

後シテが、すーっとキザハシ近くまで出てくると、黒頭の前髪の陰になっていた目元や頬骨の辺りにまで照明が当たって、
移動距離を上回るズーム効果が。

佐々木盛綱に、自分がどうやって刺し殺されたかセルフ再現した場面が衝撃的。

これを見せられた盛綱が、むしろ悔い改めて成仏すべきなんじゃない?、という気持ちになってしまう。

漁師は何にも悪いことしてないしね。