萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

"よこはま「万作・萬斎の会」"を観る

5/8、横浜能楽堂へ。
このところ能楽堂を渇望していました。
この公演が延期 になってたら、暴動を起こすところでした。

最初に高野さんによる解説。
親子3代っていうのは、100年ですよ、100年続くというのは、凄いことなんですよ、と。

はい、ほんとに。
しかも3代みなさまが、揃いも揃って端正で魅力的っていうのも、凄いことですよねー


裕基くんの小舞「貝づくし」 。
地謡は高野さんを地頭に、
中村くん&内藤くん&飯田くん。

もーぉ
切戸口から半身が現れた瞬間から場が清らかに。
ヴィジュアルがカッコいいってだけじゃーないんです。

打ち水をしたかのよう、とでもいいましょうか、
床も空間も、つややかに煌めき出します。


「柑子」
太朗冠者が万作さん、
主が萬斎さん、
後見が淡朗くん。

主サマは、常磐色の地に細かい銀杏柄の長裃、
藍鼠色&山葵色&女郎花色の段熨斗目。

俊寛の物語に主サマが落涙するところが、最高に楽しい。
そして、しおる所作が美しい~

その号泣からの、
いやいや、あれは俊寛の話、いまは訊いてるのはミカンのコト!
とか言うくだりは、
ノリツッコミのようでした。


万作さんによる"狂言芸話(21)"。
アシスタントは飯田くん。

お父様(6世万蔵さん)が打った面のお話が面白い。
お父様がご生前の当時は、だいたいウン十万円で買い手がついた、だとか、

最近になって、お父様が打った面が骨董屋が売られている、と知らせを受けて、青山(地名はうろ覚えです)で数万円で手に入れた、だとか。

具体的な金額も興味深いし、あの界隈に、そんな風にポコッと売られてたりするんだー、という驚き。

お父様は、面を打つ以外に、根付や帯留もよく手掛けておられたそうで。

「石橋」の面(獅子口?)の根付の現物も見せてくださいました。

帯留めのモチーフとしては、中啓とかが多かったのですって。

あと、お父様が師事していた面打ちは下村清時という方だった、と。
さっそく帰宅して検索してみたら、なんと下村観山のお兄さんでした。

奥村土牛との交流のお話も。
歴史上の人物と思っていた人のことを、いま目の前にいるお方が、知り合いとして語られる不思議さよ。

40分ちかくもお話くださいました。


悪太郎
悪太郎が萬斎さん、
伯父が石田さん、
僧が深田さん、
後見が裕基くん。
幕は内藤くん(中盤)&淡朗くん(最後)。

萬斎さんは、
枇杷色に金糸の燕尾頭巾、同色ベースの段替の厚板、
白地にはしばみ色の格子の縞熨斗目、
紺地に白い風車紋の腰帯、
丸文いりの紺の狂言袴の括り袴。

伯父さんに脅しをかけて、
「このナギナタにのせてくりょ~っ」と、ナギナタを繰り出すと、ナギナタがうねうねうね~と気持ちいいくらい波打ちます。

後場、念仏に返事をする萬斎さんがカワイイ。
「やぁ? 」やら、「やーっ」やら、バリエーション豊かなレスポンスでした。

念仏にのって浮くところ、
萬斎さんと深田さんの息がぴったり。

以前に観た「鏡冠者」も、このお二人の組合せでした。
そういえば「まちがいの狂言」も。

それでフト思ったのですが、似たような背丈の二人が居ないと、「鏡冠者」も、「まちがいの狂言」も出来ないのですね。

そう考えると、これらの演目のシテを裕基くんがなさるなら、どなたが相方になるのかしら。
今度、裕基くんが立衆をなさるチャンスがあったら、比較検討しておかなくては。