5月15日、新小岩駅から、江戸川区総合文化センターへ。
アーケード商店街があって、住むのが楽しそうな街!
私は江戸川区生まれで、隣の駅が最寄り駅だったのに、こちらの駅に降り立ったのは初。
最初に「鼎談・解説」
鼎談メンバは、
梅若実センセ、萬斎さん、
玉川大学の先生(山崎敬子先生、民俗芸能論講師)のお三方。
黒紋付きの萬斎さんを拝見するのは1ヶ月半ぶり。
前回の黒紋付きは、春の陽気をまとったい匂いやかな麗しさ。
今回は、薫風が頬や額の辺りを吹き抜けているかのような爽やかさ。
屋外でもないのに、萬斎さまの髪だけ、そよいでいなかった?
まず冒頭に、進行の山崎敬子先生から萬斎さんに向けて、「能」に関する問い掛け。
しかし、萬斎さんは、そこはちゃんと対応され、しっかり実センセに話を振ったりされつつ、
「過去にも疫病があったり戦争があったりしながらも、ずっと続いてきたのです」などと。
また、
「みなさん、リモートで観てるんじゃないんだから反応してくださいね?
リモートじゃなくて満席だと演じる我々も全然疲れ方が違うんです!
ね、先生?」
それを受けて
実センセも
「そうです!
でも一生懸命やってるんです」と。
私も、ふむ、これはトークの取っ掛かりの軽いウォーミングアップのようなものであろう、これからこれから、と、落ち着きを取り戻す。
が、そう思った矢先に、
山崎敬子先生が「では、野村さんはこのあとの狂言のご準備があるので、ここで。」
と仰る!
えぇ~?
お三方が着席してから、まだ4分位なのに?
しかもその間、進行の方から振られたお題は、「能」だけなんですけどぉ?
萬斎さんも、いっしゅん虚をつかれたように見えました。が、
「ほんとうに、アッという間でしたが・・・」などといったことを言い残されて退出されました。
そして、その3分後に実センセも、ご準備のため、とのことで退出されてしまったのでした。
これを鼎談と謳ってよいのぉ?
そして、狂言が始まったのは、萬斎さんご退出から15分後。
萬斎さんなら、お着替えはそんなに時間がかからないんじゃない?
と、ちょびっと無念なり。
でも、貴重な萬斎さん黒紋付きが拝めたので、「鼎談」企画には心底感謝しております。
「二人袴」
親が萬斎さん、
聟が太一郎くん、
舅が深田さん、
太郎冠者が高野さん、
後見が月崎さん。
萬斎さんは、裏柳色の段熨斗目、古代紫色の八掛。濃紺地にグリーン系の植物の丸紋の腰帯。
聟と共用する長袴は、紫色地に山葵色の源氏車やお花の模様。
酒宴のシーンで聟が失言する度に、うぬっ、と慌てる萬斎さんがかわゆい。
そして、連舞の萬斎さんが美しい!
扇を返す手も、艶やかなお声も。
萬斎さんの謡を聴いたの、なんだ
久しぶり。
はあーっ
癒されるぅ
ホール内のアチコチちら笑い聟が声が聴こえたり、どよめきが感じられたり、と、まさにこれぞ、ライブ!
という楽しさでした。
「二人袴」の終演は13:55。
このあと観世能楽堂へ向かわれたことと思いますが、間に合われたでしょうか?
観世能楽堂の公演は14:30開演で、萬斎さんの出番は、
番組表によれば、
仕舞2番の後の「成上り」の太郎冠者。
熨斗目も着替えなきゃいけないので、なかなかの綱渡りだったのではないでしょうか。
さて、「えどがわ能」の続きです。
仕舞3番のあとに、
「景清 松門之会釈(しょうもんのあしらい)」
景清が梅若実センセ、
人丸が松山隆之さん、
人丸ノ供人が安藤貴康さん、
里人が工藤和哉さん。
笛が一噌幸弘さん、
小鼓が観世新九郎さん、
大鼓が安福光雄さん。
地謡は、角当直隆さんを地頭に、
六人編成。
里人がアイではなく、ワキなのは、何故なんでしょうねー?
実センセが体調的にお辛そうで、鬘桶に座っているときでさえ、グラリと身体が倒れかかったりなさる。
が、それが、景清の心象表現にオーバーラップして感じられ、息をのむように見詰めてしまいました。
会場のロビーは、広々と開放感があって、とてもよいホールでした。
ぜひ来年以降も以降も継続いただきたいです。
「鼎談」も慣例化されますように。