萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「二子玉川ライズ薪能」(8月7日)を観る

8月7日、二子玉川ライズ 原っぱ広場へ。

原っぱといっても、ビルの屋上にあるのですが、木々が揺れ、池の水面がきらめいて、風情があります。

山中玲子先生の解説につづいて、
長山凜三くんの仕舞「箙」。

また背が高くなられたような。
地謡の中でいちばん背の高い小早川泰輝さんと、同じくらい背丈があったもの!

凜三くんも地謡の方々も紋付裃。
凜三くんの裃のお姿、はじめて!
お似合いになります~

解説で伺ったご説明によると、「箙」は、梅の枝を箙にさして戦った若武者のお話なんですって。

こんなりりしい若武者に梅の枝って!
その設定、最高すぎます。

その時代の人々は、どんなにか、ほわわわ~ってなったことでしょう。

清冽さがほとばしるような舞でした。

脇柱の際までと出てこられ、キッと上方を見据えたお姿とか、神々しいったらなかった。

本舞台の後ろには鏡板のかわりにライトアップされた生垣がそよいでいるのですが、
本脇柱の際までと出てこられると生垣が遠のく分、

生垣のグリーンは腰の辺りまでとなり、それより上の背景は、群青色の夜空に。

この背景の色のせいか、なぜかボッチチェリのヴィーナス誕生を思い出してしまう。

帰宅してから調べてみたら、この若武者は、あの梶原景時の息子さんなのだそうです。
源氏の若武者だったのね。

お能でも「箙」を観たくなりました。

この薪能のちょうど翌日に、
zoomで「流儀横断講座」というイベントを聴講したのですが、講師陣のお一人の大島輝久さんの初シテは13歳で、「箙」だった、とのお話が出ました。

おっ箙?
イムリー!
と反応する私。

上演当時の輝久さんの映像も紹介されましたが、出で立ちもイイ~
ぜったい凜三くんにも似合いそう!


狂言蚊相撲」 

大名は山本泰太郎さん、太郎冠者は山本則孝さん、蚊の精は山本則秀さん。

以前に観た万作家の同曲では、蚊を煽ぐのは大名ですが、こちらのおうちでは行司をやってる太郎冠者に煽がせちゃう。

行事に反則の手伝いさせるなんて、
そんなのあり?


舞台の下手には高層のオフィスビルらしき壁が高く頭上にのびています。
全面ガラス張りで、室内の照明が白く輝き、まるで銀屏風のよう。
不思議にマッチしてます。

狂言のあとの休憩後には一転して、ほぼ全面にブラインドが下ろされました。

休憩後に火入れだったので、焚火を際立たせるために、オフィスビルの方がも協力くださったのかしらねー


能「石橋」
童子&白獅子が長山桂三センセ、赤獅子が観世淳夫さん。
寂昭法師が大日方寛さん、アイが山本則重さん。

大鼓が大倉慶乃助さん、小鼓が住駒充彦さん、太鼓が大川典良さん、笛が小野寺竜一さん。


童子の黒頭の前髪をフワッと風が揺らすと、目がチカリと瞬く。
い面が瞬きするわけないんだけど、でも確かにチカリ、と。
こういうのが、薪能の楽しいところです。

童子が幕へ消えると、風が激しさを増す。
ふふふふふー
何やら激しい獅子の出てくる予感!

はい、めちゃくちゃ活きのいい親子獅子でした。
親子そろってキレッキレ!

大獅子なんて、白牡丹の茎を鋭くキックしちゃってました。
狙ったんじゃないかもしれないけど。

親獅子の法被が素敵だった。
白地に、黒やグレーの大きいアスタリスクちっくな柄が配されていて、スタイリッシュなのです。

こちらの薪能は、昨年に続いて2度目の観賞となりましたが、
昨年は雨で室内上演だったので、今年は原っぱ広場デビューできて満足です。

また来年も伺えますように。