萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「第53回 相模薪能」を観る

8月15日、寒川神社へ。
昨年も一昨年も中止になってしまったため、3年ぶりの訪問でした。

今年は来場者に漏れなく番組表配布。
以前はパンフレットは有料だった記憶がありますが。

能楽上演の前に、まず神事が30分ほど。

能「箙」
梶原景季(かげすえ)が観世喜正さん、
旅僧が則久英志さん、
従僧が小林克都さん
生田ノ里人が石田淡朗くん。

大鼓が國川純さん、
小鼓が鵜沢洋太郎さん、
笛が一噌隆之さん。

謡の合間の蝉の声も、風に揺れる木々も、風情がありました。
日が暮れてくると、舞台上の方々の陰影がドラマチックになってゆき。
後シテの半切の金糸が夕闇の中に煌めく様は、格別です。

風向きで時おりフッと音が途切れたりするのも、ストレスにはならず。

犬王や世阿弥を観ていた人達は、こんな風に自然の揺らめきと同列に、能楽を楽しんでいたのですねー

狂言「 墨塗」
大名が萬斎さん、
太郎冠者が内藤くん、
女が中村くん、
後見が月崎さん。

萬斎さんは、紺地に様々な形の扇が染め抜かれた素襖裃に、ブルーグレーの段熨斗目。

長期出張先でナカヨクなった女性に別れ話を切り出す、なーんていう設定なのに、ジメッともせず、ドロドロにもならず、というのが、狂言のすごいところ。

女性への仕返しの方法が小学生っぽいのに、不思議と優雅な大名サマでした。

大名の役をなさる萬斎さんを観たのは、久方ぶり。
空を見たのは、もっと久しぶり。
目に映っていたのかもしれないけど、拡がりを感じたり、移りゆく色調や雲の形を豊かに思ったり・・・なんて事は、長らくした記憶がありませんでした。

こちらの薪能は、これまでに何度か伺っていますが、今までの中で最も天候のコンディションが良かったです。
風もあり、薄曇りのお陰で日差しの照りつけもなく、かといって雨も降らず。

が!
お尻が痛くて痛くて。
体育館の折り畳み椅子だと、薄いスポンジみたいなのが入ってるけど、私が座った椅子は、ノースポンジのタイプで。

前もこの椅子だった?
だとしたら、なぜ今年から苦痛になってしまったの?
私の体力の衰えのせい?

余りの痛さに座り続けることができず、最後の中森貫太センセの「巻絹」は断念となりました。

来年は、携帯クッションを持参しようと思います。