萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「第14回 桂諷會 長山禮三郎 一周忌追善」を観る

11月23日、国立能楽堂へ。

仕舞「笹之段」観世喜正さん
仕舞「玉之段」 鵜澤久さん
仕舞「天鼓」 観世淳夫さん

能「敦盛」
シテが長山凜三くん。
ツレが小早川康充さん&武田章志くん&馬野訓聡くん。
ワキが森常好さん、
アイが裕基くん。
囃子方松田弘之さん&観世新九郎さん&柿原弘和さん。
地頭は観世銕之丞さん。

凜三くんは初面!
雅やかな公達でした。
凜三くんご当人が小顔のためか、面にすっぽりお顔が包まれ、お顔のナマ肌が殆どみえず、面そのものの顔立ちに思えてくる。
抜群のスタイルに、肩脱ぎにしたフォルムが映えます。
馬上の斬り組みの所作が鮮烈。

ツレもアイも、凜三くんと同世代〜チョイお兄さん世代が揃い、瑞々しい胎動を感じました。
ストーリーは切なく哀しいのに、瑞々しいって矛盾してるのかな?

でもホント、この日の演者の皆様の輝かしい未来がピカリと見えた空間だったのです。

事前に公開されていたyoutubeでは、凜三くんは、
お稽古で初めて面を掛けた感想を、殆ど見えない、と仰っていたけど、そんなことは微塵も感じさせない、確信に満ちた運びでした。

舞囃子「当麻」 
観世銕之丞さん
囃子方松田弘之さん&大倉源次郎さん&亀井忠雄さん&三島元太郎さん。

狂言「無布施経」
僧が万作さん、施なしが深田さん、
後見が高野さん。

僧は、お布施ゲットに不屈の執着を見せるのに、その執着を悟られない事はもっと重要デアル、という思考回路なのが面白い。
万作さんの気品が、お金絡みの生々しさを緩和して、カラッと笑わせてくださいました。

仕舞「鐘之段」 山本順之さん
仕舞「融」大槻文蔵さん。

能「砧」 
シテが長山桂三センセ、
ツレが長山耕三さん、
ワキが宝生欣哉さん、
ワキツレが則久英志さん。
アイが萬斎さん〜

囃子方は一噌庸二さん&大倉源次郎さん&亀井広忠さん〜&澤田晃良さん。
小鼓後見は大倉伶士郎くん。
お父様が床几に掛けるときのサポートだけでなく、広忠さんが腰掛ける床几にも手を差し伸べてサポート。
地頭は浅井文義さん。

砧を打つ時は、正先じゃなくてワキ座の辺りっていうのが、私にはグッときました。
本舞台の真ん中をポッカリと無人にしてあるのが、妻の心象風景のようで。
何も無いない清浄な美しさもあり。

萬斎さんは、鈍色&同色の鎧格子&白の段熨斗目、ブルーグレーの襟、濃紺の細かい雲丹チックな模様の長裃。

万作家の長裃の中で、コレがいちばん好き!
今日の長裃に、コレよ来い、と念じた効果でしょうか。
萬斎さんのお役は芦屋某の下人なんだけど、深く低くお声に妻の気持ちに寄り添うような気遣いが滲みます。

後シテは、白に近い淡色を基調としたワントーンコーデ。
鬘帯は、薄水柿色の地に、スモーキーグリーン&ベビーピンク&渋皮色の○△マーク。
鬼になるか否かのせめぎ合いを○△で表してるかのよう。
△も点滅してるから、けっこう危うかったんじゃない?
ここに×マークが入り込んでくると鬼になっちゃうのねー
・・・と、勝手に納得してました。