●3/2
「大槻文蔵 裕一の会」
「屋島」。
シテは文蔵さん。
太一郎くんによる奈須与一語のアイ、心うたれる語だった。
大役のアイを務められる重責と、与市の重責がオーバーラップするかのよう。
「鈍太郎」。
萬斎さんがシテ。
前シテは、コウモリ紋の腰帯、
焦茶の麻の葉模様狂言袴の括り袴、生成地に紺&枇杷色の格子の縞熨斗目、紺の襟、折鶴&亀と松竹梅が配された薄群青色&胡桃色の掛素襖。
出家を決意して髻を切る姿から哀しみが漂いだす。
その余韻が残るなか、幕の向こうから聴こえてくる南無阿弥陀仏の声が!すてきすぎる!!
後シテは紫鼠色の水衣、同色の緞子の腰帯、カ−キ色の角頭巾。
「石橋」。
前シテがエキゾチックで妖艶な風情。
アイは裕基くん。
卵色のヨレ水衣、びゃくろく色地に渦巻き紋の腰帯、濃紺の襟、同色地に唐花が配された厚板、常盤色の網目模様狂言袴の括り袴。
低音ヴォイスの柴垣の謡にゾクゾク。ところどころユリがあって難しそうなのに、きっと鬼の特訓があったのでしょうねー
●3/3
「観世会定期能3月」
「小袖曽我」。
幕が上がると、母につき従って、アイ(乳母)の萬斎さんご登場。
美男鬘に藤色の縫箔。
狂言方の女性の役は、女性役の記号として美男鬘をつける、と聞いたことがあるけど、「記号」のはずの美男鬘がヤタラ艶めかしい。
観世宗家親子で兄弟のお役。
親子で兄弟の役をやるのっていいなぁ
オソロの装束がとてもキレイ。
●3/6
「国立能楽堂 3月定例公演」
「藤戸」。
アイ(萬斎さん)は、矢羽が染め抜かれた青鈍色の肩衣、同色の襟、グリーンみの格子の縞熨斗目(ちょっと光沢があって厚板っぽい。非常に好み。)、
竜胆の腰帯、鶸色の狂言袴。
アイは、母親(前シテ)が嘆き悲しむ場に居合わせて、その痛みに共鳴してるかのよう。船弁慶のアイの立場と似てる。
ワキツレ(従者)は素襖裃なのに対し、アイは肩衣&狂言袴という質素なコーデだったことから察するに、ワキツレは本社採用、アイは現地採用だったのかも。
母親の立場に近い身分ゆえに、共鳴したのかな。
だからこそ前シテの哀しみを引き継いで、前シテが舞台から姿を消した後も、その哀しみの気配を継続させることができたのかしら。
後シテが刀で胸を貫かれる型がかっこいい。
自分で両脇を抱きしめるようにすると、右手に持った刀の先が左肩の向こうにギラリと突き出て、ドラマチックなフォルムでした。
●3/23
「狂言ござる乃座 59th」
「文荷」。
太郎冠者は萬斎さん。
月・波・兎が染め抜かれた鉄紺色の肩衣、白地に紺&山吹色の格子の縞熨斗目、紺の襟、薄煉瓦色の狂言袴、結び雁金紋の腰帯。
「靱猿」。
念願の万作家の靱猿を観ることができました。
萬斎さんのファンになったのが2011年9月からなので、今までチャンスに恵まれずにいましたが、ついに!
子ザルちゃんの可愛さにとろける。
萬斎さんが出ておられるっていうのに、子ザルちゃんばかり目で追ってしまった。