萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「第24回 長島茂の会」を観る

10月23日、喜多能楽堂へ。
最初に金子直樹先生による解説

狂言「棒縛」
太郎冠者が萬斎さん、
次郎冠者が深田さん、
主が太一郎くん。
後見は内藤くん、
幕は飯田くん。

萬斎さんは洗朱色の狂言袴。
生なり地に枇杷色&グリーンの格子の縞熨斗目。
桔梗(リンドウかも)紋の腰帯、
ワインレッドの襟。

かちん色の地に蛍(?)&ススキの肩衣。
ススキの穂は朱土色で、襟や狂言袴の赤みとの響きあいが美しい。

深田さんの肩衣は、萬斎さんと同じモチーフながら、配置や色使いはグッと違う。
この深田さんの肩衣は、 前にも何度か目にしたことがあって、大好きだった物。

萬斎さんがお召しのニュータイプは、その上をゆく素敵さ。
こうして対で拝見すると、ますますお気に入りになりました!

次郎冠者がお酒を呑んで、その反応を見守る太郎冠者に、ふっと素の萬斎さんの気配が。

これがとても魅力的で。
かなり昔のドキュメンタリー番組で、万作さんが仰る言葉を聴いてる萬斎さんが、こんな雰囲気でした。

太郎冠者に完璧になりきるんじゃなくて、太郎冠者を演じてるなかにも、役者さんの個性がふっと漂う、というのが、なんともタマリマセン〜

能「定家」
シテが長島茂さん、 
旅僧が森常好さん、
従僧が梅村昌功さん&小林克都さん。
アイが石田幸雄さん。
笛が一噌隆之さん、
小鼓が大倉源次郎さん、
大鼓が國川純さん。

前シテの鬘帯の柄が不思議なデザイン。傘の周りに雨が降っているのを模しているかのような。

後シテの鬘帯は、細かい檜垣模様っぽい柄がびっしりと織り込まれたベースに、グリーンの蔦の葉が這っているもの。
ベース部分は黒とシルバー、光の加減によってゴールドにも見え、豪華ながらも渋い装い。
後シテの長絹も蔦の葉。

ラスト、作り物の下手側の支柱に身を傾けるように寄せて、左手の扇で顔を隠した姿がキレイ。
右の袂が作り物の外側にこぼれているのも、キレイ。

シンメトリーで直線的な作り物(お墓?)の枠の中だと、
片寄った重心や、斜めのラインが強調されたフォルムが、美しく際立つのでしょうか。