萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「第10回記念 東京満次郎の会 夢求無著(むきゅうむじゃく) 忠心神姿之巻 安宅」を観る

11月24日、宝生能楽堂へ。

最初に、満次郎さんによるご挨拶。
「いつも何故か時間通りに終わらない」とのお言葉が、失礼ながら微笑ましくて笑ってしまう。

ホントこの公演って、例年、大幅に時間が後ろにずれこむのです、が・・・

ずれこむことを気に病んでおられたのですねー


狂言は「伊文字」。
関所つながりでのセレクトでしょうか。

女&使いの者が萬斎さん、主が太一郎くん、太郎冠者が石田さん、後見が中村くん。

前シテは、清水の観世音の西門に佇む美女。
顔は隠してるケド、あれはぜった美人だったと思う!

美しい人は、所作に、お声に、麗しさがにじんでしまうのですー

美女サマは、枇杷色の縫箔を着て、頭からは、丸文いりの白い縫箔をかぶっています。

謡がクラクラするほど魅力的!!
こんな声で誘い掛けられたら、観世音のお告げでなくたって、虜になってしまいます。

後シテの「使いの者」は、笠をつけ、黒の格子の縞熨斗目、茶色の襟、金茶地に黒&枯草色のイチョウが配された肩衣、丸文いり生成の狂言袴の括り袴、まの字(?)の腰帯。

「使いの者」は、枯葉や砂埃が舞う街道をスイスイやってきます。
せわしくも、活気のある秋の夕暮れの空気感が何とも素敵。

舞がキレッキレなあまり、カラカラと舞っていた枯葉は、途中から手裏剣のようにシャッ
シャッと、飛び交ってました。

最後には、めでたく美女の住まいが解明でき、謡って終わるのも風情がありました。
遠くの空には茜色の雲が流れて、私には、この秋でイチバンの秋景色でした。


一調が2番ありましたが、えらく豪華。

宝生宗家と大倉源次郎さんによる「橋弁慶」と、
観世宗家と広忠さんによる「起請文」。

どちらも弁慶つながりですねー
広忠さんは空色の袴。

満次郎さんが仰ることには、観世宗家は芸大の同級生なんだとか。
流派を超えてのご出演は、それで、だったのですね。

「安宅」は「延年之舞」と「貝立」の小書つき。

武蔵坊が満次郎さん、富樫が森常好さん、義経が片桐賢くん。
同行山伏が、山内崇生さん&辰巳和磨さん&水上優さん&内藤飛能さん&和久荘太郎さん&小倉伸二郎さん&辰巳大二郎さん&小倉健太郎さん。
強力が萬斎さん、太刀持が高野さん。
囃子方は、一噌幸弘さん&源次郎さん&広忠さん。
広忠さんは、ライトグレーの裃。

満次郎さんの直面て、弁慶をやるのにぴったり!
リーダーシップフェイスとでもいいましょうか。
頼もしく、肝の据わった弁慶さまでした。


能力サマは、紺&胡桃色の格子に刀のツバが配された厚板、丸文いりの紺の狂言袴の括り袴、ヤツデ(?)の腰帯。

こいうカッコが超絶お似合いになります!
肩衣とかが無い分、ピシリと真っ直ぐな背筋の美しさが際立ちます。

そして、終始とても良いお顔をされていました。
橋掛りにおられる時も、弁慶一行の一員として、追われる立場の緊迫感を張り巡らせておられ。
安宅という大曲のオモアイのお役目を、なさる緊迫感ともリンクするのでしょうか。

ところで法螺貝は、リアル貝ではなくて、紫色の巨大なリリアンみたいなブツでした。
観世流では、リアル貝だったように記憶してたんだけど。


来年は、12月1日、同じく宝生能楽堂だそうです。

来年の自分のためにメモ。
今回の終演は、番組表の予定18時半に対し、19時5分でした。

ところで、ロビーで篠井英介さんをお見かけしました。
あれっ なんか若返ってる、と、一瞬思いましたが、
毎週、「昭和元禄落語心中」で老けメイクのお姿を目にしてたためでした。
端整なお姿でした−