萬斎さん観賞と日本画修得の日々

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「喜多流 八月自主公演」を観る

8月18日、観世能楽堂で「喜多流 八月自主公演」 を観てきました。

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「歌占」
渡会某が塩津哲生さん、
幸菊丸が塩津希介くん、
里人が宝生欣哉さん。
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大鼓が亀井広忠さん、
小鼓が飯田清一さん、
笛が松田弘之さん。
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公演前の解説で、歌占に似ている占いとしては、タロットカードや、おみくじがある、とのお話があり。
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引いた短冊に最初から知りたい事が書いてあるなんて出来すぎじゃない?と思っていましたが、この説明でアッサリ納得です。
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お囃子がカッコいい。
囃子方の主張が前面に出ている曲でした。
広忠さん好きとしては、たまりません!
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「玉葛」
里女&玉葛の霊が佐藤陽さん、
旅僧が御厨誠吾さん、
初瀬寺門前の者が善竹大二郎さん。
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大鼓が原岡一之さん、
小鼓が田邊恭資さん、
笛が成田寛人さん。
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原作である源氏物語で使われている漢字(玉鬘)とは違う漢字があててあるけど、
それは彼女が蔦に絡みつかれるかのように運命に翻弄されることを暗示してるのかも、と解説の方が仰っていました。
意図的に、敢えて違う漢字、なるほどです。
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なお、観世流だけは"玉鬘"の字を使うけど、他流も"玉葛"なのだとか。
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そして、謡のなかに「蛍の乱れつる」という詞章が出てくるのは、
光源氏が玉鬘の御簾の内に蛍を放って、
兵部卿宮に玉鬘の姿をチラ見せさせるエピソードにちなんでいる、とのご説明も。
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このフレーズだけで玉鬘の身の転遷を喚起させる、というのは、作り手と観客の信頼関係あってこそ、という気がします。
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私は解説を聞いていなかったら、受け止め損ねちゃう思います。
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前シテは、白の水衣、白の摺箔、大きめタンポポ&雪輪が配されたオレンジ色の縫箔の腰巻。
後シテは唐織の肩脱ぎ。
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前シテは、筑紫から都に戻ってきた時の旅姿コーデなのですね。
後シテは狂乱のコーデでしょうか。
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でも、狂乱するほどの妄執って、何に対してなんでしょう。
好き勝手に引っ掻きまわしおって〜、
という光源氏へのウラミだったら面白いなぁ。
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「紅葉狩」
里女&鬼が内田成信さん、
ツレの里女が谷友矩さん&狩野祐一さん。
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平維茂が則久英志さん、 
その従者が、大日向寛さん&宝生朝哉さん&渡部葵さん。
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大鼓が大倉栄太郎さん
小鼓が森澤勇司さん、
太鼓が梶谷英樹さん、
笛が藤田貴寛さん。
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つい先ごろ読んだ小説のなかで主人公が、
「時雨を急ぐ紅葉狩 深き山路を訪ねん」
と、この演目の謡を心に呟く場面があり。
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それを読んでからというもの、そういえば紅葉狩を久しく観てない・・・と、観たいモードになっていた折でした。
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前シテは、キリリとした美人タイプ。
中入りの少し前にテンポが急変して、ゾクゾク嬉しくなりました。
まだ美女の姿のままなのに、もう角が出かかっているかのようで。
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見所は男性が多く、正面1列は8割が男性。
萬斎さん御一門の主催公演だと8〜9割は女性なので、逆転現象が興味深いです。
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観世能楽堂
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