萬斎さん観賞と日本画修得の日々

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「第107回 野村狂言座」(木曜日)を観る

8月29日、観世能楽堂へ「第107回 野村狂言座」を観に行ってきました。
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萬斎さんによる解説!
ありがとうございます!!
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小舞「鵜飼」飯田くん。
小舞「蝉」太一郎くん。
地謡は両曲とも、中村くんを地頭に、内藤くん&淡朗くん&福田成生さん&金澤桂舟くん。
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「不見不聞(みずきかず)」
太郎冠者が岡さん、
主が深田さん、
菊市が月崎さん、
後見が福田成生さん。
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太郎冠者は難聴(ある程度のヒアリングは可能)、菊市は盲目です。
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相手が持っている身体的ハンデをおちょくり合う、という、中々に攻めたお話。
が、意外にも不愉快にはなりませんでした。
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私はバラエティ番組のドッキリが苦手で、嫌な気持ちになってしまうのに。
で、気づいたのですが、1人を複数の人達で嗤う図式が、ドッキリ苦手の要因なのかも。
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一方でこの曲は、一対一で相手に気付かれないようにイタズラを仕掛ける、という点においては完全に対等なのですよね。
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この曲、万作さん&萬斎さんのコンビでも観たいです。
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連歌盗人」
シテの男が石田幸雄さん、
アドの男が萬斎さん、
何某が万作さん、
後見が飯田くん。
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解説では萬斎さんは
「上から年寄りが3人出てきますが」なーんて仰っていたけど、
いやいやいやいや、その分類は間違ってます!
上から選りすぐりの3人です!
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萬斎さんは、榛色地に桔梗の群生の肩衣。
大半の桔梗は薄墨色で、そのうちの数輪だけにブルーを差してあるのが、なんとも美しい。
二人で連れ立って盗みに向かう暗い道すがら、月光に浮かぶ景色がこんな風だったのかしら。
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万作さんが、盗みに入った二人に、
またきてね。今度は表玄関からね。
という場面が優しさに満ちていて癒されました。
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「靭猿」
大名が裕基くん、
太郎冠者が高野さん、
猿曳が中村修一くん、
そのジュニア 慶一くんが小猿。
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今回の狂言座は、翌日の金曜には内藤くん親子が猿曳&小猿をなさる、という、スペシャルな回なのです。
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という事で、ご一門には、中村家&内藤家からお祝いの扇が配られたのだそうです。
中村くんの家紋が梅で、
内藤くんの家紋が藤なので、
藤と梅が描かれた扇なんですよ、と萬斎さんが解説の際にチラ見せしてくださり。
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小猿ちゃんがモーレツ可愛いかった!
もうねー
目が吸い寄せられてしまう。
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そして、裕基くん大名。
小猿ちゃんに出会った早々に、自分の手元の靭と小猿ちゃんボディを交互に見比べたりして、猿革仕様の靭の妄想が瞬時に浮かんだ様子。
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そうすると、もうワガママ炸裂です。
若くして大名になったから、妄想に取り憑かれちゃうと、それを達成すること以外に意識が向かないのですね。
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が、若いがゆえに感受性も柔軟で、猿曳の切なさが理解できた瞬間、要求を撤回する素直さが微笑ましいです。
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今回の事件で、大名は他者を思いやる想像力が拡張されたんじゃないでしょうか。
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この曲の大名って、それなりに歳を重ねないとできない役なのかと思っていましたが、若い演者さんがやれば、そのリアル年齢なりの味わいが出るものなんだなぁと思いました。
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写真は、中村慶一くん宛てお花で、ロビーに飾られていたものです。
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