萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「野村万作・萬斎・裕基 狂言三代の夕べ」を観る

1月26日、文京シビックホールへ。

最初に萬斎さんによる解説。
三番叟の解説をとても丁寧にしてくださり、
私は今回、"三角"なる型のネーミングを学習いたしました。

面替のご説明も。
これは、面を三方向に切っているのだそうで、三方向は天地人の意識なのだとか。
そうだったのかー

「三番叟」
三番叟が裕基くん、
面箱が飯田くん。

大鼓が広忠さん!
小鼓頭取が鵜澤洋太郎さん、脇鼓が清水知音さん&飯冨孔明さん、
笛が一噌幸弘さん。

地謡が、高野さんを地頭に、太一郎くん&中村くん&内藤くん&岡さん。

後見が深田さん&月崎さん。

幕は萬斎さん〜!

ご一門の皆さまの大半が、三番叟に出演すべく幕の前にスタンバイされている、と考えると、
幕のお役目の候補者は、万作さん、萬斎さん、なつ葉ちゃん、の三択。

んむ、萬斎さんが幕をなさるのは、妥当であります!

裕基くんの直垂は、紫とグレーのグラデーション地に、鶴亀の大きな丸紋が、背中と腿の辺りに配されたもの。
飯田くんは、その色違いの緑色ベース。

囃子方&地謡&後見は紋付裃。

シャープな三番叟でした!
萬斎さんの型が、見事に転写されていて、オソロシイほど。
型だけじゃなくて、気迫が迸しる感じまでが酷似しておられ。
また能楽堂でも観たいものです。
フランスでやったみたいに、三世代の日替り三番叟を希望します!!


「靭猿」
大名が万作さん、
猿曳が萬斎さん、
太郎冠者が高野さん、
子猿が三藤なつ葉ちゃん。

後見が深田さん&中村くん。

最初は威圧的だった大名が、子猿ちゃんにメロメロになるギャップが楽しい。

その一方で、猿曳が徐々にクールになっていくのが、面白いなあ、と思います。

子猿の命が助かった時は恭しく感謝しますが、ご褒美を貰う度に、感謝の仕方が素っ気なくなってゆき。

素襖を賜った時なんて、
あ、ソコに置いといてくれればイイっすヨ、とでも言わんばかりの風情。

一方が情熱アップすると他方がトーンダウンしてゆく、と。
ボルツマンの原理みたい。

子猿の面は、以前に見た時より大人びたビジュアルに。
演じる子方ちゃんの身長に応じて、違和感のない顔だちの面をセレクトしているのでしょうか。

そうなのです、なつ葉ちゃんは、縦方向にぐっと成長されていて。
幼すぎる顔立ちの面だとチグハグしちゃいそうですもんね。

そして、猿曳さまの謡が、素敵だった!
解説で、子猿をする子がいなと「靭猿」は出せない、と仰っていたけど、なつ葉ちゃんが更に成長されると、この謡はもう聴けなくなってしまうのでしょうか。

中村くんジュニア・慶一くんがバトンを引き継いでくださる事に期待したいと思います。