萬斎さん観賞と日本画修得の日々

能楽や展覧会の観賞の感想を書いています

「第40回 朋之会」を観る

6月12日、観世能楽堂へ。

最初に、武田祟史さんによる”おはなし”。

能「箙(えびら)」

梶原源太景季が武田祥照さん。
旅僧が野口琢弘さん、
従僧が、舘田善博さん&大日方寛さん。
里人が裕基くん。

笛が小野寺竜一さん、
小鼓が清水和音さん、
大鼓が原岡一之さん。

地謡が、小早川泰輝さんを地頭に8人編成。
入口で戴いた解説によると、
小早川泰輝さんは、今回が地頭デビューとのこと。

シテの掛け素襖は、上の方が墨紺色、下は松皮菱の切替で露草色。
クレマチスが染め抜かれ、ツルが伸びやかに曲線を描きます。
クレマチスの花芯に控えめに刷かれた、びゃくろく色やカナリア色が爽やか。

裕基くんのお声が、所々で萬斎さんに酷似してる。
音だけじゃなくて、ぐーっと深海に入っていく感じとか、
海底で暫し、たゆたうようなマとか。

この演目は、景季が22歳の時のエピソードがベースになっているとのこと。
源氏の白旗の代わりに、白梅の枝を箙(矢を入れる筒のことだそうです)に挿して戦った、と。

そういえば、お雛様の下の方の段に、この箙とおぼしきグッズを腰に装着したお人形が居たような記憶が。

若きイケメン(←これは私の想像)・景季くんに梅の枝だなんて、荒んだ戦の場で、さぞや感嘆を巻き起こしたことでしょう。

景季くんの爽やさに、祥輝さんご当人の爽やかさがオーバーラップし、
更に、裕基くんや泰輝さんの勢いが加わって、空気がスーっと澄んでいくようでした。

狂言「呂蓮」
僧が萬斎さん、
宿屋の主人が深田さん、
その妻が中村くん。

萬斎さんは、山葵色の角頭巾、同色の緞子の腰帯、空色の無地熨斗目、墨色の長衣、テールグリーンの数珠。

萬斎さんが座ったり立ったりなさる度に、無地熨斗目の空色の面積がフワッと拡がったり狭まったり。
これがドキリとするくらい優雅。

それと、イロハのテキスト(?)をパラパラする手が!
う・つ・く・し・い~

能「班女」
野上ノ宿の遊女・花子が武田友志さん。
野上ノ宿の長が高野さん。
吉田少将が宝生欣哉さん。
その従者が、御厨誠吾さん&則久英志さん。

笛が藤田貴寛さん、
小鼓が観世新九郎さん、
大鼓が河村眞之介さん。

高野さんはパワハラ気味オーナーで、花子に対して
ノロノロ歩いてのを見てるだけでイラつくのヨッ!と、手厳しい。

陰険であればあるほど、何故か私は嬉しくなっちゃう。

吉田少将と花子が再開を果たして、お互いの扇を見せ合うシーンが控えめで、お能の奥ゆかしさを感じました。

文楽だったら、ここぞとばかり、徹底的にハデッハデにやるのでしょうが。

能「葵上 梓之出 空之祈(くうのいのり)」
六条御息所ノ生霊が武田尚浩さん、
巫女が佐川勝貴さん。

横川小聖が福王和幸さん、
臣下が村瀬慧さん。
その下人が石田淡朗くん。

笛が藤田次郎さん、
小鼓が鵜澤洋太郎さん、
大鼓が佃良勝さん、
太鼓が小寺真佐人さん。

緋長袴がとても素敵。
直線的なラインと、裾の方のモタツキが作り出すカーブの取合せが絶妙です。

以前に読んだ何かの資料では、
緋長袴は高貴な女性の象徴って書いてあったけど、それだけじゃー無い気がする。

何か、とてつもないポテンシャルを持ってる人物が着ける装束なんじゃない?
・・・と勝手に思ってます。
妄執だったり、
狂気だったり。

「蝉丸」の逆髪も、緋長袴を着ける場合がありますね。

右腰の所で片結びにしたアシンメトリーなフォルムも、精神の均衡が乱れてる感があって、とても惹かれます。

私にとっては、約1ヶ月ぶりのお能の公演でした。
お囃子と謡をいっぱい浴びて、オーバーホールしてもらったような気分です。