1月30日、国立能楽堂へ。
最初に万作さんによる“おはなし”。
聞き手は三浦裕子さん。
万作さんは、「山月記」を能舞台の上でやりたい、と考えておられるのですって!
ホールではやったことがあるけど、能舞台で、と。
うわーっ
是非に!
李徴の役を“セガレ”にお譲りなってしまわれたのかと思いましたが、許しただけであって譲ったのではなかったのですね。
三番叟も釣狐も、李徴も、まだまだ自ら演る!という心意気にしびれます。
でも、公演回数1回だけとか、そういう意地悪は、しないでくださいね。
「痩松」
山賊が石田さん、女が萬斎さん。
後見が月崎さん、幕が岡さん。
萬斎さんは、若紫色の縫箔。
最初は頭上に包を載せているので、影になってお顔はシカとは見えませんが、美女オーラは隠せません。
山賊に呼び止められて身体の向きを返す時、空間がゆるやかに大きくクラリと一転したような錯覚が。
場面転換がなされたかのように。
で、麗しのかんばせが顕になる。
山賊にどんどん反撃していくに連れて、キラキラ感が増していきました。
最後に、山賊からせしめた小刀を腰に挿す所作が美しい。
ここで興ざめさせずに、麗しさが維持されているトコが、不思議なんですよねー
「二人静」
シテが武田尚浩さん、ツレが松木千俊さん、神主が江崎欽次朗さん、従者が中村くん。
囃子方が杉信太朗さん&鳥山直也さん&河村大さん。
静御前が菜摘女に憑依していくところが、面白かったです。
実は、数日前に開催された「二人静」の講座のなかで、「なにまことしからずとや」で静御前が憑依するんですよ、というお話を伺っていまして。
演者さんによって、このセリフから様子が急変するパターンもあれば、
このセリフより少し前からジワジワ様子がおかしくなっていくパターンもあるんですよ、とのお話でした。
なので、私は憑依の時を観るのを楽しみに臨んだのです。
憑依する時だなんて、見ててワカルもんなのぉ?と不安でしたが、わかりました!
今回は、ジワジワ憑依パターンでありました。
講座の講師は、シテの尚浩さんのご子息であられる祥照さん&崇史さんご兄弟。
とても丁寧な解説で、充実の講座でした。
相舞を合わせるのが、どんだけ大変か、ということを検証するために相舞のデモもしてくださり。
合わせるために、ツレの方と細かく決めごとをなさるのだとか。
ちなみに、今回は尚浩さんは松木さんと4回、合わせをなさったそうです。
意外に少ない!
「花よりも花の如く」では、ケンちゃんはもっと何度も合わせの練習をしてたような気がしますが。
講座で伺ったお話のなかで興味深かったのが、オファーが如何にして来るか、というお話。
一昨年、日本芸術文化振興会から、「二人静のシテをやってください。」お願いしたい、とオファーがきたそうで。
(ここまでは想定内)
その際に「ツレは松木(千俊)さんにお願いします。」 とのお話があった、と。
私はこれまで、シテだけ主催元からご指名があって、他の配役は、そのご一門の采配に一任されてるもんだ、と思い込んでおりました。
ツレもご指名だったんですね。
てことは、今回の「痩松」のアドもご指名だったってことでしょうか。
主催元サマに感謝。
萬斎さんの魅力が輝くお役をわかってらっしゃいます!
こんどは「節分」のアドのご指名もお願いしますね。