萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「第4回 文の会」を観る(色の読み方の追記版)

11月29日、観世能楽堂へ。

最初に武田崇史さんによる解説。

武田志房さん&金春惣右衛門さんによる一調「高砂

仕舞4番は、
坂井音晴さんの「生田敦盛 クセ」、
武田志房さんの「芭蕉 キリ」、
観世宗家の「花筐 狂」、
林宗一郎さんの「山姥 キリ」

「柑子」
太郎冠者が太一郎くん、主が高野さん、後見が内藤くん。

太一郎くんは、鳥の子色の地に紺色の石垣がパラリと配された肩衣。
・・・というのは前見頃の柄で、バックプリントは大きな蛙。
私は蛙が居ない前柄のほうが、特に好き。

ミカンを懐に入れてた太郎冠者が歩く、往来の空気を運んでくれるかのよう。

太郎冠者の言い訳、とても手がこんでいてアッパレです。

主も途中からアヤシイ・・・と気付いてたのかもしれないけど、
面白いから最後まで泳がせてみよう、と思ってたんじゃないかしら。

こんだけ楽しませてくれたんだから、ミカンのことは許してあげて欲しいです。


野村四郎さん&広忠さんによる一調「江口」


屋島 弓流 那須与市語 」 
シテが武田文志さん、ツレが武田宗典さん、
ワキが殿田謙吉さん、ワキツレが梅村昌功さん&御厨誠吾さん、
アイが萬斎さん、
囃子方が亀井忠雄さん&観世新九郎さん&栗林祐輔さん。

地謡は、武田志房さんを地頭に、8人編成。
後見は、観世宗家が主後見で3人。
囃子方と後見は長裃。
地謡は、普通の丈の裃。

前シテの去り際に、シテと地謡が交互に謡うとこ、謡がかっこよかった。
8人の地謡パワーでしょうか。

シテの中入のあと、橋懸りに控えていた萬斎さんが、いよいよ本舞台へ。

萬斎さんは、松皮菱の褐色(かちんいろ←萬斎さんが最近お教えくださった色の名前。"戦に勝つ"に掛けて"かちいろ"とも言うのだとか。配信実況だったか、ラジオだったか、どちらかでご教示くださったのでした。)の長裃、ブルーグレー&胡桃色&白の段熨斗目、水色の襟。 
    
狂言後見は、裕基くん~
紋付裃がキマってる。

そして、後見座に座った瞬間から、とても佳き面構え!

いまから、ご自分が奈須をかたるかのような。

翌日(11/30)は、栃木で裕基くんの奈須があったようで、その最終仕上げとして、後見のお役目を、ということでしょうか。

いやー
じっさい、萬斎さんの奈須が激しいのなんのって。
ビシビシ気が飛んでくるんだけど、見所だけでなく、背後の裕基くんへも向けて飛ばしおられたような。

よく見とけよ、と。

私も、聴覚と視覚を研ぎ澄まして臨みました。
メキメキ若手くん達が育ってきてしまったので、もうこんなチャンスは次いつ巡ってくるか分からない、これが最後のチャンスかも、という覚悟で。

育ってきてしまった、と書くと、否定感が出ちゃうでしょうか。
若手くんたちのご成長は、もちろん喜ばしいことです。
でも、萬斎さんのアイを観れるチャンスが減じてしまうのは、やはり寂しい。

アイを務められる萬斎さんご当人にトキめき、
また、萬斎さんが舞台上に召還なさった物語の鮮やかさにも、トキめかされました。

戦の場の緊張感や、武将たちのコーデがキラめく様や、海上に沢山の船がひしめく景観に、ワクワク、ゾワゾワッ、と。

義経になった時のお声が、特別に低くてカツベツ。
そして、ナレーションのお声は、もーっと重低音で、更に更に極上でした。

語り終わられて橋懸りへ退かれると、左の前髪が乱れて、頬骨のあたりまで。
登場された時は、前髪をキレイにサイドへ撫で付けられていたのですが、熱烈な語りで、いい感じなザンバに。

子午線で知盛サマになるために、伸ばしておられるのでしょうか。

後シテは、法被を肩上げにしていたのだけど、これがとても素敵な柄。

小豆色の地に、金糸で無数の渦巻がびっしり。その渦巻きの中に、笹竜胆が見え隠れしているのです。

笹竜胆が入ってるってことは、屋島オンリーにしか使えない法被ということでしょうか。
究極の贅沢ですねー

「能を知る会 横浜公演」を観る

11月26日、横浜能楽堂へ。

最初に、葛西聖司さんによる講演「能の小書 歌枕の力 名所幻想」

葛西さんが仰ることには、「酌之舞」の小書は、色々な小書の段階を踏まないと出来ないそうで。

貫太センセは、「十三段之舞」とかの小書を経て、やっと、この小書のお許しを頂いたのだとか。

一方、今回の狂言薩摩守」とは、薩摩守忠度のこと。
忠度は平家の武将でありながら、歌人でもあり、
「さざなみや志賀の都は荒れにしを昔ながらの山桜かな」の歌を詠んだ人。

これぞまさに、今は荒れ果ててしまった六条河原院のよう、と葛西さん。

今回のは「謡入」の小書がつき、「兼平」の謡いが入るそうです。
その「兼平」というお能では、船頭が名所を教えるシーンがあるそうで。

おおーっ
繋がった~
融でも名所教えのシーンがあるので、名所教え繋がり、ということで、狂言の演目がセレクトされたのですねー

狂言薩摩守 謡入」
船頭が萬斎さん、茶屋が深田さん、僧が飯田くん、後見が中村くん、幕が淡朗くん。

萬斎さんは、オール栗色のワンカラーコーデ。
ダメージ仕様(に意図せずして到達したとおぼしき)スレッスレの長裃、よろけ縞の水衣、変わり亀甲の腰帯。

頑固オヤジ風の船頭サマです。

船頭サマが船をこぎだす前に、謡を。
うーわー
エエ声や~
と、琵琶湖あたりに住まいする通行人になった気分で、愉しくなる。

何より、こういう小書が入ったとき、昔の観客の方々は、葛西さんが居なくとも、ははーん、船頭だから兼平を謡うんだナ、にやり・・・と、していたんだなー、と、そんなことに思いを馳せるのが愉しい。

船頭サマが舟をこぎ始めると、たちまち船弁慶の船頭サマに見えてきてしまう。

手首を上に返すようにして棹をご自身に引き付けつつ、上体を反らせる姿にホレボレでした。

オチの洒落も、兼平の謡と同様に、昔の方々は、これまた葛西さんの解説を聴かずとも合点がいって、ニヤリ、としていたのでしょうね。

「融 酌之舞」
シテが貫太センセ、ワキが森常好さん、アイが内藤くん。
地謡は、観世喜正さんを地頭に4人。
囃子方松田弘之さん&鵜澤洋太郎さん&安福光雄さん&太小寺真佐人さん。

松田さんの笛が素敵でした。

後シテは、黒垂。
チラシのお写真では、地アタマのままのようでしたが、黒垂の方がダンゼンいい。
偏執的なオーラが増す気がします。

ふと、小池真理子さんの「狂王の庭」を思い出しました。
ということは、「融」は、ルードヴィッヒ二世にも通じるのかも。
ルードヴィッヒ二世が「融」を観たとしたら、ワ・カ・ル~、と歓喜したことでしょう。

「第6回 よみうり大手町・狂言座」を観る

11月22日、よみうり大手町ホールへ。

最初に萬斎さんによる解説。
このところ、萬斎さんの解説の機会が激減しているので、ありがたさにジーンときます。

今回の解説で学習したことは、
「二人袴」の聟と親は、ホントは素襖裃を着ている態である、ということ。

劇中で二人で着まわすのが長袴と上衣の両方だと、脱ぎ着が大変だから、それで長袴オンリーを着まわしている、と。

素襖裃は、モーニングのようなもの、とも仰っていたので、そんなら確かに上衣もマストですね。

「栗焼」
太郎冠者が万作さん、主が深田さん、後見が淡朗くん。
万作さんが焼けた栗を手に取って、

あち、あちあちあちあちあち、
ぽむっ ぽむっ、
ふーっ ふーっ 
と、なさると、
モーレツに焼栗が食べたくなってくる。

モンブランとか、マロンフラペチーノとかのスイーツも美味しいですが、純正たる栗への欲求がふつふつと。


「二人袴」
聟が裕基くん、親が萬斎さん、舅が石田幸雄さん、太郎冠者が月崎さん、後見が飯田くん。

今回の私のお席は、目付柱(のあるべき位置)のちょい外側のお席だったのですが、ホール公演だと、ここは神アングルだ!という発見が。

まず、聟と入れ替わりに舅に対面した親は、舅から聟はどうしちゃったの?と指摘されます。

う、気付かれたか~、
と聟の居るべき空席をチロン、と見やる萬斎さんの流し目が、マトモにくらえるお席だったのです。

いや流し目のおつもりではなく、
“ったくぅ!”という心情を映したオメメなのでしょうが。

そのあとも、聟と親が二人とも揃っての酒宴になってからは、聟が失言するたびに、何度も
“ったくぅ!”流し目を聟に浴びせる。

うはぁっ またまた悩まし気バツグンな流し目が、こっちにマトモにくる~

能楽堂だと、限りなく目付柱に近い中正面というエリアに該当するので、この流し目を至近距離でくらおうと思っても、目付柱に阻まれてしまうことでしょう。

トクした気分。

あと、連舞の謡がうつくしかったです。

「十一月 五雲会」を観る

11月14日、宝生能楽堂へ。

能「岩船」
シテが高橋憲正さん、ワキが野口琢弘さん、ワキツレが野口能弘さん&吉田祐一さん。
アイが岡さん。

颯爽と始まりました。
囃子も、ワキ&ワキツレの謡も。

12:00開演って早すぎない?と思ってたけど、シャキッと正午に、この颯爽感、これはアリですねー

高橋憲正さんのシテを拝見するの、はじめてかも。
これまでに講座は何度か受講していて、お人柄&ヴィジュアルともに好きになり、いつかシテをなさるところを拝見したい、と思っていたのでした。

前シテのお姿、ステキでした。

黒頭に童子の面、鮮やかな空色の水衣、雪輪&瑞雲が配された縫箔。
瑞雲には、細かい七宝つなぎの柄がミッシリ金糸で施されています。

宝生の定期公演は、すべての装束をお家元が選んでくださる、と聞いたことがあるけど、
憲正さんに合わせて、お家元が
このファンシーなコーデをセレクトなさった、と考えると、ニマニマしちゃいます。
とてもマッチしてました。


狂言「鐘の音」
太郎冠者が裕基くん、主人が淡朗くん、後見が月崎さん。

裕基くんは、白地に若竹色の格子の縞熨斗目変わり亀甲の腰帯、鴬色の狂言袴、波がしら&橋が配されたスカイブルーの肩衣。

肩衣は、秋晴れの鎌倉空を映したかのよう。
そんな清々しい空のもと、
裕基くんとともに鎌倉めぐり。
なんとゆー贅沢!

最初に訪ねた寿福寺では、のっけから、佳い音色~

ここでそんないい音だしちゃうと、オオトリの建長寺で、ソートー頑張らないと、差が出にくくなっちゃうんじゃない?・・・と心配になってしまう。

が、建長寺では、その遥か上をゆく、゛さてもさても佳い音色゛でありました。

それと、鐘をつく所作がキレイなのです。ずっと観てたい。
もっと長いことお寺巡りつづけて欲しかった。

主を怒らせちゃって、お詫びのため(?)に謡うシーンでは、「そくびを・・・」と、ご自分の首筋に手刀を当てる所作が美しい。

音色も、所作も、お父さまの気配が色濃く感じられる、ひとときでした。

「万作を観る会」を観る

11月7日、国立能楽堂へ。
まるで、極上のお能の会に行ってきたかのような余韻に浸っています。

囃子方のお顔ぶれといい、
能がかりの「法師ヶ母」といい。

更に、「茸」は切能のような趣き。
山伏さまの装束が半切だったのも、お能テイストを増強していたように思います。

番組の2番目に「棒縛」を配したのも、狂言の王道ともいえる曲を真ん中に持ってくることで、
その前後の演目は、お能という位置付けにしてみよう、という意図にも感じられます。

これって、万作さんが仕組まれた作戦?
だとしたら、まんまと私は作戦にはまって嬉々としております!

素囃子「盤渉楽」
大鼓が國川純さん、小鼓が鵜澤洋太郎さん、笛が藤田次郎さん。 

狂言「法師ヶ母」
夫が万作さん、妻が中村くん。

地謡は、萬斎さんを地頭に、高野さん&内藤くん&裕基くん&飯田くん。
囃子方は、先ほどの素囃子メンバ。
後見が深田さん。

前場は、貰聟ちっくなコミカルな展開なんだけど、
後場になると、囃子方地謡が出てきて、一気にお能の風情に。

後シテの万作さんは、掛素襖を片脱ぎにされ、気品ただようお姿。
そして、地謡がとーってもカッコイイ。
こういう演目、いいですねー

狂言「棒縛」
太郎冠者が遼太くん、次郎冠者が淡朗くん、主が飯田くん、
後見が高野さん。

遼太くんが、若かりし頃の万作さんにソックリ。
酒宴で謡うお声も素敵でした。


狂言「茸」
山伏が萬斎さん、何某が石田幸雄さん。
茸が裕基くん&中村くん&内藤くん&飯田くん&竹山さん&岡さん&月崎さん&淡朗くん。
鬼茸が太一郎くん、

後見が遼太くん。

いままで観た「茸」のなかで、最も格調高い「茸」でした。

山伏さま&何某の格式ある佇まいに加え、
ナンバー3までのキノコにキレッキレ要員を配備することは、非常に重要なことだったのですねー

1番手のキノコ(黒色袴)は裕基くん。
2番手&3番手のキノコ(テールグリーン袴&紺色袴)は、中村くん&内藤くん。

動と静のメリハリが効いていて、ピタリと静止したときの姿が美しい。

裕基くんは姫茸でも光るけど、一番手のキノコのほうが、より光ります!

そして、極限まで鍛練を積まれてきた、仕上がりに仕上がってる中村くん&内藤くんコンビの投入も大正解だったんじゃないでしょうか。

「釣狐を観る会 第二日目」を観る

11月5日、国立能楽堂へ。

素囃子「養老 水波之伝」
囃子方が、柿原弘和さん&幸正昭さん&桜井均さん&栗林祐輔さん。

狂言「張蛸」
果報者が野村又三郎さん、太郎冠者が野村信朗くん、すっぱが萬斎さん、後見が石田幸雄さん。
囃子方は、さきほどの素囃子メンバ。

萬斎さんは、亀甲ちっくな細かい格子模様の紫色の長裃、淡い抹茶色&ブルーグレー&白の段熨斗目。

太郎冠者は、すっぱの元を立ち去るとき、「さらば さらば さらば」と挨拶。
挨拶の言い回しが、微妙に万作家とは違う。

万作家は、
「さーらーばー さーらーばぁ」
だった気がします。

今回は、萬斎さんも太郎冠者と同じ挨拶を。
シテのおうちのやり方に合わせる、というものなのですね、きっと。

あらすじは「末広かり」に似てるんだけど、買いたいグッズは、曲名になもなっている張タコです。

ということで、すっぱは、張タコと偽って、張ダイコを売りつけるわけです。
なので、果報者のご機嫌を直すための囃し物の小道具も、張ダイコになるわけですね。

リアル太鼓を太郎冠者が持ってるので、もしや囃子方は太鼓方ぬきの編成でなさるのか?
・・・と私は興味津々。

結果は、太鼓方もシッカリご登場されました。

囃し物が聴こえてきて、ついウキウキしちゃう果報者が、心底たのしそうでした。


万作さんによる小舞「住吉」

地謡は、萬斎さんを地頭に、内藤くん&裕基くん&飯田くん&淡朗くん。

万作さんは、とろみのある鈍色の紋付に黄橡色の袴。
地謡は、黒紋付に、5人オソロの袴。
袴の色は、万作さんと同系色ながら、微妙に違う。

謡うのがとても難しそうな節の連続。
ユリのてんこ盛りです。

今回の披きの当人(中村くん&内藤くん)だけでなく、
他の若手くんたちも、この際いい機会だから鍛えとこう!という、
万作さんの愛を感じます。

公演パンフのこの曲の欄には、「若い役者の船出へのエールである」と記載されていました。


狂言「釣狐」
白蔵主&狐が中村くん、
猟師が高野さん、
後見が萬斎さん&深田さん。

後見のおふたりは長裃。

圧倒されました。
2週間ほど前に内藤くん版を拝見していて、展開は知ってたはずなのに、

ふぬぬぬぬぅ
このキツネは罠の誘惑に負けちゃうのか?
はたまた、罠の誘惑を振りはらって、毅然と立ち去れるのか?
うわ~ どうなる どうなる?

と、固唾をのんで見入ってしまいました。
ストーリー展開へのドキドキと、この披きに挑む中村くんのひたむきとな姿を見る、というドキドキが重なって、息苦しくなるほど。

息苦しさでいったら、中村くんの比ではないですが。
中村くんの息遣いは苦し気で、終始、ハッ ハッ ハッ と切羽詰まったような呼吸音が響いていました。

それが中村くんご当人の息遣いなのか、危ない橋を渡っているキツネの息遣いなのか、わからなくなってくる。

あの暑苦しそうなキグルミは、演者を究極まで追いつめてスパークさせることを意図しているのかしら?

後見の萬斎さんが頭巾を整えるかのような態で、ハタンッ ハタンッと捌いてらした。
中村くんに風を送り込んでらしたのでしょうか。

六世万蔵さん(万作さんのお父様)の著書「狂言の道」には、「釣狐」の項が16ページもあるのですが、そのなかで「演者としては始めから苦しみ続けで、終わりまで緊張し通し」と言及されていました。f:id:jizo2109447:20201108142502j:plain

「第十二回 東京満次郎の会 FINAL」を観る

11月1日、宝生能楽堂へ。

辰巳大二郎さんによる仕舞「三輪」

狂言「萩大名」
大名が万作さん、太郎冠者が裕基くん、亭主が深田さん、後見が飯田くん。 

ダメダメ大名様に対する、太郎冠者のスマートなサポートぶりが、鮮やか。

なんとかしてキレイなお庭を主に見せてあげたい、と奔走するところは、健気で好感がもてます。

最後に太郎冠者は怒って居なくなっちゃったけど、このあとすぐに戻ってきたと思うなー

で、その時には、いやーごめんごめん、と大名の方が謝って、
太郎冠者は、まったくですよぉ、とか言って、仲直りしたことでしょう。

朗読劇「邯鄲」
能語りが榎木孝明さん、琵琶が須田隆久さん。

琵琶の主張つよめで面白い。
朗読の"マ"に、琵琶が響くのが心地よかった。

能「邯鄲 傘之出」
盧生が満次郎さん、舞人が辰巳和磨さん。

呂仙王(宿の女主人)が 萬斎さん。

勅使が森常好さん、
大臣が舘田善博さん&梅村昌功さん、
輿昇が大日方寛さん&小林克都さん。

囃子方が竹市学さん&源次郎さん&広忠さん&澤田晃良さん。

後見が宝生ご宗家&佐野登さん&和久荘太郎さん。

地謡は、前列2名&後列3名からなる全5名。
後列のみ透明のシールドマスク。

アイに始まり、アイに終わるのがいいですねー
しかも、アイは、重要なアイテム・枕の持主でもある。

更に今回は、小書つきのおかげで、更に傘というアイテムにも、アイが絡んでくるのです~

自分が経営する宿に、盧生がチェックインする時に、女主人サマが傘を受けとります。

なんとなく、人質ならぬ、モノ質って風にもみえてくる。
枕を使って寝ないことには、コレは返さないもんね、という。

そして、思惑どおりに事が運んだので、何事もなかったように最後に傘を返してくれたけど、

そうでなかったら、ぎらり、と豹変してたんじゃないかしら?
そう思わせる謎めいた美女でした。

ぎらり豹変も見てみたくなります!

会の冒頭に満次郎さんがご挨拶に出てこられて仰ることには、
時々、盧生が「これ夢なのかな?」と疑う場面が何度かあります、と。

なので、それを意識して拝見してみたら、ほんとだー
確かに!

盧生の面って、今まで私は、宿に着いた時の、悩める青年のお顔なんだと思ってたんだけど、
これは夢なのかな?と、疑うお顔にも思えてきました。

大小鼓が乱れ打ちに、笛の狂い吹き(こんな言葉あるのかな?)が凄かったです。