萬斎さん観賞と日本画修得の日々

能楽や展覧会の観賞の感想を書いています

「釣狐を観る会 第二日目」を観る

11月5日、国立能楽堂へ。

素囃子「養老 水波之伝」
囃子方が、柿原弘和さん&幸正昭さん&桜井均さん&栗林祐輔さん。

狂言「張蛸」
果報者が野村又三郎さん、太郎冠者が野村信朗くん、すっぱが萬斎さん、後見が石田幸雄さん。
囃子方は、さきほどの素囃子メンバ。

萬斎さんは、亀甲ちっくな細かい格子模様の紫色の長裃、淡い抹茶色&ブルーグレー&白の段熨斗目。

太郎冠者は、すっぱの元を立ち去るとき、「さらば さらば さらば」と挨拶。
挨拶の言い回しが、微妙に万作家とは違う。

万作家は、
「さーらーばー さーらーばぁ」
だった気がします。

今回は、萬斎さんも太郎冠者と同じ挨拶を。
シテのおうちのやり方に合わせる、というものなのですね、きっと。

あらすじは「末広かり」に似てるんだけど、買いたいグッズは、曲名になもなっている張タコです。

ということで、すっぱは、張タコと偽って、張ダイコを売りつけるわけです。
なので、果報者のご機嫌を直すための囃し物の小道具も、張ダイコになるわけですね。

リアル太鼓を太郎冠者が持ってるので、もしや囃子方は太鼓方ぬきの編成でなさるのか?
・・・と私は興味津々。

結果は、太鼓方もシッカリご登場されました。

囃し物が聴こえてきて、ついウキウキしちゃう果報者が、心底たのしそうでした。


万作さんによる小舞「住吉」

地謡は、萬斎さんを地頭に、内藤くん&裕基くん&飯田くん&淡朗くん。

万作さんは、とろみのある鈍色の紋付に黄橡色の袴。
地謡は、黒紋付に、5人オソロの袴。
袴の色は、万作さんと同系色ながら、微妙に違う。

謡うのがとても難しそうな節の連続。
ユリのてんこ盛りです。

今回の披きの当人(中村くん&内藤くん)だけでなく、
他の若手くんたちも、この際いい機会だから鍛えとこう!という、
万作さんの愛を感じます。

公演パンフのこの曲の欄には、「若い役者の船出へのエールである」と記載されていました。


狂言「釣狐」
白蔵主&狐が中村くん、
猟師が高野さん、
後見が萬斎さん&深田さん。

後見のおふたりは長裃。

圧倒されました。
2週間ほど前に内藤くん版を拝見していて、展開は知ってたはずなのに、

ふぬぬぬぬぅ
このキツネは罠の誘惑に負けちゃうのか?
はたまた、罠の誘惑を振りはらって、毅然と立ち去れるのか?
うわ~ どうなる どうなる?

と、固唾をのんで見入ってしまいました。
ストーリー展開へのドキドキと、この披きに挑む中村くんのひたむきとな姿を見る、というドキドキが重なって、息苦しくなるほど。

息苦しさでいったら、中村くんの比ではないですが。
中村くんの息遣いは苦し気で、終始、ハッ ハッ ハッ と切羽詰まったような呼吸音が響いていました。

それが中村くんご当人の息遣いなのか、危ない橋を渡っているキツネの息遣いなのか、わからなくなってくる。

あの暑苦しそうなキグルミは、演者を究極まで追いつめてスパークさせることを意図しているのかしら?

後見の萬斎さんが頭巾を整えるかのような態で、ハタンッ ハタンッと捌いてらした。
中村くんに風を送り込んでらしたのでしょうか。

六世万蔵さん(万作さんのお父様)の著書「狂言の道」には、「釣狐」の項が16ページもあるのですが、そのなかで「演者としては始めから苦しみ続けで、終わりまで緊張し通し」と言及されていました。f:id:jizo2109447:20201108142502j:plain